ロシア映画3

 

「レニングラード大攻防1941」(1985)

監督 ヴィクトル・アリストフ

主演ユーリ・ベリャーエフ

 

 

 

 

 

 

 

 ロシア映画観まくってます。

 

 

 今週も何本か見たのですが、特にこの映画がすばらしかったです。タイトルはまたもや壮大ですが、大攻防というよりも数日間の作戦のような内容です。

 

 舞台はソ連第2の都市レニングラード。帝政時代の首都ペテルブルクです。かのピョートル大帝が作った街で、西はバルト海の最奥に面していて、東はラドガ湖となっています。戦前の人口は300万人超でソ連第2の軍需工場都市でもありました。

 

 1941年6月22日、ドイツは突如ソ連侵攻作戦を開始。ヒトラーはレニングラードの占領を作戦の最優先目標として3つの軍集団のうち北方軍集団に攻略を命令。同年9月8日から1944年1月27日までの約900日にわたって街はドイツ軍による包囲、攻撃にさらされます。飢餓や砲爆撃によって、ソ連政府の発表によれば67万人、一説によれば100万人以上の市民が死亡。同都市は第二次大戦の大激戦地区のひとつとなっています。

 ストーリーはレニングラード包囲戦開始から21日目。主人公(上の写真の人)はレニングラード共産党地区委員長ジダーノフからコトリン島のクロンシュタット海軍基地にある海軍の火薬を輸送するように命令を受けます。この映画は細かい描写とか前後関係がよくわからないのである程度想像力を使いながら見ていくことになります。

 ドイツ軍による包囲でレニングラードは補給が断絶。食料はもちろん弾薬や火薬も不足したと思います。主人公は火薬工場の責任者だったので今回の作戦を命令されたみたいです。(陸軍でも使える火薬とそうでないものとがあるようです。)

 何人か火薬の知識がある人や下士官の人といっしょに海軍基地まで行きます。

 しかしこの映画のすごいところは5分ごとにとんでもなく激しい空襲が起こることです。ストーリー自体はただ火薬を運ぶだけなのですが、いちいち大迫力の空襲にさらされます。

 迎え撃つ高射砲や機銃も迫力満点です。これだけでも見る価値十分です。空襲の恐ろしさがかなり伝わってくると思います。

 現地では海兵も何人かつけてもらい、頑張って火薬を運ぶのですが、、、、

 作業のたびにドイツ軍の執拗な攻撃でめちゃくちゃにされます。

 すごいリアル。

 「もういいかげんにしてくれ!」、、、、みたいなシーンです。

 船で運ぶのですが、

 もちろんドイツ兵に見つかります。

 空襲の他に見どころなのが街の様子です。普段だったらとても綺麗だったであろう街並みなのですが、当然戦時体制になっています。土嚢で覆われた高射砲、配給か何かに行列を作っている主婦たち。

(映画とは関係ないですが、実際の包囲戦では)

 ドイツ軍の包囲戦はまず住民の生活能力を断つため、ガス・水道・電力の供給施設、食料倉庫への砲爆撃を開始します。連絡線の遮断によってレニングラードへの補給はほぼ途絶。市民への食糧の配給は削減され、肉体労働者や兵士は1日にパン600g、労働者は400g、その他の市民と子供は300gと定められました。(次第に125g、65gまで減らされます。しかもパンには量をごまかすためにおがくずなど不純物を混ぜてあります。)

 そういうことを想像しながら観ると一層興味深い映画となります。

 

 ガレキの山も写っていました。ちょっとどこで撮影したのかわかりませんが、もしかしたら本当のレニングラードで撮ったのかもしれません。

 

 

 最初は微妙な映画かなと思ったのですが、各シーンかなりこだわって作られているようでけっこう見入ってしまいました。空襲が激しいとかだけでなく、映像としても綺麗な絵が多かったと思います。うわー、実際こんな感じだったんだろうな、ソ連兵泥だらけだな、みたいな絵が素晴らしいです。なかなか良い映画。レニングラード戦全般の悲惨さを伝える映画というよりはその一部分を描いているにすぎませんが、当時の激戦や町の様子が伝わってくるようで見ごたえがあります。全体的に暗くてセンスある描写、地味に火薬を運び続けるストーリー。おすすめ映画です。

 

(おすすめ度☆4,1点)