ニーズとは?|「お客さんが求めているもの」をどう考えるか

「お客さんのニーズを考えましょう」

マーケティングについて調べていると、こんな言葉がよく出てきます。

でも、

「ニーズって結局なんだろう?」

と思ったことはないでしょうか。

「欲しいもの」のこと?

「困っていること」?

「お客さんから言われたこと」?

どれも少し関係しています。

ただ、ニーズという言葉を何となく使ってしまうと、

「お客さんが欲しいと言ったものを作ればいい」

という話になってしまうことがあります。

今回は、ニーズとは何なのか。

そして、ウォンツとはどう違うのか。

小さなお店や個人事業でどう考えればいいのかを、身近な例を使いながら整理してみます。

ニーズとは?

ニーズ(needs)とは、簡単に言えば、

「人が必要としていること」
「満たしたいと思っている必要」

のことです。

たとえば、

「お腹が空いた」

という状態があれば、

「何か食べたい」

という必要があります。

「仕事の情報を整理したい」

という人なら、

「情報を分かりやすくまとめたい」

という必要があるかもしれません。

「遠くまで買い物に行く時間がない」

という人なら、

「近くで必要なものを手に入れたい」

という必要があるかもしれません。

このように、ニーズは「表面に出ている商品名」よりも、一段奥にある必要に近いものとして考えることができます。

ニーズと「欲しいもの」は同じではない

ここが大切です。

お客さんが、

「○○が欲しい」

と言ったとしても、その商品そのものが本当の目的とは限りません。

たとえば、

「疲れを取りたいからマッサージを受けたい」

という人がいたとします。

この人が本当に求めているのは、

「マッサージという商品」

だけでしょうか。

もしかすると、

「肩や腰のつらさを軽くしたい」
「リラックスしたい」
「仕事の疲れをリセットしたい」

ということが目的かもしれません。

商品は、そのニーズを満たすための手段の一つです。

「ニーズ」と「ウォンツ」の違い

マーケティングでは、ニーズと一緒に「ウォンツ」という言葉もよく使われます。

一般的な整理では、

ニーズ
=必要としていること

ウォンツ
=そのニーズを満たすために欲しい具体的なもの

と考えることができます。

たとえば、

「喉が渇いた」

という必要があったとします。

ニーズは、

「水分を取りたい」

ということ。

そこから、

「水が飲みたい」
「お茶が飲みたい」
「炭酸飲料が飲みたい」

など、具体的な欲しいものが出てきます。

この具体的な「欲しいもの」がウォンツです。

同じニーズでも、ウォンツは違う

ここが商売を考えるうえで面白いところです。

「お腹が空いた」というニーズがあっても、

ラーメンを食べたい人。

カレーを食べたい人。

おにぎりを食べたい人。

パンを食べたい人。

では、選ぶ商品が違います。

つまり、

同じようなニーズを持っている人でも、ウォンツは違うことがあります。

だから、

「お客さんのニーズを満たせば、必ず自分の商品が売れる」

というわけではありません。

ニーズの先には、

「なぜ、その商品を選ぶのか」

という話があります。

「何が欲しい?」だけではニーズが分からない

お客さんに、

「何が欲しいですか?」

と聞くだけでは、ニーズを十分に理解できないことがあります。

たとえば、

「ホームページが欲しい」

と言われたとします。

そこで、

「ではホームページを作りましょう」

とすぐに制作を始めることもできます。

でも、

「なぜホームページが必要なんですか?」

と聞いてみると、

「会社のことを知ってもらいたい」
「問い合わせを増やしたい」
「求人に応募してほしい」
「今ある情報を整理したい」

など、目的が違うかもしれません。

同じ「ホームページが欲しい」でも、求めているものは違います。

ニーズを考えるときは「なぜ?」が役に立つ

ニーズを考えるときに便利なのが、

「なぜ?」

という質問です。

「新しいSNSを始めたい」

なぜ?

「もっとお客さんに知ってもらいたい」

なぜ?

「新しい商品を知ってもらいたい」

なぜ?

「今まで来ていなかった人にも来てほしい」

ここまで掘っていくと、

「SNSを始めること」

そのものが目的ではないことが分かります。

SNSは、目的を達成するための手段です。

「手段」と「目的」を分ける。

この考え方は、マーケティングではとても重要です。

お客さん自身もニーズを言葉にできないことがある

さらに難しいのが、

「お客さん自身も、本当のニーズを分かっていないことがある」

ということです。

たとえば、

「もっとInstagramを頑張りたい」

と言っている人が、本当に必要としているのは、

「Instagramの投稿方法」

ではなく、

「自分の事業をどう伝えればいいのか整理すること」

かもしれません。

「新しい商品を作りたい」

という人も、

「商品を増やすこと」

ではなく、

「今の商品が売れない理由を見直すこと」

が必要なのかもしれません。

だからこそ、表面に出てきた要望だけを見るのではなく、

「なぜ、それが必要なのか」

を考えることが大切です。

売り手の「作りたい」と顧客のニーズは違う

これは、商品開発でもよく起こります。

売り手が、

「こんなに便利な商品を作りました」

と思っていても、

お客さんが、

「そこには困っていない」

と思えば、購入にはつながりません。

逆に、売り手があまり重要だと思っていなかった機能を、

「ここが便利」

と評価してもらうこともあります。

だから、

「自分が何を作りたいか」

だけではなく、

「相手は何を必要としているのか」

を見ることが重要になります。

ニーズは「困っていること」だけではない

ニーズというと、

「悩み」
「問題」
「困りごと」

を思い浮かべる人も多いかもしれません。

でも、ニーズはそれだけではありません。

「もっと楽しみたい」

「もっと便利にしたい」

「新しい体験をしたい」

「安心したい」

「自分らしくいたい」

「誰かと時間を共有したい」

といったものも、人が求めていることとして考えられます。

商売は「問題を解決すること」だけではありません。

人が望んでいる状態をつくることも、価値になります。

「顧客の声」をそのままニーズだと思わない

お客さんから、

「もっと安くしてほしい」

と言われたとします。

この言葉をそのまま、

「ニーズは安さだ」

と考えるのは少し早いかもしれません。

なぜ安くしてほしいのでしょうか。

「価格が高いから買えない」

のかもしれません。

「他の商品と違いが分からないから高く感じる」

のかもしれません。

「失敗したくないから、もっと気軽に試したい」

のかもしれません。

同じ「安くしてほしい」という言葉でも、背景は違います。

言葉の奥にある理由を見る。
これもニーズを考えるということです。

ニーズを知るために、実際のお客さんを見る

ニーズを考えるとき、頭の中だけで考え続ける必要はありません。

実際のお客さんを観察することもできます。

たとえば、

・どんな質問が多いか
・何を比較しているか
・何を迷っているか
・何を褒めてくれるか
・何を不満に感じているか
・何を繰り返し聞かれるか
・なぜ購入したのか

こうした情報には、ニーズを知るヒントがあります。

「売れた理由」を聞いてみる

特に参考になるのが、

「どうしてこれを選んでくれたんですか?」

という質問です。

お客さんが、

「前から気になっていた」

と言うかもしれません。

「使いやすそうだった」

と言うかもしれません。

「友達にすすめられた」

と言うかもしれません。

「このサイズがちょうどよかった」

と言うかもしれません。

「この説明を見て、自分に合いそうだと思った」

ということもあるでしょう。

売れた理由の中には、顧客が求めているものを理解するためのヒントがあります。

ニーズが分かると、伝え方も変わる

たとえば、

「北海道産の素材を使っています」

という商品の特徴があったとします。

これは事実です。

でも、その特徴をどう伝えるかは、ニーズによって変わります。

「安心できるものを選びたい」

という人には、素材の背景や生産者について伝えることが役立つかもしれません。

「贈り物を探している」

という人には、包装や渡しやすさを伝えるほうが重要かもしれません。

「手軽に使いたい」

という人には、使い方やサイズを伝えたほうが分かりやすいでしょう。

同じ商品でも、

「誰の、どんなニーズに応えるのか」

によって、伝える内容が変わります。

ニーズから商品を考える

商品を作るときにも、ニーズという考え方は役立ちます。

「何を作ろう?」

から始めるのではなく、

「どんな人が、何を必要としているんだろう?」

から考えてみる。

たとえば、

「忙しい人が、短時間で食事を済ませたい」

というニーズがあるなら、

そこから商品やサービスを考えることができます。

「小さなお店の人が、Webの情報を整理できず困っている」

というニーズがあるなら、

整理や運用を支援するサービスにつながるかもしれません。

商品は、ニーズを満たすための一つの答えです。

ニーズは変わる

ニーズは、ずっと同じとは限りません。

生活が変われば、必要なものも変わります。

仕事が変われば、必要なサービスも変わります。

季節が変われば、求められる商品も変わります。

地域の状況が変わることもあります。

だから、

「昔売れたから、これからも同じように売れる」

とは限りません。

今のお客さんが何を求めているのか。

定期的に見直すことが大切です。

小さな事業だからこそ、ニーズを拾いやすい

大きな会社では、アンケートや市場調査などを使って顧客のニーズを調べることがあります。

小さな事業でも、もちろん調査はできます。

でも、それだけではありません。

日々の会話。

問い合わせ。

SNSのコメント。

レビュー。

イベントでの反応。

購入後の感想。

こうした小さな情報も、大切な材料になります。

特にお客さんと直接話す機会が多い事業では、

「何気ない一言」

の中にヒントが隠れていることがあります。

ニーズを考える5つの質問

自分の商品やサービスについて考えるなら、次の質問をしてみてください。

1.お客さんは何に困っているのか

2.お客さんはどんな状態になりたいのか

3.なぜ、その商品やサービスを必要としているのか

4.今はどうやって、その問題を解決しているのか

5.自分の商品やサービスだからこそ、できることは何か

この5つを考えるだけでも、

「何を売るか」

ではなく、

「何のために選ばれるのか」

という視点を持ちやすくなります。

「ニーズを満たす」だけでは十分ではない

最後に、もう一つ考えておきたいことがあります。

ニーズが分かったからといって、それだけで商品が売れるわけではありません。

同じニーズを満たす商品は、他にもあるかもしれません。

価格で選ばれることもあります。

品質で選ばれることもあります。

便利さで選ばれることもあります。

人柄で選ばれることもあります。

立地で選ばれることもあります。

ブランドや安心感で選ばれることもあります。

つまり、

「ニーズを知る」

ことは、マーケティングのスタート地点の一つです。

そこから、

「どうすれば自分が選ばれるのか」

を考えていくことになります。

ニーズとは、商品ではなく「必要としていること」

ニーズを一言で整理するなら、

「人が必要としていること」

です。

「何を買いたいのか」だけではなく、

「なぜ、それが必要なのか」

を見る。

「何が欲しいのか」だけではなく、

「どんな状態になりたいのか」

を見る。

この視点を持つと、

商品づくりも。

SNSの発信も。

ホームページの文章も。

接客も。

広告も。

少しずつ変わってきます。

マーケティングとは、単に商品を売る方法を考えることではありません。

「人が何を必要としているのか」を考えることでもあります。

まとめ

ニーズとは、

「人が必要としていること」

です。

マーケティングでは、

ニーズ
=必要としていること

ウォンツ
=そのニーズを満たすために欲しい具体的なもの

というように整理すると分かりやすくなります。

大切なのは、

「お客さんは何が欲しいと言っているか」

だけを見るのではなく、

「なぜ、それが欲しいのか」

「どんな状態になりたいのか」

まで考えることです。

そして、その答えを知るには、

お客さんの言葉を聞く。

行動を見る。

質問を記録する。

購入理由を聞く。

こうした小さな積み重ねが役に立ちます。

ニーズを考えることは、

「お客さんのために何を売るか」

を考えること。

そしてその先に、

「なぜ、その商品を選ぶのか」

というウォンツや価値の話がつながっていきます。

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