前回の続き。
1人で紹介状を持って赤十字病院へ。口腔外科は2階にある。
受付後、程なくして呼ばれる。中に入ると、設備はまんま歯医者みたい。
この辺あまり覚えていないけど…先生に見てもらい、血液検査などもした。
先生「なんかよく分からんモノだけど、血液検査も異常無いしなぁ。一応細胞をちょっと取ってみて調べてみましょう!来週また来てください。」
まぁこんな感じだったか。
なんだ。全然大丈夫そうじゃん…!
そんな感じで帰路についた。
今思えば、この時点で先生は既にガンを強く疑っていたのだろうと思う。患者を不必要に不安にさせない立ち回り、プロだなぁ。
そこからの一週間はあまり記憶がない。
ただ覚えているのは、舌で時々触っていたその腫瘍が、ものの数日で、全く違う形に変わっていっていたこと。
一週間後、再診の日。
この日は、2年前に亡くなった祖父の命日。1月28日。
俺はこの日も1人で病院へ行くつもりだった。
父「病院行くんだろ?一緒に行くわ。」
……??
いや、いいって。1人で行くわ。
父「いや、連れてったる。先に爺さんの墓参り行ってから行こう。お母もついてくるって。」
うーん…まぁええけども。送ってくれるならありがたいし。
この時点で不穏な空気は感じつつも、それでも自分がガンだとは夢にも思わなかった。
というより、思考が停止していたような感じだったかな。ガンだという発想が自分の中に存在しなかった。
父さん、普段着ないようなジャケット羽織ってたし、明らかにおかしかったのに。笑
墓参り。おかん、やけに長いこと拝んでんなぁ…
墓参り後、病院へ。
両親、待合までついてきてる……えぇ…?
程なくして、呼ばれる。
俺「1人で結果聞いてくるで、待っといてや」
そう言っても、無言でついてくる両親。
今までに感じたことの無い緊張が走っていた。
診察室に入ると、既にパイプ椅子が2つ、用意されていた。
先生「こちらへどうぞ」
来ることを知っていたかのように両親を椅子へ案内。
俺はもう頭真っ白に近い状態。ただ、まだ何も言われていない。まだ分からない。
診察。口の中を見られる。
先生「顔が変わっとるなぁ……」
腫瘍の見た目が変わっている、という意味。良性の腫瘍なら、一週間でこんな事にはならない。
先生「結論から言うと、ちょっと良くないモノだった。」
最大限オブラートに包んだ表現。それでも、ガンの宣告だと理解するのには十分だった。
斜め上を見たまま固まる俺…。
いやいや、え…?嘘でしょ…?いやいやいや…
母が泣き崩れた。
その声を聞いて、ちょっとだけ我に帰る。
大変なことになってしまった…。
細胞を調べた結果、悪性なのは間違い無いが詳細がよく分からず現在も調べていること、おそらく唾液腺由来のものであること
悪性度が高いものであれば投薬治療も考えた方が良いが、そうでも無さそうなのでとりあえず摘出してしまうのが良いこと
転移が無いか調べるためにこれからCTやらエコーやらを撮ること
手術の邪魔になるので、奥歯を削らせて欲しいこと
などなど。悪性度がそこまで高そうではないというワードで、若干の落ち着きを取り戻した記憶。
そのあとは、検査で慌しく動いた。
長くなりすぎたので続きはまた!!
クリスマスイブ!今年は寂しく過ごします…。