WEB ORGANIZING ROOM

その価格で、事業を続けられますか?

安くすることと、選ばれやすくすることは、同じではありません。

サービスの価格を決めようとすると、つい競合の料金が気になります。

高すぎたら依頼されないかもしれない。

安くしたら、仕事が増えるかもしれない。

でも、その価格で仕事を続けられるのか。必要な時間を確保できるのか。そこまで考えなければ、売上が増えても苦しくなってしまうことがあります。

こんにちは。まツ井 良ユきです。

前回は、自分の経験や得意なことから、商品・サービスの強みを整理する方法を考えました。

今回は、そのサービスにいくらの価格を付けるのかという話です。

個人事業主や小さな事業者にとって、価格設定は簡単ではありません。

特に、サービスを始めたばかりのときは、料金を決めるための実績や比較材料が少なく、判断に迷うこともあると思います。

しかし、価格は単に「いくらで売るか」を決めるだけのものではありません。

何を提供するのか。

どこまで対応するのか。

どのくらいの時間や費用が必要なのか。

どんな価値を届けるのか。

そして、その仕事を継続できるのか。

こうした要素が、価格に関係しています。

今回は、価格を決める前に整理しておきたいことから、具体的な計算方法、料金の伝え方まで考えていきます。

1.価格は、競合の真似だけでは決められない

価格を決めるとき、まず同業者の料金を調べる人は多いと思います。

競合の価格を知ることは大切です。

顧客がどのくらいの料金でサービスを選べるのか、一般的にどのような提供内容になっているのかを知る材料になるからです。

ただし、競合の価格を見て、そのまま自分の価格にするのは注意が必要です。

同じ「ホームページ制作」でも、サービスの内容はさまざまです。

  • テンプレートを使った簡易的なサイト制作
  • オリジナルデザインを含むサイト制作
  • 文章や掲載情報の整理から行う制作
  • 写真撮影や原稿作成を含む制作
  • 公開後の更新や保守を含むサービス
  • 事業戦略や集客導線の設計まで含む支援

同じ名称でも、作業範囲や責任、必要な時間が違えば、価格も違ってきます。

例えば、制作作業だけを提供するサービスと、制作前の情報整理から公開後の運用まで支援するサービスでは、必要な作業も顧客に提供する価値も異なります。

価格だけを比較してしまうと、自分が何を提供しているのかが見えなくなってしまいます。

競合の価格を見るときの確認項目

● 何がサービスに含まれているか。

● どこからが追加料金になるのか。

● 顧客は何を準備する必要があるか。

● 納品後のサポートは含まれているか。

● 自分のサービスと、提供範囲が同じか。

競合の価格は、あくまで判断材料の一つです。

大切なのは、その価格を参考にしながら、自分のサービスに必要な条件を整理することです。

2.最初に決めるのは、価格よりもサービスの範囲

価格を決めようとしても、なかなか決められない。

そんなときは、価格を考える前に、サービスの提供範囲を整理してみましょう。

例えば、「ホームページの相談」というサービスを考えてみます。

相談時間は30分なのか、60分なのか。

話を聞いて助言するだけなのか。

課題を整理した資料を作成するのか。

改善案まで提示するのか。

実際の修正作業も行うのか。

この違いによって、必要な時間も責任も変わります。

提供範囲が曖昧なまま料金だけを決めると、依頼を受けてから想定以上の作業が発生することがあります。

その結果、追加料金を請求しにくくなったり、長時間働いても利益が残らなかったりする可能性があります。

価格を決める前に整理すること

サービスに含まれる作業

何を実施し、何を納品するのか。

サービスに含まれない作業

どこからが別料金になるのか。

顧客にお願いすること

資料や写真、原稿、アカウント情報など、何を準備してもらうのか。

対応回数や期間

何回まで対応し、いつまで支援するのか。

これらが決まると、必要な作業量を想定しやすくなります。

価格設定は、数字を決める作業であると同時に、サービスの設計でもあるのです。

3.自分の作業時間を把握する

サービスの価格を考えるとき、まず確認したいのが、仕事にどのくらいの時間が必要なのかということです。

例えば、60分の相談サービスを提供するとします。

相談時間が60分だからといって、必要な仕事が60分で終わるとは限りません。

予約の確認、事前の情報確認、相談後の記録、資料の整理、顧客との連絡などにも時間がかかります。

ホームページ制作であれば、実際の制作作業以外にも、打ち合わせ、情報整理、原稿の確認、修正対応、公開準備などが発生します。

こうした時間を含めずに価格を決めると、想定よりも仕事に時間がかかり、利益が残りにくくなります。

作業時間の考え方

相談や制作などの直接作業

実際に顧客と話したり、制作したりする時間。

準備や確認

資料の確認、情報収集、作業前の準備にかかる時間。

連絡や調整

メール、メッセージ、日程調整、確認事項への対応など。

修正や納品

修正、最終確認、納品、記録などにかかる時間。

これらを合計して、サービス一件あたりの作業時間を見積もります。

最初は正確な時間がわからなくても構いません。

まずは見積もりを作り、実際に仕事をしたあとで、どのくらい時間がかかったかを記録してみましょう。

想定と実績の差を確認することで、次回の価格設定や作業手順の改善に役立ちます。

4.価格を考えるための基本的な計算

ここでは、作業時間をもとに価格を考える方法を紹介します。

まず、自分の仕事に必要な時間を見積もります。

次に、その時間に対して、どのくらいの売上を確保したいのかを考えます。

例えば、次のような条件を仮定してみましょう。

計算例:サービス一件あたり

想定する作業時間:合計5時間

目安とする時間単価:4,000円

外部サービスなどの直接経費:2,000円

価格を考えるための計算:

5時間 × 4,000円 + 2,000円

= 22,000円

この例では、作業時間に対する目安と直接経費を合わせると、22,000円になります。

ただし、これはあくまで計算例です。

この金額が、そのまま適正価格になるわけではありません。

実際には、税金、社会保険、事業全体の経費、営業や学習などの間接時間、設備投資、事業として確保したい利益なども考える必要があります。

また、顧客が必要としている価値や、競合サービスとの比較、地域や業界の価格水準なども判断材料になります。

時間単価は、価格を考えるための一つの基準です。

それだけで価格が決まるわけではないことを覚えておきましょう。

5.売上と利益は違う

個人事業主が価格を考えるとき、売上だけを見てしまうことがあります。

しかし、売上がそのまま自分の収入になるわけではありません。

事業には、さまざまな費用がかかります。

  • サーバーやドメインなどの利用料
  • ソフトウェアやオンラインサービスの利用料
  • 通信費や設備費
  • 外注費
  • 広告宣伝費
  • 移動費や打ち合わせに関する費用
  • その他、事業を続けるために必要な経費

サービスによっては、材料費や仕入れ費用が大きくなる場合もあります。

例えば、10万円の売上があったとしても、材料費や外注費などに6万円かかっていれば、残りは4万円です。

さらに、その売上を得るために何時間働いたのかも考えなければなりません。

このように、売上の金額だけでは、事業がどれくらい成り立っているのかは判断できません。

価格を考えるときの視点

売上はいくらか。

直接かかる費用はいくらか。

仕事に何時間かかったか。

事業全体の経費をまかなえるか。

継続するための利益を確保できるか。

価格を決めるときは、売上だけでなく、費用と時間を合わせて確認しましょう。

なお、ここでいう利益は、税金などを差し引いた後の個人の手取り額とは異なります。

事業の採算を考えるときは、経費や税金などを分けて把握し、必要に応じて税理士などの専門家にも確認することが大切です。

6.安くすれば、依頼されやすくなるのか

サービスを始めたばかりのとき、料金を安く設定したくなることがあります。

まだ実績が少ないから。

自分より経験豊富な人がいるから。

高い料金を提示する自信がないから。

その気持ちは理解できます。

ただし、安くすれば必ず依頼されやすくなるとは限りません。

顧客は、価格だけでサービスを選んでいるわけではないからです。

何をしてくれるのか。

自分の悩みを理解してくれるのか。

安心して任せられるのか。

料金に見合う価値があるのか。

こうした要素も、依頼を判断する材料になります。

価格を下げる前に、まずはサービスの内容がわかりやすく伝わっているかを確認してみましょう。

料金が高いと感じられているのではなく、何に対して支払うのかがわからない可能性もあります。

一方で、提供内容や価値を十分に説明しても、顧客の予算と合わない場合もあります。

その場合は、無理に値下げするだけでなく、サービスの範囲や提供方法を見直す方法もあります。

価格を下げる前に確認したいこと

● サービス内容が具体的に説明されているか。

● 何が含まれ、何が含まれないか明確か。

● 顧客が得られる価値を説明できているか。

● 依頼するまでの不安を減らせているか。

● 提供範囲を調整して、必要な予算に合わせられないか。

安くすること自体が悪いわけではありません。

初回限定の料金や、作業範囲を限定したプランなど、目的を持って価格を設計する方法もあります。

大切なのは、理由もなく価格を下げないことです。

値下げするなら、何を変えるのか、どんな目的があるのかを明確にしましょう。

7.価格は、顧客にとっての価値からも考える

ここまで、作業時間や経費をもとに価格を考えてきました。

もう一つ重要なのが、顧客にとっての価値です。

同じ作業時間であっても、提供するサービスによって、顧客が得られる価値は異なります。

例えば、1時間の相談であっても、単に情報を説明する場合と、複雑になっている事業の課題を整理し、次に取り組むべきことを明確にする場合では、提供内容が違います。

ただし、顧客にとって価値が高いと自分で思っているだけでは、価格の根拠として十分ではありません。

その価値を必要としている人がいるのか。

どのような問題を解決できるのか。

何が納品され、どんな状態を目指すのか。

こうした点を具体的に説明できる必要があります。

作業内容だけで説明する場合

60分のオンライン相談。

提供する内容まで説明する場合

現在のホームページや情報発信の状況を確認し、困っていることを整理したうえで、優先して見直す項目をまとめる60分のオンライン相談。

後者では、相談の目的や内容が具体的になっています。

もちろん、説明を具体的にすれば、高い料金でも必ず選ばれるわけではありません。

顧客が必要としている内容か、料金に納得できるか、提供者を信頼できるかなど、複数の要素が関係します。

だからこそ、作業時間だけで価格を決めるのでも、価値があると主張するだけでもなく、両方の視点から考えることが大切です。

8.サービスの価格を、どう見せるか

価格が決まったら、次は顧客への見せ方を考えます。

ホームページやサービス案内に料金を掲載するとき、金額だけを書いて終わりにしていないでしょうか。

例えば、次のような表示です。

料金だけの表示

相談料 5,000円

金額はわかりますが、何を相談できるのか、どのくらいの時間なのか、何が得られるのかはわかりません。

そこで、提供内容も一緒に説明してみます。

Web整理相談

5,000円

時間:60分

対象:ホームページや情報発信の整理に困っている小規模事業者

内容:現在の状況や悩みを確認し、優先して取り組むことを整理します。

範囲:実作業や継続的な運用支援は含みません。

この料金は表示方法を説明するための例であり、実際の相場や推奨価格を示すものではありません。

重要なのは、金額と一緒に、顧客が判断するために必要な情報を提示することです。

料金を見せるときは、次の項目を確認してみましょう。

  • 税込価格か、税別価格か。
  • サービスの時間や期間。
  • 含まれる作業や納品物。
  • 含まれない作業や追加料金の条件。
  • 顧客に準備してもらうもの。
  • 申込みから提供までの流れ。

価格をわかりやすく見せることは、単に金額を公開することではありません。

顧客が、自分に必要なサービスかどうかを判断できるようにすることです。

9.料金プランを分けるときの考え方

サービスによっては、料金プランを複数用意する方法もあります。

例えば、Web関連の支援であれば、次のような分け方が考えられます。

プランA|状況整理

現状や課題を確認し、優先順位を整理する。

プランB|改善設計

状況整理に加えて、具体的な改善案や実行手順をまとめる。

プランC|実行支援

合意した改善案に沿って、設定や更新などの実作業も支援する。

このように、顧客が必要とする支援の深さに合わせて、サービスを分ける方法があります。

ただし、最初からたくさんのプランをつくる必要はありません。

選択肢が増えすぎると、顧客が違いを理解しにくくなることもあります。

また、提供側も管理が複雑になり、各プランの作業範囲が曖昧になってしまう可能性があります。

まずは、一つのサービスを明確に設計し、必要に応じて追加プランを検討する方法でも十分です。

料金プランは、見栄えを整えるためにつくるものではありません。

顧客のニーズと、提供できる内容の違いをわかりやすくするためのものです。

10.無料相談と有料サービスの境界線を決める

サービスを始めたばかりのとき、相談を受けること自体は大切な機会になります。

相手の悩みを知ることができ、自分のサービスが役に立つかどうかも考えられるからです。

ただし、無料相談が長くなりすぎると、事業として続けることが難しくなる場合があります。

少し話を聞くつもりだったのに、具体的な改善案を考え、資料を作り、何度も連絡を取り合っていた。

そんな状態になってしまうと、時間を使っているのに売上につながらないという問題が起きます。

無料相談を行うこと自体が悪いわけではありません。

何を無料で提供し、どこから有料になるのかを決めておくことが重要です。

無料と有料の範囲を分ける例

無料で行うこと

サービスの概要説明、依頼内容の確認、対応可能かどうかの判断。

有料で行うこと

詳細な現状分析、課題の整理、改善案の作成、資料の納品、具体的な作業支援など。

これは一例であり、すべての事業に同じ区分が適しているわけではありません。

大切なのは、無料の範囲でも相手に必要な説明を行いながら、専門的な作業や継続的な支援には適切な料金を設定することです。

有料サービスに移るときは、何を提供し、いくらかかるのかを事前に説明しましょう。

相手が納得して選べる状態をつくることが、健全な取引につながります。

11.価格を決めたあとも、見直してよい

価格は、一度決めたら永久に変更できないものではありません。

実際にサービスを提供してみると、想定より時間がかかることもあれば、顧客が求めている内容が想定と違うこともあります。

そのような場合は、価格やサービス内容を見直すことができます。

ただし、依頼が一件あった、問い合わせがなかった、といった一つの出来事だけで、すぐに価格を変える必要はありません。

まずは、何が起きているのかを整理してみましょう。

価格を見直すときの確認項目

● 実際の作業時間は想定どおりだったか。

● 追加作業が発生していないか。

● 顧客はサービス内容を理解できていたか。

● 料金に対して、どのような反応があったか。

● 提供内容と顧客のニーズは合っていたか。

● 事業として継続できる利益を確保できているか。

価格を見直す場合も、値上げや値下げだけが選択肢ではありません。

サービスの提供範囲を整理する。

作業の進め方を改善する。

顧客が準備するものを明確にする。

説明資料や申込みの流れを整える。

こうした改善によって、サービスの採算や提供品質が変わることもあります。

価格とサービス内容は、セットで考えていきましょう。

12.今日できる、価格設定のワーク

最後に、自分のサービスの価格を整理するためのワークを紹介します。

まだ価格を決めていない人も、すでに料金を設定している人も、確認に使えます。

STEP 1|何を提供するのか

サービスの内容、納品物、対応範囲を書き出す。

STEP 2|どのくらい時間がかかるのか

準備、連絡、実作業、修正、納品までを見積もる。

STEP 3|必要な費用はいくらか

外部サービス、材料、外注、移動などの費用を確認する。

STEP 4|どんな価値を提供するのか

顧客のどんな課題を解決し、何を得られるようにするのかを整理する。

STEP 5|事業として続けられるか

経費や間接時間も考慮し、必要な利益を確保できるか確認する。

STEP 6|顧客が判断できるか

料金と一緒に、提供内容、範囲、条件、申込みの流れを説明できるか確認する。

この6項目を整理すると、価格を決めるために何が足りないのかが見えてきます。

時間がわからなければ、まず作業時間を記録する。

提供内容が曖昧なら、サービスの範囲を決める。

顧客にとっての価値がわからなければ、どんな問題を解決するのかを整理する。

一度で正解を出そうとせず、必要な情報を集めながら決めていきましょう。

まとめ|価格は、事業の設計そのもの

サービスの価格を決めるとき、競合の料金を参考にすることは大切です。

しかし、それだけで価格を決めてしまうと、自分のサービスに必要な時間や費用、提供範囲が見えなくなることがあります。

今回のポイントを整理します。

価格設定のチェックリスト

□ 提供するサービスの範囲を決めた。

□ 一件あたりに必要な時間を見積もった。

□ 直接費用と事業全体の経費を確認した。

□ 継続するために必要な利益を考えた。

□ 顧客にとっての価値を具体的に説明できる。

□ 無料と有料の範囲を整理した。

□ 価格と一緒に、提供内容や条件を説明できる。

価格は、高ければよいわけでも、安ければよいわけでもありません。

顧客が必要とする価値を提供できること。

提供する側が、品質を保って仕事を続けられること。

その両方を考える必要があります。

安くしなければ選ばれないと思い込む前に、まずは何を提供するのかを整理してみましょう。

サービスの内容が明確になれば、価格の根拠も説明しやすくなります。

そして、価格に納得できるかどうかを顧客が判断するための材料も増えていきます。

今日、考えてみてほしいこと。

今のあなたのサービスは、何に対して料金をいただくものですか。

その価格には、作業時間、費用、提供する価値、そして事業を続けるための条件が反映されていますか。

まずは、今の価格を決めた理由を一度書き出してみてください。

私は、事業を整理するとき、価格だけを切り離して考えることはしません。

誰に、何を、どのように提供するのか。

どこまで対応し、どんな状態を目指すのか。

そして、その仕事を無理なく続けていけるのか。

それらをつなげて考えることが、商品やサービスを形にするための土台になると考えています。

つくる前に整理する。

価格を決めるときにも、その考え方は変わりません。

それでは、また。

まツ井 良ユきでした。

まツ井 良ユき|小さな事業のWeb整理室

旭川・北海道の小さな事業者へ。

ホームページ、SNS、集客、情報発信を、つくる前に整理する。

Web制作やEC運営などの実務経験をもとに、小さなお店や個人事業の情報発信と事業の仕組みを考えています。

WEB ORGANIZING ROOM

あなたが当たり前にやっていることに、価値があるかもしれない。

強みは、誰かより優れていることだけではありません。

自分の強みがわからない。

競合と比べると、自分には特別なものがないように感じる。

サービスの説明をしようとしても、結局「丁寧に対応します」くらいしか思い浮かばない。

そんなときは、何か新しい強みをつくる前に、今までの経験や仕事の進め方を整理してみると、見えてくるものがあります。

こんにちは。まツ井 良ユきです。

前回は、自分の商品やサービスを誰に届けるのか、ターゲット設定について整理しました。

今回は、その続きです。

届けたい相手が見えてきたら、次に考えたいのが「なぜ、その人は自分を選ぶのか」ということ。

同じような商品やサービスを提供している人がいるなかで、自分に相談する理由は何でしょうか。

価格でしょうか。

技術でしょうか。

経験でしょうか。

対応の仕方でしょうか。

あるいは、ほかの人には説明しにくい悩みを、安心して話せることかもしれません。

強みというと、資格、受賞歴、売上実績、専門技術などを想像しがちです。

もちろん、それらも強みになります。

しかし、小さな事業の強みは、それだけではありません。

今回は、自分の強みを整理するための考え方と、実際の商品・サービスに結びつける方法を紹介します。

1.強みがわからないのは、能力がないからとは限らない

自分の強みを聞かれて、すぐに答えられる人はどれくらいいるでしょうか。

得意なことを聞かれても、特に思いつかない。

これまでの経験を振り返っても、ほかの人より優れているとは思えない。

そんな人もいると思います。

ただ、ここで一つ考えてみたいことがあります。

自分にとって簡単なことと、ほかの人にとっても簡単なことは、必ずしも同じではありません。

例えば、次のようなことです。

  • 相手の話を聞き、問題を整理する。
  • 複雑な情報を、わかりやすい順番に並べ直す。
  • 専門用語を使わずに、仕組みを説明する。
  • 複数の選択肢を比較し、判断材料をまとめる。
  • 相手が自分で判断できるように、必要な情報を用意する。
  • 一度決めたことを、実際に運用できる形に整える。

これらは、特別な資格や派手な実績がなくても発揮できる能力です。

しかし、本人にとっては普段からやっていることなので、強みとして認識されていない場合があります。

自分の仕事を振り返るとき、成果だけを見ていると、こうした部分を見落としやすくなります。

何を達成したかだけでなく、どのように取り組んだかも振り返ってみましょう。

まずは、こんな質問から

● 人からよく頼まれることは何か。

● 説明しなくても自然にできていることは何か。

● 人より苦にならずに続けられることは何か。

● 問題が起きたとき、自然と何から考えるか。

● 仕事をするとき、無意識に気をつけていることは何か。

強みを見つける最初の作業は、自分を大きく見せることではありません。

自分が実際にやっていることを、具体的に把握することです。

2.「得意なこと」と「顧客にとっての価値」は違う

ここは、強みを商品やサービスに結びつけるうえで重要なポイントです。

自分が得意なことを、そのまま説明すれば、顧客に価値が伝わるとは限りません。

例えば、「情報を整理するのが得意です」と言われても、相手は、それによって何が変わるのかがわからないかもしれません。

では、少し具体的にしてみます。

自分の得意なこと

情報を整理するのが得意。

顧客に提供できる価値

頭のなかでまとまっていないサービス内容を整理し、ホームページに何を掲載すればよいのか判断しやすくする。

このように考えると、得意なことと顧客の悩みがつながります。

もう一つ例を挙げます。

自分の得意なこと

人の話をじっくり聞くことができる。

顧客に提供できる価値

考えがまとまっていない段階でも相談しやすく、話しながら本当に解決したい問題を整理できる。

さらに、次のような例もあります。

自分の得意なこと

Webサイトの設定や更新ができる。

顧客に提供できる価値

専門的な知識がない事業者でも、必要な情報をWeb上に掲載し、公開後に更新するための準備を進められる。

ここで大切なのは、「得意なこと」と「相手が得られる結果」を分けて考えることです。

顧客がお金を払う理由は、提供者が得意なことそのものではなく、それによって得られる価値にある場合が多いからです。

ただし、価値の感じ方は相手によって違います。

こちらが役に立つと思っていることが、顧客にとって優先度の高い問題とは限りません。

自分の得意なことを整理したら、それを必要としている人がいるかどうかも確かめていきましょう。

3.強みは、資格や実績だけではない

事業の強みを考えるとき、わかりやすい資格や実績がある人は有利に見えます。

実際、資格や実績が、顧客の安心や判断材料になる場面はあります。

しかし、それだけで選ばれるかどうかが決まるわけではありません。

小さな事業では、次のような要素も、顧客にとっての価値になる可能性があります。

強みを探すための6つの視点

1.経験

過去にどんな仕事や課題に関わってきたか。

2.技術

どんな作業を実際にできるか。どこまで対応できるか。

3.考え方

何を大切にし、どんな基準で判断しているか。

4.進め方

相談から実行まで、どのような手順で仕事を進めるか。

5.関係づくり

相手が相談しやすい環境や、意思決定を支えるために何ができるか。

6.対応範囲

どこまで自分で対応し、どこから専門家などにつなぐか。

例えば、同じホームページ制作でも、デザインを中心に提供する人と、事業内容や情報を整理してから制作する人では、仕事の進め方が違います。

どちらが優れているという話ではありません。

顧客が求めているものによって、適した相手が変わるということです。

制作前の情報整理が苦手な顧客にとっては、デザインの提案だけでなく、掲載内容や優先順位を一緒に考えてくれる相手が必要かもしれません。

逆に、掲載する情報も構成もすでに決まっていて、デザインだけを依頼したい顧客なら、デザインに特化したサービスが適している場合もあります。

強みは、絶対的な順位で決まるものではありません。

誰の、どんな課題に対して、自分の経験や能力が役立つのか。

その組み合わせから考えてみましょう。

4.過去の経験を、今の仕事にどう生かせるか

これまでの仕事を振り返るとき、現在提供しているサービスと同じ仕事だけを探す必要はありません。

異なる業界での経験が、今の仕事に生かせることもあります。

例えば、店舗での接客経験がある人なら、顧客が購入を判断するまでの気持ちや、商品説明で迷いやすい点を理解しやすいかもしれません。

ECサイトの運営経験がある人なら、商品を登録するだけでなく、説明文、画像、価格、購入までの流れなどをまとめて考えることができます。

現場での業務経験がある人なら、実際に使う人が困らない手順や、運用しやすい仕組みを意識できるかもしれません。

ここで重要なのは、経験したことを並べるだけで終わらせないことです。

その経験を通じて、何を理解し、何ができるようになったのかを整理します。

経験を強みに変換する考え方

経験したこと

ECサイトの運営に携わった。

身についた理解や能力

商品情報の登録、説明文、画像、販売ページ、購入までの流れなどを実務として理解している。

顧客に提供できる価値

ネットショップを始めたい事業者に、制作だけでなく運用時に必要な情報や作業も見据えた整理を提供できる可能性がある。

この例のように、過去の経験から、今の顧客に提供できる価値を考えてみます。

もちろん、過去に経験したことなら何でも強みになるわけではありません。

実際にどの程度できるのか、現在も対応できるのか、顧客の課題に役立つのかを確認する必要があります。

経験は、単なる経歴ではありません。

そこから何を身につけ、今の仕事にどう生かせるかを整理することで、初めてサービスの価値とつながります。

5.「丁寧に対応します」だけでは、強みが伝わりにくい

ホームページやプロフィールで、よく見かける言葉があります。

「丁寧に対応します」

「お客様に寄り添います」

「一人ひとりに合わせたサービスを提供します」

こうした姿勢は大切です。

ただし、多くの事業者が同じような言葉を使っているため、それだけでは違いが伝わりにくい場合があります。

では、どうすればよいのでしょうか。

姿勢を、実際の行動に置き換えて説明してみます。

一般的な表現

お客様に寄り添った対応をします。

具体的な表現

ご相談内容がまだまとまっていない場合も、現在の状況や困っていることを確認し、取り組むべき課題を一緒に整理します。

一般的な表現

わかりやすく説明します。

具体的な表現

専門用語だけで説明するのではなく、選択肢ごとの違いと、判断するために必要な情報を整理してお伝えします。

一般的な表現

公開後もサポートします。

具体的な表現

公開後に自分で更新するための手順や、変更が必要になったときの対応方法を、契約範囲に応じて整理します。

このように書くと、仕事への姿勢が、具体的なサービス内容として伝わりやすくなります。

ただし、実際に提供していないことまで書いてはいけません。

自分が普段から実践していること、責任を持って対応できることを言葉にするのが基本です。

「丁寧に対応する」という気持ちを否定する必要はありません。

その丁寧さが、具体的にどのような行動として表れるのか。

そこまで説明できると、顧客はサービスを利用する場面を想像しやすくなります。

6.競合と比べる前に、自分が提供する価値を整理する

自分の強みを考えるとき、競合のホームページやSNSを調べることもあるでしょう。

競合分析は、顧客がどんなサービスを選べるのかを理解するうえで役立ちます。

ただ、比較を始めると、自分に足りないものばかりが目に入ってしまうことがあります。

相手には立派な実績がある。

制作事例も多い。

専門的な技術もある。

価格もわかりやすく整理されている。

それを見て、自分には勝てるところがないと感じてしまう。

しかし、そこで考えたいのは、すべての項目で競合を上回る必要があるのか、ということです。

顧客は、必ずしも一番安い事業者や、一番実績が多い事業者だけを選ぶわけではありません。

依頼内容、予算、対応範囲、コミュニケーション、進め方など、複数の条件を踏まえて判断します。

例えば、次のような違いが考えられます。

同じWeb関連サービスでも、提供の仕方は違う

A:制作を中心に進める

掲載内容や仕様がある程度決まっている顧客に向いている可能性がある。

B:制作前の情報整理から進める

何を掲載するか、何を優先するかが決まっていない顧客に向いている可能性がある。

C:公開後の運用を重視する

自分たちで更新しながら使い続けたい顧客に向いている可能性がある。

これは、どれが優れているという話ではありません。

それぞれのサービスに、向いている顧客や状況があるということです。

自分の強みを整理するときは、競合の特徴を確認したうえで、自分がどんな顧客のどんな課題に向き合えるのかを考えてみましょう。

違いを無理につくる必要はありません。

自分が実際に提供できる価値を、必要としている人に伝わる形にすることが重要です。

7.強みを探すときに、やってはいけないこと

強みを整理することは大切ですが、注意したい点もあります。

① 無理に「唯一無二」を目指す

事業の説明を考えていると、「ほかにはないサービスにしなければ」と思うことがあります。

しかし、世の中にまったく同じ事業者がいないことと、顧客に選ばれることは別の問題です。

すでに存在するサービスでも、特定の顧客にとって利用しやすく、必要な価値が提供されるなら、選択肢になり得ます。

無理に奇抜なコンセプトをつくるより、誰のどんな課題を、どのように解決するのかを明確にするほうが先です。

② 実績を大きく見せる

経験や実績は、顧客が依頼を判断するための材料になります。

だからこそ、実際に経験したことと、まだ経験していないことを分けて説明する必要があります。

対応したことのない案件を、経験豊富であるかのように見せたり、確かめていない成果を実績として紹介したりするのは避けましょう。

今できることを正確に伝え、必要であれば対応範囲や条件を明示することが、長期的な信頼につながります。

③ 自分が得意なことだけを押し出す

自分が好きな仕事や得意な仕事であっても、顧客が必要としていなければ、商品として成立しにくいことがあります。

反対に、顧客の要望に合わせすぎて、自分が提供できないことまで引き受けてしまうのも問題です。

自分ができることと、相手が必要としていることの重なりを探しましょう。

④ 一度決めた強みにこだわり続ける

事業を始めた段階では、自分の強みを十分に理解できていないこともあります。

実際に仕事をしてみると、想定していなかった部分が評価されたり、別の課題に対応できることがわかったりします。

そのような経験を踏まえて、強みの説明を見直しても問題ありません。

強みは、最初から完璧に決めるものではなく、実践を通じて解像度を高めていくものでもあります。

8.自分の強みを整理するワーク

ここまでの内容を踏まえて、自分の強みを整理してみましょう。

紙でも、スマートフォンのメモでも構いません。

次の5項目を書き出してみてください。

STEP 1|これまでの経験

どんな仕事、活動、役割を経験してきたか。

STEP 2|実際にできること

現在、どんな作業や支援を提供できるか。どこまで対応できるか。

STEP 3|普段から大切にしていること

仕事を進めるとき、何を意識しているか。どんな判断基準を持っているか。

STEP 4|相手に提供できる価値

自分の経験や能力によって、顧客の何が改善される可能性があるか。

STEP 5|その価値を必要とする人

どんな状況にいる人なら、自分の提供できる価値を必要とするか。

書き出すときは、立派な言葉にしようとしなくても大丈夫です。

「話を聞くのが好き」

「細かいところが気になる」

「全体を見てから作業する」

「わからないことを調べて整理する」

最初は、このような言葉でも構いません。

そこから、実際の行動や顧客に提供できる価値へと具体化していきます。

例えば、「細かいところが気になる」という特徴が、Webサイトの情報漏れや表記の不一致に気づきやすいことにつながる場合もあります。

ただし、その特徴が仕事上の強みになるかどうかは、実際にどのような場面で役立つかによって変わります。

自分の特徴を、そのまま強みだと決めつけるのではなく、仕事にどう生かせるのかを考えることが大切です。

9.強みは、顧客の反応からも見えてくる

自分だけで強みを考えていると、どうしても主観が入ります。

そこで、実際に関わった人の反応も参考にしてみましょう。

例えば、次のようなことを振り返ります。

  • 相談した人が、どの部分に安心していたか。
  • どんな説明をしたときに、理解が進んだか。
  • どのような作業や対応を評価されたか。
  • どんな理由で依頼や相談につながったか。
  • 仕事が終わったあと、どんな変化や感想があったか。

こうした情報があれば、自分では気づいていなかった価値が見つかることがあります。

ただし、一人から褒められたことだけで、すぐに強みだと決める必要はありません。

複数の場面で繰り返し見られる特徴なのか、顧客が実際に必要としていることなのかを確認しましょう。

まだ顧客や実績が少ない段階なら、過去の仕事で一緒に働いた人や、実際にサービスを利用した人に話を聞く方法もあります。

これから顧客になりそうな人に意見を聞く場合は、無料で問題を解決し続けるのではなく、何を知りたいのかを先に決めておくことも大切です。

意見を聞くときの質問例

● どんな点がわかりやすかったですか。

● どんな点に不安を感じましたか。

● 依頼先を選ぶとき、何を重視しますか。

● どのような説明があると、依頼を判断しやすいですか。

● 似たサービスがある場合、何を比較しますか。

こうした質問を通じて、顧客が何を価値として受け取るのかを確かめていきます。

強みは、自分が言いたいことだけで完成するものではありません。

自分が提供できることと、相手が価値を感じることが重なる部分を見つけていきましょう。

10.強みが整理できたら、サービスの説明に反映する

強みを書き出しただけでは、まだ事業には十分に生かせていません。

整理した内容を、顧客が判断するための情報に変えていきましょう。

例えば、次のような場所に反映できます。

ホームページ

誰のどんな課題に対応し、何を提供するのかを説明する。

プロフィール

これまでの経験と、現在の仕事に生かしていることを伝える。

サービス紹介ページ

対応範囲、進め方、成果物、料金、対象となる人を整理する。

ブログ

顧客の悩みに役立つ情報を発信し、自分の考え方や専門性を伝える。

SNS

仕事への向き合い方、判断の基準、実務から得た気づきなどを伝える。

すべての媒体で、同じ文章を使う必要はありません。

ホームページではサービス内容をわかりやすく説明し、ブログでは顧客の悩みを深く掘り下げ、SNSでは日々の考え方や活動を伝える。

それぞれの役割に合わせて、同じ強みを違う角度から伝えることができます。

大切なのは、媒体ごとに別の人物を演じたり、違う強みを無理につくったりしないことです。

自分が実際に提供している価値を軸にして、伝え方を変えていきましょう。

まとめ|強みは、見つけるだけでなく、相手に伝わる形にする

自分の強みがわからないとき、無理に特別なものを探す必要はありません。

これまでの経験、得意なこと、仕事の進め方、顧客への向き合い方。

そうした身近な要素を整理することで、自分が提供できる価値が見えてくることがあります。

今回のポイントを整理します。

強みを整理するチェックリスト

□ 自分が実際にできることを書き出した。

□ これまでの経験から身についたことを整理した。

□ 得意なことと、顧客に提供できる価値を分けて考えた。

□ 自分が大切にしている仕事の進め方を具体化した。

□ どんな顧客の課題に役立つのかを考えた。

□ 実際に提供できる範囲を確認した。

□ 顧客の反応をもとに、説明を見直せるようにした。

強みは、競合より優れていることを証明するためだけにあるのではありません。

自分がどんな相手の、どんな課題に役立てるのかを理解するためのものでもあります。

そして、顧客にとって意味のある強みは、相手に伝わって初めて選択の判断材料になります。

どれだけ優れた技術があっても、何をしてくれる人なのかわからなければ、依頼を検討しにくいことがあります。

反対に、自分が提供できることと、顧客が必要としていることが明確になっていれば、大きな実績がなくても、具体的な相談につながる可能性があります。

もちろん、それだけで依頼が決まるわけではありません。

料金、対応範囲、信頼性、実際の需要など、さまざまな条件が関係します。

だからこそ、強みだけを切り離して考えるのではなく、商品、顧客、情報発信とつなげて整理することが大切です。

今日、考えてみてほしいこと。

あなたが普段、当たり前のようにやっていることで、誰かの役に立っていることは何でしょうか。

それは、どんな人の、どんな困りごとに役立つでしょうか。

まずは一つ、具体的な場面を思い浮かべてみてください。

私は、事業やWebの情報を整理するとき、目に見える制作物だけでなく、その前にある考え方や判断の基準も大切にしています。

何をつくるのか。

誰に届けるのか。

なぜ、その方法を選ぶのか。

こうしたことが整理されると、自分の強みも、商品やサービスの説明も、少しずつつながっていきます。

つくる前に整理する。

それは、何かを難しくするためではなく、必要なことを見つけ、進む方向を考えやすくするためです。

それでは、また。

まツ井 良ユきでした。

PS

近況をひとつ。私が共同代表を務めるSTUDIO DiWの「うんのしまマーケット」が、今週末(11月7日・8日 10:00〜17:00)に、道の駅 羊のまち 侍・しべつ(士別市)のイベント「賑わいJUNKANリレー」に出店しています。うんのしまふれんずの体験会を開いています。お近くの方は、よかったら覗いてみてください。

公式サイトはこちらです。https://unnoshima.com/

まツ井 良ユき|小さな事業のWeb整理室

旭川・北海道の小さな事業者へ。

ホームページ、SNS、集客、情報発信を、つくる前に整理する。

Web制作やEC運営などの実務経験をもとに、小さなお店や個人事業の情報発信と事業の仕組みを考えています。

WEB ORGANIZING ROOM

その商品、誰に届けますか?

「誰でも歓迎」は、誰にも伝わらないことがある。

商品やサービスが決まったら、次に考えたいのは、それを誰に届けるのかということ。

たくさんの人に知ってもらいたい。その気持ちは自然です。

でも、届けたい相手が曖昧なままだと、何を伝えればよいのかまで曖昧になってしまいます。

こんにちは。まツ井 良ユきです。

今回は、小さなお店や個人事業主が考えておきたい「ターゲット設定」について整理します。

自分の商品やサービスを提供していると、こんな悩みが出てくることがあります。

  • どんな人を対象にすればよいのかわからない。
  • 対象を絞ると、お客さんが減ってしまいそうで不安。
  • 年齢や性別を決めてみたけれど、発信内容が思い浮かばない。
  • 商品を必要としている人が、どこにいるのかわからない。
  • ホームページやSNSで、誰に向けて書けばよいのか迷ってしまう。
  • いろいろな人に合わせようとして、サービスの説明が広がってしまう。

こうした悩みは、商品そのものの問題とは限りません。

誰に向けて提供するのかが、まだ整理されていない可能性があります。

ターゲットを考えることは、特定の人以外をお客さんにしないと決めることではありません。

まず、誰のどんな問題に向き合うのかを明確にすることです。

それができると、商品設計、価格設定、ホームページ、SNS、営業先の選定まで、一つの方向につなげやすくなります。

1.ターゲット設定とは、どんな人に売るかを決めること?

ターゲット設定という言葉を聞くと、次のような項目を思い浮かべる人も多いと思います。

よく使われるターゲットの項目

  • 年齢
  • 性別
  • 居住地域
  • 職業
  • 家族構成
  • 収入や予算
  • 趣味や興味関心

これらは、顧客を理解するための情報として役立ちます。

例えば、旭川市内で店舗を経営している事業者を対象にするなら、地域や事業形態は重要な条件になるかもしれません。

しかし、同じ地域でお店を経営している人でも、必要としているサービスは違います。

開業したばかりでホームページがない人。

長く営業していて、ホームページの情報が古くなっている人。

SNSを更新しているものの、問い合わせにつながらない人。

ECサイトを運営しているが、商品情報の管理に困っている人。

年齢や職業だけでは、この違いを十分に説明できません。

つまり、ターゲット設定では「どんな属性の人か」だけでなく、「どんな状況にいる人か」を考えることが大切です。

ターゲットを考える視点

どんな人なのか。

今、どんな状況にいるのか。

何に困っているのか。

なぜ、その問題を解決したいのか。

どんな支援なら、役に立てるのか。

このように考えると、ターゲットは単なる人物像ではなく、サービスを必要とする状況まで含めて捉えられるようになります。

2.「誰でも歓迎」にすると、伝える内容が難しくなる

小さな事業を始めたばかりのときは、できるだけ多くの人に利用してほしいと思うものです。

そのため、対象を広く設定したくなることがあります。

「個人も法人も対応します」

「初心者から経験者まで歓迎します」

「Webに関するお悩みを何でも解決します」

こうした表現が、すべて悪いわけではありません。

実際に幅広いニーズへ対応できる事業もあります。

ただし、幅広く対応できることと、幅広い相手に同じ説明をすればよいことは別です。

例えば、ホームページを作りたい人と、ホームページから問い合わせが来なくて困っている人では、知りたい情報が違います。

前者は、制作の流れや費用、準備するものを知りたいかもしれません。

後者は、今のサイトのどこに問題があるのか、何を改善すればよいのかを知りたいかもしれません。

同じWebサービスでも、相手の状況によって伝えるべき内容は変わります。

そのため、最初からすべての人に向けて発信しようとすると、説明が一般的になり、相手が自分に関係する情報だと気づきにくくなることがあります。

説明の違いを考えてみる

広い表現

「Webのことなら幅広くご相談ください」

状況を具体化した表現

「ホームページを作りたいけれど、何を掲載すればよいのかわからない小さなお店の方へ。制作前の情報整理からお手伝いします」

後者は、対象となる状況が具体的です。

その悩みを抱えている人なら、自分に関係があるサービスだと理解しやすくなります。

大切なのは、対象を狭く見せることではありません。

必要としている人が、自分のことだと気づける説明にすることです。

3.ターゲットは「属性」より「困っている状況」から考える

では、実際にターゲットを考えるときは、何から始めればよいのでしょうか。

おすすめしたいのは、まず顧客が置かれている状況から考えることです。

例えば、Web関連のサービスを提供する場合、次のような状況が考えられます。

状況A|これから開業する

事業内容は決まってきたが、ホームページやメールアドレスなど、Webまわりの準備ができていない。

状況B|ホームページを作りたい

制作の必要性は感じているが、何を載せるのか、どのようなページが必要なのかを整理できていない。

状況C|情報発信を続けている

SNSやブログを更新しているが、発信内容とサービスの案内がつながっていない。

状況D|Webの運用を見直したい

ホームページやECサイトはあるが、更新方法や情報の管理が整理されておらず、改善したい部分も把握できていない。

このように分けると、どんなサービスが必要になりそうかを考えやすくなります。

ただし、ここに挙げた状況は、あくまで考えるための例です。

実際にどの状況の人が多いのか、どのサービスに需要があるのかは、地域や業種、提供する内容によって異なります。

自分の想像だけで決めつけず、実際の相談内容や顧客の声を確認することが大切です。

まずは、自分が役に立てそうな状況をいくつか書き出してみましょう。

4.顧客の悩みを、もう一段深く考える

ターゲットとなる人の状況が見えてきたら、次は、その人がなぜ困っているのかを考えます。

例えば、「ホームページが古い」という悩みがあったとします。

しかし、古いこと自体が本当の問題とは限りません。

詳しく考えると、次のような事情があるかもしれません。

  • 営業時間や料金が古いままになっている。
  • 現在提供しているサービスが掲載されていない。
  • スマートフォンで見ると情報がわかりにくい。
  • 更新方法がわからず、必要な情報を変更できない。
  • 問い合わせ先が見つけにくい。
  • 現在の事業内容とホームページの説明が合っていない。

このように、同じ悩みのように見えても、具体的な課題は異なります。

そして、課題が違えば、必要なサービスも変わります。

情報の更新だけで解決できる場合もあれば、ページ構成やサービス説明を見直す必要がある場合もあります。

だからこそ、ターゲット設定では、悩みを表面的な言葉だけで捉えないことが重要です。

悩みを深掘りするための質問

● 何が起きていて、困っているのか。

● いつから、その問題があるのか。

● 今は、どのように対処しているのか。

● 何が原因で、解決できずにいるのか。

● そのままだと、どんな不便が続くのか。

● どんな状態になれば、解決したと感じるのか。

こうした質問を考えると、顧客が本当に必要としている支援を想像しやすくなります。

ただし、相手の気持ちや事情を、想像だけで決めつけないことも大切です。

仮説を立てたら、会話や問い合わせ、実際の依頼内容などから確かめていきましょう。

5.「困っている人」と「依頼する人」は同じとは限らない

ここは、商品やサービスを考えるうえで、特に意識しておきたいところです。

ある問題に困っている人がいるとしても、その人が必ずサービスを購入するとは限りません。

例えば、ホームページの更新に困っている事業者がいたとします。

しかし、その人は次のような状況かもしれません。

  • 自分で調べて解決するつもりでいる。
  • 知人に頼めるので、外部へ依頼する必要がない。
  • 困ってはいるが、今すぐ解決する必要はない。
  • 外部へ依頼したいが、予算を確保できていない。
  • 必要性は感じているものの、誰に頼めばよいかわからない。

同じ悩みを持っていても、依頼する可能性やタイミングは異なります。

そのため、顧客を考えるときは、悩みだけでなく、依頼する理由や条件も整理する必要があります。

例えば、次のような項目です。

依頼につながる条件を考える

問題を解決する必要性がある。

自分だけでは対応しにくい部分がある。

外部に頼むメリットを理解できる。

予算や時間などの条件が合っている。

任せられる相手だと判断できる。

もちろん、これらの条件を満たせば必ず依頼されるわけではありません。

ただ、困っている人を探すだけでなく、どんなときにサービスを必要とするのかを考えることで、商品や情報発信を改善しやすくなります。

「誰が困っているか」に加えて、「どんなときに、なぜ依頼するのか」まで考えてみましょう。

6.ターゲットを決めるときは、自分が提供できることも忘れない

顧客の悩みを考えることは大切ですが、相手が求めていることなら何でも商品にすればよい、というわけではありません。

自分が対応できる範囲を超えてしまえば、品質を保つことが難しくなります。

例えば、Web関連の相談であっても、専門的なシステム開発や高度なプログラミングが必要な案件は、対応できる人や会社へ依頼したほうがよい場合があります。

一方、情報の整理、WordPressの基本的な設定、ページ構成の検討、運用手順の整理など、自分の経験を生かして対応できる領域もあります。

ターゲットを決めるときは、顧客のニーズだけでなく、自分の能力や経験、使える時間、提供できる品質も合わせて考えましょう。

ターゲットを選ぶ3つの視点

1.相手が必要としていること

どんな悩みがあり、何を解決したいのか。

2.自分が提供できること

どんな経験や技術を生かせるのか。どこまで責任を持てるのか。

3.事業として続けられること

必要な時間や費用に対して、継続できる条件になっているか。

この3つが重なる部分は、最初のターゲットを考えるための有力な候補になります。

もちろん、最初から完全に一致する相手が見つかるとは限りません。

だからこそ、仮説を立てて、小さく試しながら調整していくことが大切です。

7.ターゲットを絞ると、お客さんが減ってしまう?

ターゲットを具体的にしましょうと伝えると、よく出てくる心配があります。

対象を絞ったら、それ以外の人から依頼されなくなるのではないか。

その不安は、よくわかります。

特に、まだ顧客が少ない段階では、対象を広くしておいたほうが機会が増えるように感じるかもしれません。

ただ、ここで考えたいのは、ターゲット設定と、実際に依頼を受ける範囲は必ずしも同じではないということです。

ターゲットは、主に誰へ向けて商品や情報を設計するのかを決めるものです。

実際に問い合わせがあったときは、提供できる内容や条件が合っていれば、想定していたターゲット以外の人を支援できる場合もあります。

例えば、主な対象を「ホームページ制作前の情報整理に困っている小規模事業者」としていても、既存サイトの情報整理を相談されることはあるでしょう。

その相談に対応できるのであれば、必ず断る必要はありません。

大切なのは、すべての人に向けて同じ説明をしようとしないことです。

考え方の整理

主なターゲット

商品や情報発信を設計するとき、中心に考える相手。

実際に対応できる相手

相談内容や条件を確認したうえで、サービスを提供できる相手。

この2つを分けて考えると、ターゲットを設定することへの抵抗も少なくなるかもしれません。

最初から市場全体を相手にする必要はありません。

まずは、一番役に立てそうな相手を明確にする。

そのうえで、実際の相談や依頼を通じて、対応できる範囲を見直していけばよいのです。

8.小さな事業では、地域もターゲットを考える材料になる

旭川や上川地域で事業をしている場合、地域という条件も重要になります。

例えば、対面での打ち合わせが必要なサービスなら、移動できる範囲や訪問対応の条件が関係します。

地域のイベントや店舗に関する情報発信であれば、その土地の事情や顧客の動きへの理解が役立つこともあります。

一方、オンラインで提供できるサービスなら、地域を限定しないほうがよい場合もあります。

つまり、地域をターゲットに含めるかどうかは、サービスの内容や提供方法によって考える必要があります。

例えば、次のように整理できます。

地域を考慮したターゲット設定の例

対面での支援を重視する場合

旭川市内や近郊で、Webの情報整理を相談したい小規模事業者。

オンラインで支援する場合

地域を問わず、ホームページの掲載情報やサービス内容を整理したい個人事業主。

地域の商店やイベントに関する支援の場合

地域の事情を踏まえながら、情報発信や案内方法を見直したい店舗・事業者。

ただし、地域を限定したからといって、すぐに依頼が増えるとは限りません。

実際に、どのような事業者がいて、どんな課題を抱えているのかを確認する必要があります。

地域名をホームページに入れるだけでなく、その地域の人が抱える具体的な課題に向き合うことが大切です。

地域で仕事を獲得したいなら、地域名とサービス名の組み合わせだけでなく、地域の顧客が何を必要としているのかまで考えてみましょう。

9.ターゲットが決まると、ホームページの文章が変わる

ターゲット設定は、ホームページの文章にも影響します。

誰に向けたサービスなのかが曖昧だと、説明も一般的になりやすいからです。

例えば、次のような説明があったとします。

例:一般的な説明

ホームページ制作、SNS運用、Webコンサルティングなど、幅広いサービスを提供しています。

提供内容はわかりますが、どんな人が、どんな状況で相談すればよいのかは、少し見えにくいかもしれません。

そこで、ターゲットと悩みを具体化してみます。

例:対象と悩みを具体化した説明

ホームページを作りたいけれど、掲載する情報やページ構成が決まっていない小さなお店・個人事業主へ。制作に取りかかる前の情報整理から、必要な準備を一緒に考えます。

こちらは、対象となる人と、提供する支援がより具体的になっています。

ホームページを作る前の段階で困っている人なら、自分に関係のあるサービスだと理解しやすくなります。

同じように、サービスページ、プロフィール、問い合わせページ、ブログ記事なども、ターゲットに合わせて整理できます。

ただし、ターゲットに合わせて文章を書けば、それだけで問い合わせが増えるわけではありません。

サービスの内容、料金、実績、信頼性、問い合わせまでの流れなども、依頼を判断するための重要な情報です。

ターゲット設定は、Webサイト全体を整えるための土台の一つと考えましょう。

10.SNSの発信テーマも、ターゲットから考える

SNSで何を発信すればよいのかわからないときも、ターゲット設定が役立ちます。

発信するテーマを考える前に、誰に向けて発信するのかを整理してみましょう。

例えば、ホームページ制作前の情報整理を必要としている小規模事業者が対象なら、次のようなテーマが考えられます。

  • ホームページを作る前に整理したい情報
  • サービス内容を文章にするときの考え方
  • 制作会社に相談する前に決めておきたいこと
  • ホームページに掲載する料金や営業時間の考え方
  • 公開後に自分で更新するための準備
  • 情報が整理されていないまま制作を進めるときの注意点

これらは、対象となる人の悩みと直接関係するテーマです。

一方で、ターゲットを決めずに、思いついた話題をその都度発信していると、投稿同士のつながりが弱くなることがあります。

もちろん、日常の出来事や自分の考えを発信することにも意味があります。

特に、仕事を依頼する相手を探している人にとっては、提供者の人柄や考え方を知ることが判断材料になる場合もあります。

大切なのは、すべての投稿を宣伝にすることではありません。

顧客の悩みに役立つ情報、自分の考え方、実際の仕事への向き合い方などを、目的に応じて組み合わせることです。

ターゲットを整理しておくと、発信する内容を選ぶときの判断基準ができます。

11.顧客がどこにいるのかを考える

ターゲットがある程度見えてきたら、次に考えたいのが、その人とどこで接点を持てるのかということです。

ホームページやSNSを整えても、対象となる人との接点がなければ、情報を届ける機会は限られます。

顧客との接点は、SNSだけとは限りません。

例えば、次のような場所や機会があります。

顧客との接点の例

  • 地域の商店や事業者との交流
  • 業界団体や事業者向けの勉強会
  • 地域のイベントや展示会
  • 既存の取引先や知人からの紹介
  • 検索から訪問するホームページやブログ
  • SNS上での情報発信や交流
  • 事業者向けの相談窓口や支援機関との接点

どの方法が適しているかは、ターゲットやサービスによって違います。

地域で対面支援を提供するなら、地域の事業者との接点が役立つ可能性があります。

専門的な情報を検索している人が対象なら、検索意図に合った記事やサービスページが重要になるかもしれません。

ただし、交流会に参加したり、SNSを更新したりすれば、必ず顧客が見つかるわけではありません。

それぞれの方法にかかる時間や費用、得られた反応を確認しながら、続ける方法を選ぶことが大切です。

「どこで発信するか」を考える前に、「誰と接点を持ちたいのか」を考える。

この順番を意識してみましょう。

12.ターゲット設定は、一度決めたら変えてはいけないものではない

ターゲットを設定するとき、最初から正解を決めようとする必要はありません。

実際に事業を始めてみると、想定していなかった人から相談を受けたり、特定の悩みに対する需要が見えてきたりすることがあります。

そのような情報を踏まえて、ターゲットを見直すこともできます。

例えば、当初は開業したばかりの事業者を対象に考えていたとしても、実際には、長く営業している店舗からホームページの情報整理について相談されることが多いかもしれません。

その場合は、相談内容や依頼の条件を確認し、今後どの層を中心に支援するかを考え直すことができます。

ただし、一件の相談だけで、すぐにターゲットを変更する必要はありません。

複数の相談内容や、実際に依頼につながったケース、必要な作業時間、収益性などを確認しながら判断していきましょう。

ターゲットを見直すときの確認項目

どんな人から相談があったか。

どんな悩みが繰り返し出てくるか。

どの相談が実際の依頼につながったか。

どのサービスなら品質を保って提供できるか。

時間や費用を踏まえて、継続できる仕事になっているか。

ターゲット設定は、一度決めたら固定するものではありません。

現時点での仮説を持ち、実際の反応を見ながら調整していくものです。

大切なのは、何となく方向性を変えるのではなく、判断するための情報を集めていくことです。

13.今日できる、ターゲット設定のワーク

ここまでの内容を踏まえて、自分の商品やサービスについて整理してみましょう。

難しいマーケティング用語を覚える必要はありません。

まずは、次の5項目を書き出してみてください。

STEP 1|誰を対象にするのか

例:旭川市内で店舗を経営している小規模事業者。

STEP 2|どんな状況にいるのか

例:ホームページを見直したいが、何から手をつければよいかわからない。

STEP 3|何に困っているのか

例:掲載情報が古く、現在のサービス内容が十分に伝わっていない。

STEP 4|何を提供できるのか

例:現在の情報を整理し、必要な修正箇所と優先順位をまとめる。

STEP 5|どこで接点を持つのか

例:地域の事業者との交流、検索に対応した記事、既存のつながりなど。

これはあくまで記入例です。

実際に商品を提供する場合は、自分が対応できる内容や、対象となる人の状況に合わせて具体化してください。

この5項目を書き出すだけでも、商品、顧客、情報発信、接点のつながりを整理しやすくなります。

もし書けない項目があれば、そこが次に確認したい部分です。

対象が曖昧なら、顧客について考える。

悩みが曖昧なら、実際の相談内容を調べる。

提供内容が曖昧なら、自分の経験や対応範囲を整理する。

一度で完成させようとせず、足りない情報を一つずつ埋めていきましょう。

まとめ|誰に届けるかが決まると、事業の情報がつながり始める

ターゲット設定は、年齢や性別を決めるだけの作業ではありません。

どんな状況にいる人が、何に困っていて、なぜ自分のサービスを必要とするのか。

そこまで考えることで、商品や情報発信の方向性が見えやすくなります。

今回のポイントを整理します。

ターゲット設定のチェックリスト

□ 年齢や職業だけでなく、相手の状況を考えた。

□ どんな悩みを抱えているのか整理した。

□ なぜ、その問題を解決したいのか考えた。

□ 自分が提供できる内容と照らし合わせた。

□ 依頼するために必要な条件を考えた。

□ その人と接点を持てる場所を考えた。

□ 実際の反応を確認し、見直せるようにした。

商品やサービスを、できるだけ多くの人に届けたい。

その気持ちは大切です。

ただ、最初から全員に向けて発信する必要はありません。

まずは、自分が役に立てそうな人を具体的に考える。

その人が必要としている情報を整理し、伝わる形で届ける。

そして、実際の反応を見ながら、必要に応じて見直していく。

この積み重ねが、商品と顧客、そして情報発信をつなげることにつながります。

今日、考えてみてほしいこと。

あなたの商品やサービスを、今、一番必要としているのはどんな人でしょうか。

年齢や性別だけではなく、その人が置かれている状況と、解決したい悩みまで考えてみてください。

そこが見えてくると、何を伝えるべきか、どこで接点を持つべきかも少しずつ整理できるはずです。

事業を整えるときは、商品だけを考えても、発信だけを考えても、うまくつながらないことがあります。

誰に、何を、どのように届けるのか。

それぞれを一つの流れとして考えることが大切です。

私は、Webを整えることも、その前にある事業の情報を整理することから始まると考えています。

それでは、また。

まツ井 良ユきでした。

まツ井 良ユき|小さな事業のWeb整理室

旭川・北海道の小さな事業者へ。

ホームページ、SNS、集客、情報発信を、つくる前に整理する。

Web制作やEC運営などの実務経験をもとに、小さなお店や個人事業の情報発信と事業の仕組みを考えています。

名刺やチラシにQRコードを載せたまま、読み取った先がどうなっているか、最近確認したことはありますか。
ホームページを移転したり、SNSのアカウント名を変えたり、ページの構成を変えたりすると、以前に印刷したQRコードのリンク先が表示されなくなっていることがあります。お客さんは興味を持って読み取ってくれたのに、画面が開かなければ、そのまま離れてしまいます。せっかくの出会いを、リンク切れひとつで逃してしまうのはもったいないことです。

なぜリンク切れが起きるのか
QRコード自体は、読み取るとあらかじめ決めたアドレスへ進む仕組みです。そのため、アドレス先のページが無くなったり、アドレスそのものが変わったりすると、コードは残っていても行き先が無くなります。ホームページの整理やリニューアルをしたとき、SNSのプロフィールを変更したとき、オンラインショップのページを閉じたときなどが、起こりやすいタイミングです。印刷物は一度配ると回収が難しいため、気づかないまま配り続けてしまうこともあります。

確認と整え方の手順
1. 今使っている印刷物を集める
名刺、チラシ、ショップカード、店頭のポスターなど、QRコードが載っているものを手元に集めます。どれにコードが載っているか、まず全体を把握することが出発点です。
2. 実際にスマートフォンで読み取る
印刷物ごとに、自分のスマートフォンでQRコードを読み取り、開いた画面を確認します。想定したページが開くか、表示が崩れていないか、連絡方法や営業案内までたどり着けるかを確かめます。このとき、Wi-Fiだけでなくモバイル回線でも一度試すと安心です。
3. 行き先の一覧を作る
コードごとに「どの印刷物か」「どこへつながるか」「今も正しいか」を一覧にします。一覧にしておくと、次にホームページやSNSを変更するときに、影響する印刷物がすぐに分かります。
4. 変わった行き先から直す
ページが無くなっているものは、代わりの正しいページへ差し替えます。差し替えがすぐできない場合は、その印刷物の配布をいったん止めます。新しい印刷物を作るときは、変わりにくい行き先を選ぶことも大切です。たとえば、細かいページではなく、連絡方法や案内がまとまったページへつなぐと、多少の変更があっても対応しやすくなります。
5. 変更のたびに読み取り直す
ホームページやSNSに変更を加えたら、印刷物のQRコードも読み取り直す習慣をつけます。変更した直後なら、配布済みのものへの影響にも早く気づけます。

まとめ
QRコードのリンク切れは、発信を増やす前に整えておきたい基本のひとつです。印刷物を集めて、実際に読み取り、一覧にして、変わった行き先から直す。この順番で見直すだけでも、お客さんが「興味を持ったのにたどり着けない」という場面はぐっと減ります。今日、名刺を一枚取り出して読み取ってみることから始めてみてください。

まツ井 良ユき|小さな事業のWeb整理室

相談・依頼は松井構造室の公式サイトからどうぞ https://soundsfund.com/

WEB ORGANIZING ROOM

やれることは、いろいろある。

でも、何を商品にすればいいのかわからない。

経験もある。知識もある。人から相談されることもある。

それなのに、自分のサービスを決めようとすると、候補ばかり増えてしまう。

そんなときに必要なのは、新しいアイデアを探すことではなく、今あるものを整理することかもしれません。

こんにちは。まツ井 良ユきです。

今回は、小さな事業を始めた人や、これから自分のサービスを形にしたい人に向けて、「商品・サービスの決め方」を整理します。

自分で仕事をしていると、こんな状態になることがあります。

  • できることがいくつもあって、一つに絞れない。
  • 相談には乗れるけれど、料金をつける方法がわからない。
  • ホームページ制作も、SNS運用も、コンサルティングも気になる。
  • 商品を考えているうちに、別のアイデアが浮かんでくる。
  • サービス名やブランド名は決まるのに、肝心の商品が決まらない。
  • 何を提供するか決めきれず、情報発信も営業も進まない。

一つでも心当たりがあるなら、まずは安心してください。

商品が決められないからといって、提供できる価値がないとは限りません。

むしろ、経験やスキル、興味のあることが複数あるために、それらをどう組み合わせれば仕事になるのかが見えにくくなっている場合があります。

ただし、いつまでも考え続けていれば、自然に正解が見つかるわけでもありません。

必要なのは、自分の能力をすべて詰め込んだ商品を考えることではなく、誰かの困りごとに対して、自分が何を提供できるのかを具体的にすることです。

1.商品が決まらないのは、能力が足りないからとは限らない

最初に、商品とサービスの違いを簡単に整理しておきます。

商品という言葉を聞くと、手に取れる物や、ECサイトで販売する物を思い浮かべる人もいるでしょう。

もちろん、それも商品です。

一方、個人事業主やフリーランスが提供する仕事も、設計の仕方によっては商品として整理できます。

例えば、次のようなものです。

サービスを商品として考える例

  • ホームページの改善点を整理する相談
  • お店の情報発信を見直すための診断
  • ECサイトの商品ページを改善する支援
  • 事業の強みや特徴を言葉にするサポート
  • 開業前に必要なWeb環境を整える支援
  • 既存のサービスや業務の流れを整理する伴走支援

これらは、特別な設備や大規模なシステムがなくても、知識や経験、作業を組み合わせて提供できるサービスの例です。

ただし、知識があることと、それを有料サービスとして提供できることは同じではありません。

お金をいただくには、何を提供するのか、どこまで対応するのか、どんな人の役に立つのかを明確にする必要があります。

例えば、「Webのことなら何でも相談できます」という説明では、幅広く対応できる印象はあります。

しかし、依頼する側からすると、自分の悩みが対象なのか、相談したら何をしてもらえるのか、いくらかかるのかがわかりにくいかもしれません。

商品が決まらないときは、自分の能力を疑う前に、提供する内容がまだ整理されていない可能性を考えてみましょう。

2.最初から「一生続ける商品」を決めなくていい

商品を決めようとすると、つい大きな判断をしようとしてしまいます。

これを主力商品にするべきなのか。

この分野で長くやっていけるのか。

今後、事業を拡大できるのか。

ブランドの方向性と合っているのか。

もちろん、長期的な方向性を考えることは大切です。

ただ、最初の商品を決める段階ですべての答えを出そうとすると、判断が難しくなります。

最初の商品は、これから先ずっと変えてはいけないものではありません。

実際に提供してみて、依頼する人の反応や作業にかかる時間、必要とされる内容などを確認しながら、調整していくことができます。

最初の商品に必要なこと

誰の、どんな困りごとを対象にするのか。

何を提供するのか。

どこまで対応するのか。

どのような条件で提供するのか。

まずは、この範囲を決めるところから始めます。

大きな事業計画や完璧なブランド設計ができるまで、商品を出せないわけではありません。

小さく提供できる形をつくり、実際の反応から改善していく。

そのほうが、頭の中だけで考え続けるよりも、判断材料を得られることがあります。

もちろん、どんな商品でも、とにかく販売すればよいということではありません。

自分が責任を持って提供できることと、相手が必要としていることの両方を確認する必要があります。

3.最初に整理するのは「自分ができること」

商品を考えるとき、最初から市場で売れそうなものを探す人もいます。

もちろん、需要を考えることは重要です。

ただし、自分がどんなことを提供できるのかを把握しないまま、需要がありそうな分野に飛び込むと、学習や準備に時間がかかりすぎたり、継続できなかったりする可能性があります。

まずは、今ある経験やスキルを整理してみましょう。

ここでいうスキルは、資格や専門技術だけではありません。

仕事の中で自然にやっていることや、人からよく頼まれることも、整理する価値があります。

棚卸しのための質問

● これまで、どんな仕事を経験してきたか。

● 人よりも早く、またはスムーズにできることは何か。

● 人から相談されることは何か。

● 何度も繰り返し対応してきた仕事は何か。

● 調べたり、整理したり、説明したりすることの中で得意なものは何か。

● 自分が提供できることと、まだ対応できないことは何か。

例えば、ホームページ制作の経験がある人なら、Webサイトを作る技術だけが提供できる価値ではないかもしれません。

ドメインやサーバーの準備、メールの設定、掲載情報の整理、問い合わせフォームの設置、公開後の更新方法の説明など、制作の前後にもさまざまな作業があります。

ECサイトの運営経験がある人なら、商品登録や商品ページの情報整理、販売に必要な準備、運用上の課題を見つけることなども、経験として整理できます。

ここで大切なのは、経験を大きく見せることではありません。

自分が実際にできることを、具体的な作業や対応内容に分けて把握することです。

「Webに詳しい」という言葉だけでは、何を頼めるのかが伝わりません。

しかし、「ドメイン取得からWordPressの初期設定まで、必要な手順を整理して対応する」と言えば、提供する内容が具体的になります。

まずは、自分の中にある経験を、他人にも理解できる言葉へ置き換えてみましょう。

4.「できること」を並べるだけでは、商品にならない

ここで、一つ注意したいことがあります。

できることをたくさん書き出せたとしても、それだけで売れる商品が完成するわけではありません。

なぜなら、提供する側の都合と、依頼する側の悩みは、必ずしも一致しないからです。

例えば、自分が次のことをできるとします。

  • ホームページを制作できる
  • SNSの投稿を作成できる
  • ECサイトを運用できる
  • 画像を作成できる
  • 文章を整理できる

これらを全部まとめて「Webまわりを総合的に支援します」とすることもできます。

しかし、依頼する側が求めているのは、必ずしも全部の作業ではありません。

あるお店は、SNSを更新する時間がないのかもしれません。

別のお店は、ホームページが古くなり、掲載情報を更新できずに困っているのかもしれません。

また別の事業者は、ECサイトを持っているものの、商品情報の整理や運用の手順が定まっていないのかもしれません。

同じ「Webの悩み」でも、必要な対応は違います。

だからこそ、商品を考えるときは、できることを並べるだけでなく、相手の悩みと結びつける必要があります。

考え方を変えてみる

「ホームページを制作できます」

↓

「ホームページがなく、事業の情報をまとめて案内する場所がない小さなお店を支援できます」

↓

「掲載する情報を整理し、必要なページを決め、公開までの手順を明確にするサービスを提供できます」

このように整理すると、誰のどんな課題に対して、何を提供するのかが見えてきます。

商品とは、単に自分ができることを集めたものではありません。

自分ができることを、誰かが必要としている形に整えたものです。

5.誰に向けた商品なのかを決める

商品設計で、もう一つ重要なのが対象となる人です。

「個人事業主向け」

「中小企業向け」

「Webで困っている人向け」

こうした説明は、方向性を示す言葉としては使えます。

ただ、対象が広いままだと、具体的な商品を考えにくいことがあります。

なぜなら、事業者によって困っていることも、予算も、使える時間も違うからです。

例えば、同じ小規模事業者でも、次のような違いがあります。

ケースA|開業したばかりのお店

ホームページを作りたいが、何を載せればよいのか、何から準備すればよいのかわからない。

ケースB|長く営業しているお店

ホームページはあるが、情報が古くなっており、更新方法もわからない。

ケースC|ECサイトを運営している事業者

商品は登録しているが、商品情報の整理や運用に手間がかかり、改善したい部分も把握できていない。

この3つのケースでは、必要なサービスが違う可能性があります。

ケースAなら、掲載情報の整理や公開までの準備が必要かもしれません。

ケースBなら、既存サイトの調査や更新方法の整理が先かもしれません。

ケースCなら、ECサイトの情報や運用手順を見直す支援が合う可能性があります。

ここで大切なのは、対象を狭めること自体を目的にしないことです。

対象を具体的にすると、相手の状況を想像しやすくなり、商品に含める作業や説明する内容も決めやすくなります。

最初の商品は、できるだけ具体的な一つの状況から考えてみましょう。

6.相手の悩みを、依頼できる内容に置き換える

対象となる人を考えたら、次は、その人が抱えている悩みを整理します。

ここで意識したいのは、悩みをそのままサービス名にするのではなく、実際に依頼できる作業へ置き換えることです。

例えば、「集客できない」という悩みがあります。

しかし、集客できない理由は一つではありません。

  • そもそも、対象となる人に知られていない
  • サービスの内容が伝わっていない
  • ホームページに必要な情報がない
  • 問い合わせ方法がわかりにくい
  • 提供している商品と顧客の需要が合っていない
  • 問い合わせ後の対応や販売の流れに課題がある

原因が違えば、必要な対応も違います。

そのため、「集客を改善します」という大きな約束だけでは、何を提供するのかが曖昧になりやすいのです。

まずは、どの部分に課題があるのかを確認し、その範囲で対応できることを考えます。

悩みからサービスを考える例

悩み:ホームページに何を書けばよいかわからない。

サービス案:掲載する情報の棚卸しとページ構成の整理。

悩み:SNSを更新しているが、プロフィールや案内先が整理されていない。

サービス案:プロフィール、固定投稿、リンク先の情報整理。

悩み:ECサイトの運用手順が属人的になっている。

サービス案:商品登録や更新作業の手順整理とマニュアル作成。

いずれも、売上が必ず増えることを約束するサービスではありません。

何を整理し、何を作成し、どこまで対応するのかを具体的にしたサービス案です。

成果を保証できない部分まで約束するのではなく、自分が責任を持って提供できる範囲を明確にすることが大切です。

7.最初の商品は、小さく設計する

商品を決めるときに、最初から大きなサービスを作ろうとすると、準備に時間がかかります。

ホームページ制作なら、企画、設計、デザイン、実装、文章、写真、SEO、公開後の運用まで、すべてを含めたサービスを考えるかもしれません。

しかし、依頼する側が最初からそこまで必要としているとは限りません。

また、提供する側も、作業範囲が広くなるほど、必要な時間や責任を正確に見積もる必要があります。

そこで考えたいのが、最初の商品を小さく設計することです。

例えば、ホームページを作る前段階に絞って、掲載情報やページ構成を整理するサービスを考えてみます。

SERVICE DESIGN EXAMPLE

ホームページ制作前の情報整理

対象

ホームページを作りたいが、掲載する情報やページ構成が決まっていない小さなお店・個人事業主。

提供する内容

  • 現在の事業内容やサービスの確認
  • ホームページに掲載したい情報の棚卸し
  • 必要なページの整理
  • 各ページに掲載する内容の方向性をまとめる
  • 次に取り組む作業の優先順位を整理する

成果物の例

整理した情報一覧、ページ構成案、次の作業のチェックリスト。

対象外の作業の例

デザイン制作、WordPressの構築、文章の全面執筆などは、別途相談のうえ対応範囲を決める。

これは、商品設計の例です。

実際にサービスとして提供する場合は、必要な作業時間や提供できる品質、料金などを自分の状況に合わせて決める必要があります。

このように範囲を絞ると、依頼する側は何を頼めるのかを理解しやすくなり、提供する側も作業内容を管理しやすくなります。

そして、必要があれば、その後にホームページ制作や運用支援へ進むことも考えられます。

最初からすべてを提供しようとしなくてもよいのです。

まずは、一つの悩みに対して、一つの具体的な支援を提供できる形にしてみましょう。

8.サービスの名前より先に、提供内容を決める

商品を考えていると、名前をつけたくなることがあります。

サービス名、ブランド名、ロゴ、キャッチコピー。

こうした要素は、サービスを覚えてもらったり、世界観を伝えたりするうえで役立ちます。

ただし、名前が決まったからといって、商品そのものが完成したわけではありません。

例えば、「Web伴走サポート」という名前をつけたとします。

名前からは、Webに関する支援を継続的に行うサービスだと想像できます。

しかし、依頼する側が知りたいことは、ほかにもあります。

  • 何について相談できるのか
  • 相談だけなのか、実作業も含まれるのか
  • どのくらいの期間、どのような形で支援するのか
  • 連絡や打ち合わせの方法は何か
  • 料金はいくらなのか
  • どこまでが料金に含まれるのか

ここが曖昧なままだと、名前が魅力的でも、サービスを具体的に理解してもらうのは難しくなります。

順番としては、次のように考えると整理しやすくなります。

商品設計の順番

1.誰を対象にするのか。

2.どんな悩みを扱うのか。

3.何を提供するのか。

4.どこまで対応するのか。

5.どんな条件と価格で提供するのか。

6.内容が伝わる名前や説明を考える。

名前を考えることが悪いわけではありません。

ただ、商品そのものが曖昧な段階では、名前を何度も変えるよりも、提供内容を具体化することを優先したほうが、前に進みやすくなります。

9.価格は、商品を設計した後に考える

商品が決まらないとき、価格をどうするかで悩む人もいます。

高く設定すると依頼されないのではないか。

安くすると、仕事として続けられないのではないか。

ほかの事業者はいくらで提供しているのだろうか。

いろいろなことが気になります。

価格を考えるうえで、競合するサービスや市場の相場を確認することは大切です。

ただし、他社の価格だけを見て、自分の価格を決めるのは注意が必要です。

同じような名前のサービスでも、対応範囲、作業時間、専門性、納品物、サポート内容などが違う場合があります。

まずは、自分が提供する内容を整理しましょう。

価格を考えるために確認すること

  • 作業に必要な時間
  • 準備や打ち合わせに必要な時間
  • 使用するツールや外注などの経費
  • 修正や追加対応の範囲
  • 提供する成果物やサポート内容
  • 事業として継続するために必要な利益
  • 顧客が比較する選択肢や、予算との整合性

例えば、1時間の相談サービスであっても、事前に資料を確認し、相談後に整理資料を作成するのであれば、実際に必要な時間は1時間だけではありません。

反対に、相談内容を限定し、事前準備や相談後の作業を含めない形にすれば、提供する範囲を明確にできます。

価格は、自分の自信の大きさだけで決めるものではありません。

提供する内容と、必要な負担と、事業として継続できる条件を踏まえて考えます。

そして、相手がその金額を払う理由を理解できるように、何を提供するのかを説明します。

なお、適正な価格を設定したからといって、必ず依頼が入るわけではありません。

価格だけでなく、需要、信頼、認知、タイミングなども関係します。

だからこそ、価格を決めた後は、実際の相談や提案を通じて、必要に応じて見直していくことが大切です。

10.無料相談と有料サービスの境界線を決める

自分の商品を考えるうえで、意外と重要なのが、どこまでを無料で対応し、どこからを有料にするのかということです。

特に、相談やアドバイスを中心としたサービスでは、この境界が曖昧になりやすいものです。

少し質問されたので答える。

相手の状況を聞いているうちに、改善案をいくつも考える。

その場で具体的な作業方法まで説明する。

気づけば、まとまった時間を使っていた。

それなのに、正式な依頼にはつながらなかった。

こうしたことが続くと、仕事として提供する時間を確保しにくくなります。

相手の役に立ちたい気持ちは大切です。

しかし、事業を続けるためには、自分の時間や専門性をどのように提供するかを決めておく必要があります。

境界線を決める例

無料で対応する範囲

問い合わせ内容の確認、サービスの概要説明、対応可能かどうかの判断に必要な簡単な確認。

有料で対応する範囲

個別の状況を詳しく分析する、改善案をまとめる、具体的な資料を作る、実作業を行う、継続的に支援する。

これは一例であり、すべての事業者が同じ境界にする必要はありません。

無料相談を設ける場合でも、時間や目的を決めておくと、対応しやすくなります。

例えば、最初の15分は依頼内容の確認と、対応可能な範囲の説明に使う。

具体的な分析や改善案の作成が必要になったら、別途サービスとして提案する。

このように、最初から提供範囲を明確にしておけば、相手にも説明しやすくなります。

無料で何でも答えることが、信頼につながるとは限りません。

何を無料で行い、何に対して料金をいただくのか。

その線引きも、商品設計の一部です。

11.商品を決める前に、顧客の声を確認する

ここまで整理すると、自分の商品案を考えられるようになってくるかもしれません。

ただし、ここで一つ、忘れたくないことがあります。

自分にとって魅力的な商品と、実際に必要とされる商品は、必ずしも同じではないということです。

自分では便利だと思っていても、相手はそこに困っていないかもしれません。

反対に、自分では当たり前だと思っていた作業が、相手にとっては大きな負担になっていることもあります。

そこで、商品案ができたら、実際の顧客や対象となる事業者の声を確認してみましょう。

まだ顧客がいない場合は、想定する対象者に話を聞く方法もあります。

例えば、地域の小さなお店や個人事業主に、次のような質問をしてみます。

聞いてみたい質問

  1. 今、仕事の中で手間がかかっていることは何ですか。
  2. ホームページやSNS、情報発信で困っていることはありますか。
  3. その問題を解決するために、今はどんな方法を使っていますか。
  4. 外部の人に手伝ってもらうとしたら、どんな内容を頼みたいですか。
  5. 依頼先を選ぶとき、何を重視しますか。
  6. これまで、解決するためにお金や時間を使ったことはありますか。

質問するときは、自分の商品を売り込むことよりも、相手の状況を理解することを優先します。

「こんなサービスがあったら使いますか?」という質問だけでは、実際の需要を判断しにくい場合があります。

相手が気を遣って、好意的に答えてくれることもあるからです。

それよりも、今どんな問題があり、どのように対処していて、どれほど負担になっているのかを聞くほうが、具体的な情報を得られることがあります。

また、数人から話を聞いただけで、市場全体の需要を断定することはできません。

まずは、商品案を改善するための情報を集めるつもりで取り組みましょう。

顧客の声は、商品を決めるための判断材料です。

12.考え続けるより、小さく提供して確かめる

商品設計では、考えることも、調べることも必要です。

しかし、考える時間が長くなりすぎると、実際に提供できる段階へ進めなくなることがあります。

サービス名を考える。

ロゴを整える。

ホームページを作り込む。

SNSのプロフィールを何度も書き直す。

どれも、事業にとって意味がある作業かもしれません。

ただ、商品そのものがまだ決まっていないなら、まずは提供内容を整理し、対象となる人に確認することを優先したほうがよい場合があります。

最初から完璧な販売ページを作る必要はありません。

商品案を一つ決め、説明できる状態にして、実際の相談や提案に使ってみる。

その過程で、相手が理解しにくい部分や、必要とされる内容、作業にかかる時間などが見えてくることがあります。

もちろん、実際に提供する前には、料金、作業範囲、納期、契約条件などを明確にしておく必要があります。

また、個人情報や機密情報を扱う場合は、情報の管理方法にも注意が必要です。

小さく始めることは、準備を省略することではありません。

必要な準備をしたうえで、最初から大きく作り込みすぎず、確認と改善を進められる単位にすることです。

最初の一歩は、商品案を一つにすること。

誰の、どんな困りごとに対して、何を提供するのか。

その内容を説明できるようにする。

対象となる人の声を聞く。

対応できる範囲と価格を決める。

そして、実際の反応を確認する。

この小さな循環を回していくことで、商品を現実に合わせて育てていけます。

13.商品が決まったら、Webで伝える内容も変わる

商品を整理すると、ホームページやSNSで何を伝えるべきかも変わってきます。

例えば、「Webに関することを幅広く支援します」という説明しかなければ、発信する内容も幅広くなりがちです。

ホームページ制作の話をしたり、AIの話をしたり、SNS運用の話をしたり、事業全般の話をしたり。

それぞれに意味はありますが、見た人が「この人は、自分のどんな問題を解決してくれるのだろう」と理解しにくくなる可能性があります。

一方、最初の商品が「ホームページ制作前の情報整理」だと決まっていれば、発信するテーマも具体的になります。

  • ホームページに何を掲載すればよいのか
  • 制作会社に相談する前に準備しておきたい情報
  • 自分のサービスを文章にする方法
  • ページ構成を考えるときのポイント
  • ホームページ制作で事前に決めておきたいこと
  • Webサイトを作る前に整理できること

このような記事は、対象となる人の悩みに直接関係します。

記事を読んだ人が、サービスの必要性を理解し、自分に関係のある相談先だと認識するきっかけになる可能性があります。

ただし、記事を増やせば必ず問い合わせが増えるわけではありません。

必要な人に情報が届くこと、サービス内容がわかること、依頼する条件が明確であることなど、複数の要素が関係します。

商品を決めることは、販売する内容を決めるだけではありません。

誰に向けて、何を発信するのかを整理することにもつながります。

まとめ|商品は、できることと必要とされることの間にある

自分の商品やサービスが決められないとき、無理に新しいアイデアを探す必要はありません。

まずは、今までの経験やスキルを整理する。

次に、それを必要としている人の状況を考える。

そして、相手の困りごとに対して、自分が何を提供できるのかを具体的にします。

今回のポイントを整理すると、次のようになります。

商品設計のチェックリスト

□ 自分が実際にできることを整理した。

□ 対象となる人を具体的に考えた。

□ その人が抱えている悩みを考えた。

□ 悩みを解決するために提供できる内容を決めた。

□ 対応する範囲と対象外の作業を整理した。

□ 価格と提供条件を検討した。

□ 対象となる人の声を確認する方法を考えた。

□ 最初の商品を小さく提供できる形にした。

すべてが完璧に決まってから動く必要はありません。

ただし、何を提供するのかが曖昧なまま、ホームページやSNSだけを整えても、仕事につながる仕組みを作るのは難しくなります。

商品を考えることは、自分の可能性を一つに閉じ込めることではありません。

今の自分が提供できることを、誰かが必要としている形にすることです。

最初の商品は、これからの事業を考えるための出発点。

実際に提供し、相手の反応を確認しながら、必要に応じて育てていけばよいのです。

今日、できること。

紙やメモ帳に、次の一文を埋めてみてください。

「私は、____に困っている人に、____を提供します。」

最初は、うまく書けなくても大丈夫です。

書いてみると、対象が曖昧なのか、悩みが曖昧なのか、提供内容が曖昧なのかが見えてきます。

まずは一文にしてみる。そこから商品設計が始まります。

何を売るかを決める前に、誰のどんな困りごとに向き合うのかを考える。

そして、自分が提供できることを、相手が理解できる形に整える。

私は、こうした整理も、事業を形にするための大切な仕事だと考えています。

それでは、また。

まツ井 良ユきでした。

まツ井 良ユき|小さな事業のWeb整理室

旭川・北海道の小さな事業者へ。

ホームページ、SNS、集客、情報発信を、つくる前に整理する。

Web制作やEC運営などの実務経験をもとに、小さなお店や個人事業の情報発信と事業の仕組みを考えています。