ロシア映画2

「太陽に灼かれて」(1994)

主演・監督 ニキータ・ミハルコフ

オレグ・メンシコフ

 

 

 

 

 

 

 最近ロシア映画にハマっています。

とはいっても、映画の細かい描写を理解したり、評価したりはできないんですけど。

私にとって謎の多い国ロシア。そのロシアの人々がどういう人たちでどんな生活をしているのかというところがわかるので最近ロシア映画に興味深々です。

 

 とりあえずネットで(ロシア映画おすすめ)で調べて何本か借りてみました。先日観たのは巨匠ニキータ・ミハルコフが監督・主演の大作「太陽に灼かれて」です。監督の実の娘であるナージャ・ミハルコフも娘(ナージャ)役で出演しています。

第67回アカデミー賞最優秀外国語映画賞受賞
1994年カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリ賞受賞

 ミハルコフ監督が自ら演じる主人公コトフ大佐はソ連革命戦争の英雄。第一次大戦中に起こったロシア革命(1917)で帝政ロシアは崩壊しますが、ロシアはその後レーニン率いる革命派と反革命派との内戦に突入。結果革命派(赤軍、共産主義)が勝利します。大佐はその革命戦争の英雄のようです。

 共産党を主導したレーニンは1924年に死亡。そのあとは当時書記長だったスターリンが実権を握り、ソ連は急速に国力を上昇させてゆきます。

 映画冒頭ではソ連戦車も少し登場します。BT戦車のようです。

 コトフ大佐が休暇を家族(奥さんの親戚一同)と別荘で過ごしているところにオレグ・メンシコフ演じるある男が訪ねてきます。実は彼(ミーチャ)は大佐の奥さんの元カレのようです。親戚の人たちには懐かしいミーチャが帰ってきて大喜び。でもどうも奥さんとの間には微妙な雰囲気があったりする感じです。

 (どうやらもともとは家族ぐるみでの付き合いだったようですが、戦争で出征している間に大佐に彼女をとられてしまったようです。)

 このメンシコフという俳優さんは有名な方のようです。ピアノがめちゃくちゃ上手。演奏シーンもかなり良い感じです。それと本作には『疲れた太陽』というタンゴの曲が主題歌となっていて、「朱に染まった波の間から、偽りの太陽が昇り始める~~」という歌がところどころ出てきます。タイトルの「太陽~」と関係があるようです。

 

 それでストーリーなんですが、実はこの彼(ミーチャ)はソ連のNKVD(内務人民委員、エヌ・カー・ヴェー・デー)で、秘密警察!上層部からの命令で革命の英雄であるコトフ大佐を反逆罪の疑いで強制連行する命令を受けてきたとのこと。(スターリンは異常に疑い深い性格で、1930年代に大粛清を実行。このとき70万人ほどを死刑。古参の党員や軍人が台頭してきたりして自らの地位が脅かされるのを恐れての粛清だったようです。)大佐はその後死刑になったとエンドロールで書かれています。

 ミーチャは恋敵に死を宣告する立場にいたわけです。でもなんだか初めから最後の連行するシーンまでスカッとしない感じ。ラストのシーンも含めてどうやらこの映画には強圧的な全体主義、管理社会を批判するメッセージがあったみたいです。「偽りの太陽~」は当時の政権のことをいっているんでしょう。それに翻弄、破壊される幸せな家族。このあたりの描写が本作のメインテーマらしいです。

 まあよくわかりませんが、当時のソ連の家族や生活の雰囲気がうかがえる良い映画です。広大な麦畑が広がる景色もきれいですよ。

 

(おすすめ度☆3,0)

 

 そしてなんとすごいのは2010年に「戦火のナージャ」、さらに2011年には「遥かなる勝利」という続編が作られたようです!(え、大佐死んだんじゃないの?)

 

 監督主演はもちろんニキータ・ミハルコフ。そしてナージャは成長したナージャです。しかも今度はバリバリの戦争映画でド派手なアクションもあるようです。実は大佐は収容所で生きていて、囚人部隊の一兵士としてドイツ軍と戦うという内容らしい。(映画の作風も180度変更!)

 いったいどんな映画になっているのかかなり興味があります。これは是非見なくては。ロシア映画、なかなか楽しませてくれるじゃないか。