乾癬性関節炎における爪組織の重要性について。。。McGonagle氏の論文 | まきむく通信(どうでもいいこと書いています!)

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この論文も結構有名な論文で、いろんな研究者が引用しております。とくに、指の関節と爪との関係を示している図表はよく見かけます。爪は表皮の付属物ではなく、筋骨格系にどのくらい密接な関係を示しているか、組織学的データを示し乾癬性関節炎との密接な関係をMcGonagle氏は指摘しております。

まず、論文の冒頭に爪ってどうよ!たかが、爪、されど爪ってことなんですよ。爪は皮膚の付属物か?通常、爪は成り立ちとして、堅いけれど、骨ではなく、皮膚とおなじケラチンが主成分なので皮膚の一部として扱われています。しかし、本当に皮膚の一部としての存在なの?ってことです。

PsAという病態で、よく臨床症状がでる場所として末梢の関節。指(手の指)、趾(足の指)の関節痛と破壊が起こります。

その指の先にある爪と骨の組織。それとその二つを結びつけている腱組織に着目せよ!ということなのです。

↑実際に、検体からの組織病理像を見てみると爪母と骨膜にお互いを結びつける強力な線維組織の存在があきらかとなっております。その線維組織は手から伸びる腱に繋がっていくのです。また、その爪と骨を結びつける組織の間には、血管組織がリッチにはりめぐらされており、炎症細胞や、炎症サイトカインが容易に入り込めるという組織になっているのです。

↑有名な図です。この病理解剖像を見てみても、模式図が示すように、爪甲と骨は腱組織によって固定されており、爪が爪としての役割が果たせるようになっています。爪が容易にはがれたりしないのはこのような結合組織によって遠位指節骨に固定されているからなのです。

 

症例:16歳

家族歴:母親=PsA、父親=PsO

主訴:右手第2指の第1関節のみの痛み

痛みのある、第2指のDIP関節のMRI像をみてみると、骨浮腫が認められて、初期の骨融解像と考えられた。→しかしながら、他に関節にたいする病的な病理像は認められなかった。ということなんです。

 

通常、指が痛いということで、整形外科のクリニックにいっても、爪が変形しているのでどこかで、指を挟んだりしていない?と聞かれて、様子を見ましょうと言われるだけでしょう。

運よく、リウマチ科に行って診察してもらった場合でも、関節リウマチは否定されて、非関節リウマチ→うまくいけば、PsAとして診断はしてもらえるでしょう。(半分以上はPsAとも診断されずに、様子をみましょう、大したことありませんねとなるはずです)うまく、PsAと診断して貰えたとしても、結局一緒。。。単関節の痛みですから、重症ではないとされて、痛み止めのクスリが貰えるかどうかといったところ。

 

しかしながら、この症例は数年後にこの右手第2指がムチランス型の変形をおこしてしまった。ということです。

ムチランス型=関節の骨が、融けて、増殖してくたくたに変形するPsAにおける最重症型の関節破壊ということ。

リウマチ医は、全部の指が変形して痛みを訴える関節リウマチの患者さんをたくさん診ている。。。指が1本とか2本くらいしか、症状がでないPsAをどうしても、普段多く診ているリウマチ患者さんと比べるので、治療が遅くなりがちなのです。↑このイラストも全部の指が変形するリウマチ患者のムチランス型のイラストです。

 

なるほど。

勉強になりました。

たかが、爪、されど爪ってことなんですよ。

 

 

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