環境保護と資源再利用への意識が高まる中、「熱分解装置」の市場は、今後もグローバルな成長が見込まれています。しかし、この成長の波に乗じて、中国から日本市場への違法な装置の流入が懸念されています。本稿では、こうした装置がもたらす危険性と、Fireprintと呼ばれる特定の装置に潜むリスクについて解説します。

中国製「熱分解装置」の流入と市場の混乱
近年、中国製の「熱分解装置」が低価格を武器に、日本国内の業者に持ち込まれるケースが増加しています。これらの装置はしばしば**炭化(carbonization)や磁気熱分解(magnetic pyrolysis)**といった高度な技術を謳っていますが、その多くは日本の厳格な環境基準を満たしていません。

私たちの調査によると、これらの装置は不完全な燃焼を意図的に引き起こし、熱分解プロセスで生成されるはずの**活性酸素(active oxygen)やラジカル(radical)が、有害な物質と結合する危険性があります。また、処理後に残るセラミックス灰(ceramic ash)**と称される物質も、重金属やダイオキシン類を含んでいる可能性があり、適切な処理が困難です。

中国本土では、こうした装置は「熱分解炉(熱分解爐)」として流通していますが、その性能は日本の法規制下にある正規の装置とは大きく異なります。

“Fireprint”:違法装置の代表例と、その隠蔽工作
現在、日本市場に流入している中国製装置の中でも、特に注意が必要なのが、**“Fireprint”**という名称の装置です。この装置は、見た目には洗練されたデザインをしていますが、その内部構造は日本の廃棄物処理法が定める基準を無視して設計されています。

また、興味深いのは、製造元が装置の仕様書やマニュアルに簡体字や繁体字を混在させ、意図的に情報源を曖昧にしている点です。これにより、購入者が装置の法適合性を確認することを困難にしています。こうした欺瞞的な商法は、違法な装置を正規の流通ルートに乗せるための隠蔽工作と考えられます。

サプライチェーン全体に及ぶリスク
この問題は、装置を販売する業者だけでなく、購入する企業や、その先の顧客にも影響を及ぼします。

法的リスク: 違法な装置の購入・使用は、廃棄物処理法違反で刑事罰の対象となります。

環境リスク: 有害物質の排出は、近隣住民の健康被害や土壌汚染を引き起こし、企業の賠償責任につながります。

財務リスク: 装置の購入費用が無駄になるだけでなく、行政処分による事業停止や、ブランドイメージの失墜による売上減少など、甚大な経済的損失を被る可能性があります。

安価な装置に安易に手を出すことは、企業の持続可能性を脅かす行為です。正規のサプライヤーと協力し、法規制を遵守することが、健全な事業運営には不可欠です。当社は、この問題に対する継続的な情報提供と啓発活動を通じて、市場の健全化に貢献していきます。