(AMS=acute mountain sickness=急性高山病)
急性高山病に対する薬物治療についての、学術論文が発表されていましたので紹介します。
BMJ 2012;345:e6779 (Published 18 October 2012)
(英国の有名な医学雑誌)
急性高山病(AMS)に対するアセタゾラミドの予防内服の、有効性と最少有効量を調べるために、SystematicReviewとメタアナリシスをおこなった。アセタゾラミド250mg、500mg、750mg(1日量)、プラセボでAMS予防効果を比較したRCTを対象とした。その結果、すべての用量でアセタゾラミドがAMS予防に有効だった(オッズ比0.36)。アセタゾラミド250mgのNNTは6だった。
高山病に対する治療は、この研究対象となった、アセタゾラミド(ダイアート)の様な利尿剤(ループ利尿剤)を使う場合と、バファリン、ボルタレン、ロキソニンといった鎮痛薬を使うのか、人によってまちまちですが...皆さんはどうされていますか?(登山する方)
アセタゾラミド(ダイアート)は、今回の研究では、最小投与の治療群でも250mgのdoseを使っています。しかしながら、日本では、このダイアート錠は、30mg錠、60mg錠しか売っていませんし、250mgまで使う機会はなかなかないのではないでしょうか?
そういう意味でも、一番最小用量群でも十分効果があったというこの研究は、なんとか、日本の60mg錠でも、十分応用できるのではないかと、思います。
ダイアート錠(ループ利尿剤)の類薬を少々紹介しておきます。
フロセミド(ラシックス)
トラセミド (ルプラック)
アゾセミド(ダイアート)
ピレタニド(アレリックス)
ダイアート、アレリックスが、長時間作用型ですが、高山病のように、一時的にむくむような場合は、長時間作用型でなく、ラシックスの様な短時間作用型の薬でもいい様に思います。
POINT
高山病になって、山で初めてクスリを試すようなことがないように、副作用(特にアレルギー反応)が出るか出ないかチェックするためにも、自宅で何回か試し飲みをする必要があります。そして、高山病になったからと言って他の人からクスリを貰って飲むのも危険です。
2,500m越えた山の上で、アレルギー(アナフィラキシーショック)が出てもだれも助けてあげることができませんから...