ジャイアントパンダは絶滅させればいい。
と言った英動物学者がいるらしい。
「パンダの保護に何百万ポンドも(何億円も)つぎ込んできた」とした上で、
「支援を断つべきだと思う。一定の尊厳をもって絶えるのを放っておこう」
と言ったそうだ。
そうか。
積み重なった時間の流れの中で
滅んでいくことが自然の摂理なのであれば、正論かもしれない。
でも、そもそもパンダってどうして絶滅危惧種になったんだろうか。
そのむかし、気候の変動による食糧不足から偏食を余儀なくされて
入手しやすい竹ばかり食べるようになったと考えられているらしい。
しかも!竹は60年から120年に一度、一斉に開花して枯れてしまう
らしい。
だから限られた種類の笹しか生えていない地域に住んでるパンダに
とっては、この時期に食料にありつけず餓死してしまうことがあるそうだ。
なるほど。それなら仕方ない。滅びゆく種だったんだろう。
でもどうして今まで生き延びてきたんだろう。
パンダだって笹を求めて他の地域へエッサエッサと移動するだろう。
動物にとって、『生きていくこと』が最大の課題だ。
20世紀後半に入り、道路建設や住宅のために森林伐採が進み、
人とパンダの生息地が分断され始める。
そのため、他の場所へ移動できなくなったパンダは竹枯死の影響を
受けて数が激減したといわれている。
なるほど。そうか。
で・・・。
結局なんでパンダは絶滅危惧種になったのか。
学者の言った≪尊厳≫という言葉は、
尊くおごそかで侵しがたい・こと(さま)。 という意味。
はたしてパンダは自らの尊厳を主張して滅んでいくんだろうか。
『一定の尊厳をもって』というのは、誰からみた言葉なのだろう。
人間様か。学者様か。それとも神様か。
この地球の価値基準をどこに置くかというのは難しい。
だからこそ『共存』のため、試行錯誤する。
なぜ試行錯誤するのか。
人間が便利に生きていくためだろう。
同じ言葉を共有する多くの人間がまず支配に躍起になった。
当然、今支払うべき対価は大きい。
『一定の尊厳をもって』
この言葉を発した時の顔が見てみたい。