「どこ向かってるん?
そろそろ教えてくれてもええやん!」


久しぶりの彼との時間。
日差しが優しく降り注いだ休日。
桜もまだちらほら咲いていて。


椋雅がずっと行きたがっていた
とっておきの場所。
しっかり下調べしてお店も予約した。


特に記念日でもない何気ない日常。
だけど喜ぶ顔が見たくて…
彼と過ごせる時間はいつだって特別なんだ。


普段はほとんど乗らない電車。
話してるのが楽しくて。
つい夢中になりすぎて気づくと全然違う場所にいた。


「えっ、ちょっと待って!
ここめっちゃ過ぎてるし何ならこれ逆走してる!」


張り切り過ぎるとやらかす事が多い
この性格。


「ゴメンっ…ヤダどうしよう。
これじゃ予約の時間に間に合わない…」


せっかく楽しみにしてくれてたのに。
悲しくなって思わず下を向いた。


「そんな顔せんでええよ!」


そっと視線を上げると椋雅がヘヘッて優しく笑ってて。


「…怒らないの?」


「何で怒んねん!笑」


「だって散々連れ回しておいて
着かないとか最悪じゃん。」


「俺はこの時間もむっちゃ楽しかったで?
久々にゆっくり色んな話出来て
〇〇とずっと一緒におれたわけやし。
怒る理由なんてないやん!」


少し屈んで目線を合わせると
頭をポンポンって。
温かい大きな手のひらが優しく髪に触れた。


「それに俺のために色々考えてきて
くれてたんやろ?
それだけで嬉しすぎるやん!」


「椋雅…」
 



気づいたらすっかり夕方で…
大きな夕日が辺りをオレンジ色に染める。


「ほなそれ、次の約束にしてもええ?
それまで楽しみが伸びたって事やろ?笑」


「えっ?」


「待ってるのも楽しいんやで?
やから次、連れて行ってください!笑」


「…もぅ椋雅、優し過ぎ。」


「へへへっ笑 そうか?笑
まぁ〇〇は特別っていう事やな!笑」


恥ずかしそうに頭を掻いて
「んっ。」って。
徐に伸ばした手。


それにそっと触れると優しく包み込んでくれる。

指をしっかり絡めた恋人繋ぎ。
そこにギュッて少しだけ
力を込めて。

これが2人のいつもの繋ぎ方。


降り立った街で目の前にはおしゃれなカフェ。


メニューを開くと
美味しそうなスイーツが沢山並んでて。


「ねぇ、椋雅が選ぶの当ててもいい?」


「おっ、えーよ!
まぁなかなか当てられへんと思うけどな!笑
ほなせーので指差しやな!」


『せーの!!』 


ぴったりあった掛け声と共に2人が
指を指したのはいかにも甘そうな
チョコレートケーキで。


「やったー!絶対これだと思ったー!笑」


「おーー!さすがですなぁー!笑
けどブラックコーヒー飲めるようになったんは
知らんかったやろ?!」って謎に得意気で。


そんなのとっくに知ってるって…。
そう思いながら一旦口を塞いだ。
だけどそれが何だか
可愛すぎて、
つい笑みが溢れてしまう。


「えっ?何で笑っとるん?」


「いや、笑ってないよ?笑」


「いやいや、絶対笑っとるやん!」


「ううん!笑ってないって!笑」


「もぅー、何やねんって!笑」


ムキになるのがなんだか可笑しくて。
気づくと2人揃って笑いあってた。


普段はしっかりしていて頼りになって。
すごく安心出来る存在な彼。


でも時々抜けててポワポワ
してる所が本当はめちゃくちゃ可愛くて。


彼の笑顔を見ていたら
どんなに辛い事があっても
心はいつも穏やかで暖かくなる。


その笑顔をずっと守りたいって
本気で思うんだよ…


ねぇ、椋雅?
私の隣でずっと笑ってて?


ずっと一緒にいたい。
心の底からそう願って止まないんだよ。




イベント終わっちゃって
完全にりょがロスです笑い泣きアセアセ
早く会いたい泣くうさぎ