例年なら2月にひっそりと3週間ほど開催されるシリーズですが1982年は海外遠征があったので5月開催です。しかも4週間。

参加外国人レスラーはスタン・ハンセンを筆頭にタイガー・ジェット・シン、ディック・スレーター、リッキー・スティムボート、ジェイ・ヤングブラッド、ロン・ミラー、クルト・フォン・ヘス、そして上田馬之助。特別参加でグレッグ・ガニアとジム・ブランゼルのハイ・フライヤーズ、NWA世界王者のリック・フレアーと豪華です。シリーズ終盤には蔵前大会まであります。

日本側では3月にインタージュニアの王座を奪取した大仁田が凱旋帰国です。何気に帰国前にメキシコで王座陥落してましたが奪還しての帰国です。

5月14日後楽園ホールで開幕。天龍対シンが大流血戦の末、両者反則裁定になりますがいい試合でした。シンの全日でのベストバウトだと思います。他にシン絡みでの試合で覚えているのは前年のスレーター戦と翌年のテリー戦ぐらいです。佐藤昭雄による日本人エースへのシフトチェンジの弊害を受けた外国人レスラーでした。

このシリーズは馬場とシンのシングル初対決、馬場とハンセンの再戦が注目でした。終盤の蔵前で馬場対ハンセンを持ってくるかと思いきや馬場対シンのPWF戦が組まれました。予想外でした。

そして馬場対ハンセンは馬場の「ハンセンとやるときはタイトルが懸かるとどうも逃げに走ってしまう。タイトルは関係なしに思いっきりやりあいたい。」との意向で札幌でノンタイトル戦で実現しますが、結果としてハンセンのリングアウト勝ちでした。でもハンセンはタイトルが懸かってないことを知らなかったようで大暴れしてました。ハンセンには通達してなかったんでしょうか?

この札幌、6月1日でした。同日に大仁田とジェイによるタイトルマッチが組まれておりましたが、凡戦です。期待されて帰国しますが凡戦の連続がこれから続きます。本人は初代タイガーとのオールスター戦での一騎打ちをアピールしますが当時実現しなくてよかったです。

また6月4日長岡にてNWA世界戦としてフレアー対リッキーという好カード、好勝負がありました。アメリカでの縮小版みたいな感じだと思いますが当時はフレアーとリッキーがアメリカでライバルだと知りもしませんでした。

6月6日に馬場・大仁田対フレアー・スレーターなんてカードをはさんで、いよいよ6月8日蔵前国技館大会です。

メインは馬場対シンのPWF戦、セミにはフレアー対鶴田のNWA世界戦、AWA世界タッグのハイ・フライヤーズ対リッキー&大仁田、ハンセン&上田対天龍&スレーターという4代決戦。

AWA世界タッグ戦は天龍&大仁田の挑戦か?的な報道がありましたがトリッキーなカードになりました。もし王座奪取の場合、防衛はどうするのかとかいろいろ言われましたが、ハイ・フライヤーズの防衛で穏便に済みました。また天龍はスレーターとのコンビでハンセン組との対戦ですが上田も開幕から乱入を繰り返してシリーズ参戦をようやく認められた的な話でしたがマッチメーク的に全然シリーズの流れに関係ありませんでした。でもこの試合が8分ほどの試合でしたいい試合でした。ハンセンとスレーターの遭遇に期待をしておりましたが、こういう時のスレーターはベビーぶるので全然スイングしませんでした。もったいなかったです。玉砕した天龍が株を上げた試合でした。

またフレアー対鶴田はこの試合から鶴田が黒のトランクスにして登場です。馬場対シンはせっかくのハンセン戦で盛り上がった馬場が全然活かされない試合でした。

でも昨年までのダラダラした感じがなくなった新生・全日本プロレスでした。マッチメーカーが代わればこんなに違うのかと今更に思う今日この頃です。