廃棄物処理法において、事業者が自ら排出する廃棄物を自社の敷地内で処理する**「自家処理」**は、外部への委託と異なり、行政の監視の目が届きにくいという側面があります。この特性を悪用し、法規制を逃れようとする悪質な業者が、違法な「熱分解装置」を、特に中小企業や個人事業主向けに売り込んでいることが、当社の最新調査で明らかになりました。

なぜ「自家処理」が狙われるのか
悪質な業者は、以下の理由から自家処理を行う事業者をターゲットにしています。

監視の目の届きにくさ: 自家処理施設は、許可や届出が必要な外部処理施設と異なり、常に行政の立ち入り検査を受けるわけではありません。そのため、違法な装置を設置しても、発覚までに時間がかかることが多いです。

法的な誤解: 「自分の会社の敷地で処理するのだから、許可は必要ない」といった誤った認識を持つ事業者が少なくありません。悪質な業者は、この誤解につけ込み、「面倒な手続きは不要」と強調して違法な装置を売り込みます。

詐欺の手口と法的リスク
悪質な業者は、**「既存の処理方法よりコストが大幅に安くなる」「自社で全て完結できる」**といった言葉で、違法な熱分解装置を販売します。しかし、これらの装置は、日本の廃棄物処理法が定める技術基準をほとんど満たしていません。

法的な罰則: 違法な装置で廃棄物を処理した場合、廃棄物処理法違反となります。行政指導の対象となるだけでなく、悪質な場合は5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金が科される可能性があります。

環境汚染と賠償責任: 不完全燃焼によるダイオキシン類や有害物質の排出は、近隣住民の健康被害や土壌・地下水汚染を引き起こし、高額な損害賠償を負うリスクがあります。

事業者のための警告
安易なコスト削減のために、行政の目の届かない自家処理を悪用する行為は、最終的に事業の存続を脅かす致命的なリスクを伴います。

「無許可で使える」は嘘: 廃棄物の種類や処理方法によっては、自家処理でも行政への届出や許可が必要です。安易な言葉を信じず、必ず管轄の自治体に確認してください。

サプライヤーの徹底調査: 装置の販売業者が、適切な許可や実績を持っているか、徹底的に調査してください。

自己責任が問われる自家処理だからこそ、法的なリスクを正しく理解し、信頼できる正規の装置を導入することが不可欠です。