…side久美



マネージメントの経験とは別に
アーティストの事を
まずは勉強しなければならない



所属のアーティストは
何十名も居る



最初はそれすらも大変だった



そこからニ年…



社運をかけた
一大プロジェクト



VOCAL BATTLE AUDITION 2



EXILEの直属の弟分として
大々的にボーカル決める
オーディションが行われたのだ



死闘を勝ち抜いて
2名が選ばれた



そこにパフォーマーオーディションで
選ばれた3名と
EXILEからNAOTO、直己が
選出された



こうして7人で構成された
グループが華々しく
デビューする事になったのだ



そんな大型新人の
マネージメントを
引き受ける事になった



それは私にとっても
大抜擢



今までの以上に仕事に没頭した



右も左も分からない彼らを
芸能界という舞台で
活躍させるまでに持っていくのは
実際に相当大変だった



意識の低さから
現場で怒鳴り散らした事なんて
数えきれない



口うるさいババアだなぁって
思われていた事だろう



でもそれもこれも
彼らにもっと輝いて欲しいという想いと
彼らならもっともっと
上へ行ける



そんな確信にも似た
確かな自信があったからだ



その為には
自分の時間のほとんどを
費やす事だって
全く惜しくなかった



もちろん会社やマネージャーだけが
頑張ったってどうしようもない



でも彼等もそんな想いを
感じてくれたのか
必死に応えようと、頑張ってくれた



慣れないことの連続



EXILEの弟分として
デビュー当時から注目を集め、
常に期待され
それに応えていかなきゃならない現実



わたしには計り知れないぐらいの
相当なプレッシャーと
重圧があったの事は間違いない



だけどその都度立ち止まり
葛藤しながら
みんなで力を合わせて
一つ一つ乗り越えてきた



私と彼等の間にも
共に歩みながら
確かな信頼関係が生まれていった…



三代目を大きく
ビックスターへの道に
引き上げるきっかけとなった

R.Y.U.S.E.I.



オリコン初登場一位



ランニングマンが
社会現象ともなり
一大ブームを巻き起こす



その年、初めて
レコード大賞を受賞した



抱き合って泣きながら
大はしゃぎするメンバー



『よっしゃー!!!』



大きく声をあげた臣



岩ちゃんはピョンピョン跳ねながら
ハイタッチして
二人は抱き合いながら
泣いていた



『やっとここまで来たんだなぁ…』



みんなから少し離れて
背中を向けた直己



彼の目にもまた、涙が光っていた



『久美さん!!』



すかさず声をかけてくれた
NAOTO



私も輪に入り
みんなとハイタッチをして
肩を組んだ



そんな皆んなの姿を見て
初めて私は彼等の前で
涙を見せた…



『久美さん目真っ赤っすよ!!』



『久美さんが泣いてるとこなんて
初めてみたー!!』



『やべー、俺、それ見てまた
泣くー!!』



口々にそんな事を
言っていたメンバー



そこには色々な想いが
あった…



ここまで来るのには
決して楽な道のりじゃなかった



皆んながどれだけの
血の滲むような努力をしてきたのか
一番近くで見てきたのは
私だから…



そして私はこの晴れ姿を見届けて
年内で退社することが
決まっていた



最後の彼等との仕事が
年末のレコード大賞と紅白の舞台



それを一番近くで見届けることが
出来るなんて…



私は本当に幸せ者だ



素人全開で入ってきた
ただの幼い男の子達は
確実にプロの顔になっていた



一つ一つ夢を叶えてきた彼等は
自信に満ち溢れて
すっかり成長していた



それが私には物凄く嬉しかったし
何よりも誇らしかった…



この7人だったら
大丈夫…



この先、もっともっと
上に行けるよ…



最後に素晴らしい
夢を景色を見させてくれた
ありがとう…










結婚式当日



サプライズで私の為に
パフォーマンスしてくれた
彼らの楽曲

Wedding Bell



私は一生忘れないよ



これからは結婚して
幸せになるよ



離れた場所から
ずっと応援してるから



もっともっと
たくさんの夢を叶えて…