…side広臣
「はい、どうぞ」
そう言って開けたマンションの扉
いくつものセキュリュティを
慣れた手つきで次々へ
解除しながら
最上階へ向かってようやく
扉を閉めた
愛「うわぁー、臣のマンション久々ー!!」
分かりやすく
テンションが高くて
辺りを見回す
愛「私が行く前とあんまり変わってないね!!
うわー!懐かしいなぁー」
臣「そう?ってお前はしゃぎすぎw」
愛「だってなんか嬉しいじゃん?
全然違って引っ越しちゃってたりしたら
それはそれでなんか悲しいなって思うし。」
臣「ふふっwそんなもん?」
愛「そんなもんなの!!
変わらないものがあるって
幸せなことなんだよ?」
嬉しそうにはしゃぎながら
話してたくせに
目には少しだけ光るものがあって
泣きそうになりながら
笑う愛をまた愛おしいと思うと
思わず手を伸ばした
髪の毛に触れて
軽く頭をポンポンってして
臣「泣き虫w
泣くか笑うかどっちかにしろよw」
愛「うるさい!!別に泣いてないし…」
臣「相変わらず素直じゃねーなw」
そう言うと愛の唇にそっと
キスをした
昔は強がってばっかで
涙をあまり流してこなかった愛
こんな風に感情に任せて
泣けるようになったんだな…
つい揶揄うように言ってしまったけど
本当は嬉しかったんだ
愛「お風呂ありがとう!!
広くてめちゃくちゃ気持ちよかった」
臣「疲れが取れるように取っておきの
入浴剤いれといたからなw」
愛「ありがとう!
そう言うところ昔から抜かりないよね?
意外とマメだしよく気がつくし」
臣「だろっ?
お前の好みなんて分かりやすいしな!
ちょー単純だしw」
愛「臣はいつも一言余計なの!!w」
自然と笑みが溢れる
ソープの香りを纏って
俺が用意した愛には少し
ブカブカの部屋着
コンタクトを外してメイクも落として
メガネ姿にラフな感じは
散々見てきて
別に珍しくもないはずなのに
そのリラックスした姿が
妙に色っぽく映った
臣「まだ髪、全然濡れてんじゃんw
本当昔から雑だよなw」
愛「いいの、軽く乾かせばそのうち乾くし!」
臣「お前なー、本当に女かよ!
早く乾かさないとどんどん水分抜けて
乾いた時にはめちゃ苦ゃ痛むからな!」
愛「あっ、はーい出たでた!
元美容師発言!!」
臣「いやいや、
当たり前のことしか言ってねーからw
ったくw
はい、ドライヤー持ってこっち来る!!」
文句を言いながらも
無理矢理俺の足の間に
座らせると
体と足が自然と触れ合う
距離感
ちっとも寄り掛かろうともしないで
体には少し力が入っていて
緊張してるのかな?
なんて思いながら
暖かい風がそっと髪を包み込む
慣れた手つきでブローして
綺麗に整えてやると
はい、終了!
カチッと電源を切って
さっとコードを纏めた
「ありがとう」
そう言って振り返ったら
すぐ目の前には
お互いの顔があって…
大きな瞳が俺を掴んで離さない
愛「おみ…」
少し掠れた声で俺の名前を呼ぶと
ほぼ同時に唇が
重なり合った
最初は軽く…
何度も何度もチュッチュッっと
そっと触れ合うみたいな
キスを繰り返し次第に熱のこもった
深い口づけへと変わっていく
「うぅ、、ん…」
小さく漏れる吐息
舌と舌が絡まり合うと
そのままソファーに押し倒した
「いい?」
そう問いかけると
熱を帯だた目でこくりと頷く
お風呂上がりだから
体の温度はすでに高い
熱った顔で俺を見つめる
今までに見たことのない
その表情は
堪らなく俺を興奮させた
再び視線を落としてゆっくりと
愛のメガネを外すと
薄茶色の綺麗な瞳が揺れる
隙間から指を絡めて
掬い取った前髪
少し狭い額にそっとキスを落とす
「臣…//」
「愛、、、//」
ゆっくりと唇を寄せ合って
深く深く
お互いを求めあう
ボタンを一つまた一つと
手をかけようとしたその時…
トゥルルル…
突然の着信音が
部屋に響く
ピクっと反応する愛に対して
ここまで熱を帯びた身体を
今更引き剥がすなんて酷なことは
出来なくて
シカトしようとしたけど
切れては鳴って
鳴っては切れてを繰り返す電話に
ムードもクソもなくなって…
いよいよ降参
「フフッw」
思わず笑いがこぼれる愛に対して
全然笑えねーわって
俺はきっと、
思いっきり苦笑い
頭をかきながら電話を見ると
マネージャーからで
おいおい、マジで勘弁してくれよと
思いながら電話に出た
内容は明日の確認事と
急な変更点など
まあまあ夜中に電話してくるだけの
緊急な用事ではあって
俺はゴメンとジェスチャー混じりに
愛に合図を送る
ニコッと優しく微笑み返してくれて
その表情に
少しだけホッとすると
そのまま仕事部屋に向かった
電話でのやりとりは
20分ほど続いてようやく解放
もう邪魔なんて入って溜まるかよと
勢いよく携帯の電源ごと
落としてやると
顔を洗い気合を入れ直す
パンパンと数回頬を叩いて
謎な気合を入れると
再び明かりのついているリビングへと
向かった
ガチャっと開けた部屋の扉
テレビを目の前に
大きなソファーがここぞとばかりに
存在感を放っているっていうのに
そこへは腰掛けもせず
床に座り
ソファーを背もたれにして
小さくなっているその背中
「本当ゴメンな、待たせて!」
そう言って覗き込むと
スヤスヤと小さな寝息を立てて
膝を丸めて眠っていた
えっ、、、
一瞬にしてフリーズ
「おい、マジかよw」
心の声がそれなりのボリュームとなって
外へと漏れる
さっきまでの空回りした気合、
落ち着かない感じと緊張感が
一気に解けると
俺ってアホだなって何だか
笑えてきて
思わず頭を掻く
ビールをプシュって開けて
起こさないように
そっと腰をかけると
そりゃそうだよなって…
長いこと海外へ行って
今日だってかなりの時間かけてようやく
帰国した訳で
体の疲れは勿論だけど
でもそれだけじゃなくて
きっと安心したんだよな
ぐっすりと眠るその顔を見ると
自然と優しい顔つきになった
ふぅっと小さく息を吐くと
さぁてと、どうすっかなー
持ってたビールを
一気に飲み干して立ち上がると
ぐいっと両手を広げて
背筋を伸ばす
起こさないように優しく抱き上げ
寝室へと連れて行き
フカフカのベットにそっと下ろすと
布団をかけた
別に今日の今日に
どうにかしようと思ってたわけじゃない
2年間お預けを食らってたんだ
今さら舐めんなよと
そんながっついてなんて
居ないつもりだったけど
身体はやっぱり正直で
あーー、これはまあまぁ
辛っ!!
っと最後は
苦笑いを浮かべたんだ
今日は寝顔だけで
我慢してやるよ
いやっ、せめてこのくらい
いいだろ?
そんなことを思って
アイツの寝顔にそっと唇を
重ね合わせた