NHKスーパープレゼンテーション「シェーン・コイザン:いじめに悩む君へ」 | TEDのすゝめ ( TED 英語 スーパープレゼンテーション 洋楽 映画 スポーツ )

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シェーン・コイザン「いじめに悩む君へ」

つい最近、土井隆義先生の「キャラ化する/される 子どもたち」という本を読みました(岩波ブックレットという小冊子で一冊525円)。

キャラ化する/される子どもたち―排除型社会における新たな人間像 (岩波ブックレット)/土井 隆義
¥525
Amazon.co.jp

この本は、いまどきの中学生・高校生の友達関係について書かれた本です。そのなかに「スクール・カースト」という言葉が出てきます。いま、クラスの生徒たちは、だいたい3つのグループに分かれているそうです。上位、中位、下位の3つ。

子どもたちは、同い年で同じ学校の同じクラスにいるにも関わらず、お互いに上下関係を感じているのだそうです。その原因は①コミュニケーション能力の違い、②ファッション・おしゃれの違い、③恋愛・セックスの経験の違い、が主なものだと言われています。

子どもたちはこうした違いを感じると、もうお互いに関わろうとしない、圏外に押しやって、つきあおうとしない。そうすると自然に、同じ匂いのする、いわゆる「類友(るいとも)」が集まってグループを作るようになります。同じグループ内では上下関係を感じず皆平等なのですが、グループとグループとの間には何らかの上下関係があって、お互いに交流することはほとんどないそうです。このグループ間の上下関係を、インドの身分制度から言葉を借りて「カースト」と名付けられています。

非常に興味深いのは、「いじめ」は本来平等であるはずの同じグループ内で起きているということです。上位グループが下位グループをいじめるということはほとんどない。だって、そもそも圏外だから、いじめようがない。

「いじめ」は、同じグループ内で割り当てられる「キャラ」から発生します。「キャラ」というのは、例えば「ボケとツッコミ」とか「イジり役とイジられ役」というふうに、同じグループ内での役割分担のことです。グループ内で他の仲間から認められるには、その場の空気を読んで、「ここはボケるところだ」とか「ここはつっこまなきゃ」という具合に、適切に自分の与えられた役割を果たすことが求めらます。テレビのバラエティー番組を観て、お笑い芸人から学んでいるようです。

子どもたちは「優しい関係」を保ちたいので、争ったり、「キャラ」がかぶることを非常に嫌います。だから、場合によっては自分の本来の性格とは合わない「キャラ」を押し付けられることもあるわけです。イジられるのが大嫌いなのに、イジられキャラを押し付けられた子どもは、「いつもいじめらている」と感じるでしょう。しかし他のメンバーは「いじめている」という意識はなく、ただ「イジッている」だけなのです。

ひとつの価値観だけを押し付けない、多様性を認める教育が、類友とカーストを作り、いじめの原因になっている。現場を知らない人間からはちょっと意外というか、信じられないというか、興味深いことが書かれてありました。

そうすると、日本の場合、コイザン氏が言っている「他人と違うことは美しいことだ」というのは、ちょっと違ってきます。アメリカ、カナダで起きているいじめと、日本で起きているいじめとは、文化や歴史が違うのと同じように、性質が異なるものなのかもしれません。

To This Day Project:
Interview with Anti-Bullying Video Creator Shane Koyczan



"Bullying, to me, starts very small around the kindergarten age where the first thing we learn is to call each other names,"
いじめは、幼稚園のときにお互いを呼び合うことを憶えたときから既に始まっている。

"Something so small can be so long lasting in someone's life."
いじめる側は気づかないほど些細なことでも、いじめられた側は一生憶えている。

"Just that sense of connectivity. As much as you may feel alone in this, you're really not. There's people who go through this every day. In a lot of ways, there's more of us than there are of them."
このビデオを見た子どもたちに感じてもらいたいことは、つながっているという感覚です。いじめられてつらい日々を送っているのは君だけじゃないということを知ってほしい。

"The great hope with this piece is that people will find that light or find that piece within themselves to see their beauty, to celebrate their differences,Because their differences ultimately are what make them beautiful."
このアニメと詩を見て、他人と違うということが美しいことだということを感じてくれたらうれしい。他人と違うということが、君を最も輝かせるのだから。

To This Day Project - Shane Koyczan