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イメージになかったらしいが、
明らかにピアノのレベルは劣っている。
キャリアではほとんど同級生と変わらないのに、
指の動きがあまりに鈍いのだ。
にも拘らず、おいらがピアノを弾き始めた途端、
注目を一挙に集めてしまった。
思わぬ反響に、いろんな思いが入り混じって複雑だった。
ピアノを習っていたことは話していなかったから、
驚かせてやろうという魂胆があったことは否定しない。
その意味では実際に驚いてくれたので満足。
でも、自分にピアノが似合わないと思われていたのが
そもそも心外だった。
自分ではもう少しナイーブで
洗練されているタイプだと認識していたのだ。
ピアノがおいらとかけ離れているという周りの反応に、
いったいどんな男に思われていたのか、衝撃を受けた。
そのうえ、明らかに級友たちの演奏に比べ下手くそなのに
イメージに合わないがゆえに驚かれた。
その恥ずかしさも相まって
リアクションをとることができなかった。