気がついたら布団で寝ていた。

よみがえる記憶。
半狂乱になる私と説明しようとする主人。
少し休もう。倒れてしまうよ。
寝れるわけないやろ。といい、うつらうつらしたようだ。

どうするつもりなの?

やり直したい。Nとは別れる。少し時間がほしいけど必ず別れる。

別れるなら私も同席する。人の亭主に手を出す女の顔をみたい。謝らせたい。許せないし。

それはまってくれ。かっぱが倒れてしまうし、体がもたないやろ。

あのNが心配か?そんなに可哀想か?
可哀想そうなんは私や。あんな女地獄に落ちたらいいんや。

明日いや、今日帰るの?まさか帰らんよな。こんな私を残してえーん

いや、休まれないんや。会議が目白押しで主張もある。ほんまに心配やねんけどどうしても無理やねん。許してくれ。仕事に行かなあかん。

仕事?はぁ?私より仕事か?こんなに衰弱して弱ってるのに。これがNやったら休んむんやろ、ホイホイ

関係ない。かっぱの側にいたいし心配やけど仕方ないんや。ほんまにごめん。

昨日の話した記憶。そうか帰るんか…妻が苦しんでいても仕事か。
でも正直同じ空間にいるのもつらい。息苦しくなるショボーンショボーンショボーンショボーン

ママ〜
朝ごはんパパがパン買ってきたよ。食べないのー?ママの好きなコーヒーもあるよ〜
子供だ。

ママは風邪気味だから朝ごはんはいいわ。
みんなで食べて〜とできるだけの声をだして答える。いつも通り私のお気に入りのコーヒーをかってきたのか。パパは。
優しい。その優しさにきっとNはつけこんだのだろう。
私達の小さな、大きな溝の中にはいりこんだんだろう。

私の両親は仲がわるかった。離婚して良いぐらい仲がわるかった。父は浮気三昧で
私も相手と会ったことがあるぐらいだ。
冷え切った家庭で育ったから、絶対に浮気などしない優しい、真面目な主人と結婚したのに結局母と同じ境遇に。笑えて泣けてくるえーんえーんえーん
感謝を言葉にするという環境ではなかったので、私は主人に感謝の言葉を伝えてなかったかもしれない。

お疲れ様、ありがとう、いつも感謝してるよ。
できてなかった?
お小遣い渡す時はいつもありがとう。1ヶ月お疲れ様でしたと封筒に書いていたけど口ではいってなかった?

顔をみてお帰り〜といってなかったかも。用事をしたりTVをみていたかも。

ボーナスをいただいてもありがとうとはいってもやりくりが大変。といっていたかも。 

私も働いているから同等だと思い過ぎた?
 
赴任先に行く時足りないお金は私の働いたお金からだすね。でないと無理だから
主人を傷つけていたかも。偉そうだった?

布団の中でなぜ優しい、人として尊敬していた主人が不倫にはしったのか?ひたすら自分を見つめ直して考えていた。

主人は家に居場所がなかったといっていた。
かっぱはいつも物事を自分中心に考えるよね。
それをおしつけてくる面があるよね。
いくら頑張ってお給料もらってもお金、お金がたいないってよくいっていたよね。
両親がお金で苦労したから私も同じ目にあわないかと怖いから言いすぎてしまったかも。
幸せでも両親のように不幸になるかもしれないと幸せを実感せず、よく不幸だ、不幸だといっていたよね。カッパは。そうかもしれない。砂の城のように崩れてなくなりそうな気がしていたから。

だから主人は自分の存在価値をみいだせなくなって居場所がなくなったのだろうか? 
だから私をあんな能面のような顔で見ていたのか?
Nがパパの自尊心を満足させたのかショボーン

だからといって不倫、浮気をしてよいことにはならないムキー
でもパパをおいこんだのは私だったかもしれない。誰でもない私。
泣けてきた。悲しさと悔しさで。大声でわぁーと叫びたくなるほど。

子供の世話、家事、掃除をしている主人が食べ物、飲み物をもってくるがうけつけない。

時間はたち、帰る時間。ごめん。もう時間やから。行かなあかんから。連絡するから。
ほんまにごめんやで。なんかたべてや。倒れてしまうから。

主人の顔を見てみたらまた涙があふれてくる。
帰るんだと怒りで背中をバンバン叩く。
涙があふれてくる。
広い背中。
気づいてしまった。

私は主人がまだ今は好きなんだと。不倫、浮気、最低なことされても好きなんだとショボーンショボーンショボーンえーんえーんえーんまたそんな自分が恨めしい。

泣きながら布団に戻った。

連絡するから。遠くで主人の声が聞こえてドアが閉まる音がした。