でも大人と子供、とてもかなわない。
なおも諦めきれずに兄ちゃんに立ち向かっていく。
埒が明かないことは子供心にも分かっていたが、
悔しさだけから絡み続けた。
そこへ突然、一本の腕が目の前に現れた。
感情的になっていた自分は思わずがぶりと噛み付いてやった。
が、その腕は引っ込めることもなくそのまま。
スッと血の気が引いて、その腕を見ると
歯型がくっきりとついていた。
恐る恐るその腕の持ち主の顔を覗き込むと、祖母だった。
いくら相手が子供とはいえ痛かったはず。
ところが苦痛に顔をゆがめているわけでもなく、
むしろ穏やかな笑みさえ浮かべていた。
孫の気持ちを抑えるために自らの手を差し出し、
噛み付かれても平然としている。
えもいわれぬでかさに圧倒された。
兄ちゃんへの怒りはどこへやら、
自分の行為を恥じてすっかり萎縮してしまった。