空梅雨の、まったく雨が降らない梅雨もあれば、

今年のような「青い空を忘れるくらい」雨が降り続く梅雨もありますね。

今年はホンマによく降りますなあ。
湿度も連日90%を超えており、我が家の壁紙もあまりの湿度の高さに

ところどころ波打って、修理が必要なところが出てきました。

 

こんなジトジトの夏はスーツにとっても過酷な夏。

何が問題かと言って、一番の問題は「型崩れ」です。


この画像を見ていただけますか?
これは今年作ったワタクシのスーツ。


 

ご覧のように生地が波打ってしまってます。
この生地、実はエルメネジルド・ゼニアのレーベルの中でもシワに強いのが

セールスポイントのはずの「トラベラー」なんですが、シワだらけですよね。

 

実際のところ、これはシワではなく「波打ち」なのですが、ヨレヨレであることは

否定できません。


ではなぜこんなことになるのか?
 

本来のトラベラーはこんな感じの生地で、柔らかなエルメネジルド・ゼニアの生地の

ラインナップの中ではハリコシを感じる素材感です。

 

その秘密は糸に強い撚りをかけることにあるのですが、ここが問題の原因。

波打ちの原因は「ハイグラルエクスパンション」という、ウールの伸縮性によるものです。

 

ハイグラルエクスパンションとは、羊毛繊維の水分吸収・発散にしたがって、

毛織物が伸びたり縮んだりする現象

 

クセ毛の人が
「雨が降ると髪の毛がクルクルと巻いちゃって収まりがつかない!」
なんて嘆いておられますが、それと同じこと。

つまり獣毛も人毛も水分量が増えると膨らむんです。
逆に乾くと縮む、と。
この現象は、強撚タイプの薄手のウール製品に多く見られます。

まさにゼニアのトラベラーがそうなんです。


ゼニアのあるイタリアの気候は日本と違って梅雨がなく、湿度が低いので
こんな現象は想定外なんだと思います。

 


例年の梅雨ですと、ここまで連日雨が続くことは珍しく、湿度が高い状態が

ここまで続かないので、問題を感じませんでしたが、さすがにこの上着を見て

これから夏場、お客様にトラベラーを含むエルメネジルド・ゼニアの生地を

お勧めするときは前もってお断りを入れておこうと思いました。

 

 

では何をお勧めするべきなのかですが、ワタクシのご提案はこちらの2つ。

まずは日本の気候を知り尽くした、日本の最高峰生地「御幸毛織」の夏向き素材

「シャリック」

 

 

シャリックは通気性に極めて優れるだけでなく、型崩れを防ぐ素材として

研究開発されてますので安心です。

 

ご覧の通り同じ条件下でもシャンとしてますね。
中の芯地もシャリックの良さを最大限に生かす特製のものを使いますので
軽く、波打ちのほとんどない状態が保てます。

 

当店ではシャリックの品揃えはバッチリありますので、ぜひご高覧下さいね。



 

 

もうひとつ。

梅雨の時期に強く、夏涼しい素材。
それは「モヘア」


 

モヘアとは羊ではなくアンゴラ山羊の毛のこと。
生糸のような光沢をもち、毛足が長く通気性がよく、繊維のコシが強い利点がありますので、

肌ざわりもシャリ感があり、シワに強い特性があります。


同じ条件下での状態はこんな感じ。


 

涼しく、この季節に着やすいのでワタクシがよく着ているせいで

ヒジのあたりに着用ジワが見えますが、同じ気象条件の高湿度の中でも

ご覧のように波打ちはありません。

この湿度の高い梅雨時期、ワタクシもモヘアの素晴らしさをあらためて

実感しております。
サラサラした肌ざわりも心地よいですし、独特の透明感のある光沢も

高級感に優れてていいですしね。

 

これはヴィターレ・バルべリス・カノニコのモヘア生地。


他にも英国、ハリソンズ・オブ・エジンバラの
「CAPE KID」(ケープ・キッド)という素晴らしいモヘア生地があります。



少し高価ではありますが、南アフリカ産の良質なモヘアの中でも

総生産量の5%にも満たないキッド・モヘアが60%使用されています。

美しくエレガントな仕立て上がりと、軽くて快適な着心地。

世界中から高い評価を得ているモヘア生地です。

ワタクシもケープキッドで仕立てましたが、いつも周りの人から
そのスーツ素敵ですね、と褒めてもらえます。





梅雨時期から盛夏に向けてのスーツ生地選び。
ぜひ我々にご相談下さいませ。