★★★☆☆

 

K2と呼ばれる山は登山に興味の無い人間でも知っている人が多いのではないでしょうか

 

あの山のフォルムはただ美しく、それでいて生き物を寄せ付けない厳しさも見せる、登山家にとってはとても魅力的な山なのだろうと想像できます

 

そんな山に挑むけれども登頂にこだわるあまりに無理をして、嵐に巻き込まれ、クレバスに落ちてしまう3人

その3人を助けに向かうが・・・というお話

 

この映画、リアリティという部分は大分低いです

 

少し前に『エベレスト』という映画を見たのですが、こちらは実際に起きた悲劇的な事故をもとにした映画なこともあり、リアリティという部分には大分こだわっていたと思います

それとどうしても比べてしまうので、うーん?となってしまうシーンが要所要所に見受けられました

 

・ヘリコプターも操縦不可な空気の薄い場所に酸素ボンベ無しで救助に向かうこと

・とりあえずニトログリセリンのくだり全般

 

このあたりはずっと「えぇ??」と思いながら鑑賞していました

 

ストーリーの部分では、とにかくボーンといいう人物の軽さが気になって気になって・・・

自分の名誉のためなら人の生死などまったくかえりみない、端的に言ってしまえば〝悪役″ですね

ただ厳しい登山の世界において、そんな人物は本当に存在し得るのでしょうかね

何度も命を懸けて山に挑むような人物であるならば、もう少し山への情熱や敬意、その人物の持つ死生観なんかに深みがあってもいいのに・・・と思いました

ただ映画をスリリングにするためだけの役、というご都合主義が見受けられてしまったことが残念です

 

ここまでけっこうな酷評ですが、それでも星3つにした訳

それはこの映画を見て、生きること、死ぬことについてそれなりに考えさせられたから

 

この映画の中で死の淵に立たされてしまう人が何人も出てきますが、それぞれがその死の淵で何を思ったか、どういう行動をとったか

そんなシーンを見ていて、果たして自分がいよいよ死ぬとわかった時に、私自身は何を感じるのかなぁとちょっと考えさせられたのです

 

K2登頂を目指していた3人の中の隊長さん

山のことをよく理解していて、命を守るためには登頂目前でも下山の決断ができる、そんな人物でした

でもいざ自分がケガで動けなくなって死ぬかもしれないという場面になった時に、死を最後まで受け入れませんでした

自分はもう自力では山を下りられない、もうすぐ尽きるであろう命

そんな中で限られた薬を拒否して仲間に分け与える事をせずに、自分に打ってもらう事を要求しました

映画的には「自分はもう死ぬから2人で使ってくれ」と言いそうなシーンでしたが、そうじゃなかった

最後まで生きるためにあがき続けました

実はそれがリアルなんじゃないかと思うのです

 

ちょっと話はそれますが、最近自分が〝死ぬ″夢を見まして

最後血の塊を吐いて、これで目を閉じたらもう最後、二度と家族の顔を見ることは出来ない、と思いながらいよいよもうダメ・・・という所で目が覚めました

目が覚めた後、ものすごくドキドキして、安心したのです

本当に怖い夢でした

 

自分は漠然と、今死んでもあんまり後悔は無いかなぁと思いながら生きていたのですが、いざその場面になったらすごく怖くて、「死にたくない!」と本当に思いました

 

誰しもが自分の死ぬ時というのをなんとなく想像したことがあると思います

こんな風に死ねたらいいなとか

死ぬ時は何を思うのかなとか

死んだらどうなるのかなとか・・・

 

でそれは、やっぱり死ぬその瞬間にならないと本当には理解できない事なんだと思います

 

映画の中のある人物が言ったセリフが印象的でした

 

「死は誰にでも平等に訪れる

生きている間にどれだけの善を積めるかだ」

 

最後まで答えの出ない死についてあれこれ考えるより、生きている今をどれだけ大切にできるか

 

つっこみ所はたくさんあっても、私にとっては後味はそれほど悪くない映画でした

 

星3つ