ことばの泉



   ぎりり


浪に 洗われている

ぎりり


浪に 洗われている

ぎりり


侵食されるということは

決して美しくなるということではないのだ


自分の中に 優しい浪に耐えられるだけの

しっかりしたものが無ければ

何も残らないのだ


それが真実でなければ

決して うつくしくないのだ


そして

虚偽であろうと 真実であろうと

かなり 痛いのだ



ことばの泉



   行く


海から 霊が昇っていくのを見ていた

穏やかな小春日和 昇っていく霊にも

今しかないのだ



ことばの泉



   港


凍えはしなかった

ただひたすらに こころが寒い

ぼくは 通じない

誰にも通じない


遥かに続く曇天には

幾つかの罠が含まれて

時折 霰や吹雪を見舞ってくれる


漁船の多くは陸に揚げられ

春を待つことができるのだろう

そういう のどかな港


ぼくの魂は さみしいところに繫がれ

空と 人間を夢見ているのだろう

そういう エゴイスティックな 妄想