乾癬性関節炎 NEJM2017を読んでみる | まきむく通信(どうでもいいこと書いています!)

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Psoriatic Arthritis=日本語にすると乾癬性関節炎という。日本語の訳において、整形外科医やリウマチ医側では、乾癬性関節炎と訳し、皮膚科医では関節症性乾癬と訳す。また、”PsA”という略語でよばれることもある。これらの呼び名があるが、基本同じことである。昨年のNEJMにこのPsAに関する総論(レビュー)が書かれていたので、読んでみました。簡単にまとめたのでブログの記事にします。

NEJM(エヌ、イー、ジェー、エム)

The New England Journal of Medicine=ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン。米国の医学雑誌。1812年創刊。数ある医学雑誌のなかでも、もっともインパクトファクター(影響力と引用数)が高く権威のある医学雑誌に掲載された論文です。

 

 

関節炎があり、関節関連の痛みがある場合。下記のCASPER基準にてあわせて、診断をする。3点以上で、関節症性乾癬であるかどうかが診断されるのである。(あくまで分類基準=かならずこの基準で診断する必要はない)

・皮膚症状がある(乾癬と診断されいる) 2点、過去に乾癬と診断されていた(現在、治療によりおさまっている)1点

・乾癬の家族歴がある 1点

・爪病変がある(点状陥凹、爪甲剥離症)がある 1点

点状陥凹

 

爪甲剥離症

・リウマチ因子陰性(血液検査でリウマチを否定されてた) 1点

・指炎がある(指全体が腫れている)とくに足の第四趾が好発 1点

・過去、指炎があった 1点

・画像診断で骨新生がある 1点

上記の項目で3点以上あれば、乾癬性関節炎となる

(感度98.7%、特異度91.4%)

 

 

治療されずにいると、下記のような関節症状と破壊がおこる。

 

 

この乾癬性関節炎はリウマチ、痛風、変形性関節炎と間違われやすく、診断が難しいとされる。また、実際には合併し併存する場合もあるのでなお厄介である。

PsAと、リウマチとの違いを小さな違いと特徴をもとに確定診断へと導いていく、専門医の腕の見せ所となる。

 ここで、特に間違われやすい関節リウマチとの違いを簡単に述べると。。。

● 男女比が、関節リウマチは1:4で女性に多い病気であるが、PsAは1:1で男性も結構なる。

● 関節リウマチは左右対称に関節障害が起こるが、PsAは非対称。

● そして、PsAの方が若い(10歳程度)人が発症するのである。

● リウマチは、いっぺんに多くの関節に症状がでるが、PsAは、少数の関節から徐々におこる。

● 滑膜の炎症=関節リウマチ、付着部(腱)の炎症=PsA

 

PsAも、末梢型と体軸型がある。↑

 

 

画像診断上の特徴。

 

関節エコー像↓ 付着部(腱)に炎症。そして骨炎も発症するのがPsAの特徴である。関節エコーではそれらの違いが捉えられるのである。

 

炎症のサイトカインの違いと、発症場所の違い。↑

 

治療薬剤の一覧。

効果的な薬剤とそうでない薬剤がある。関節に効くものと、皮膚と関節両方に効くものなど。。。

 

 

以上

結構な分量のある論文でした。

 

 

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