ISOの持続可能な都市などをを担当する専門員会「ISO/TC237 持続可能な都市及びコミュニティーズ」のスマートシティ担当の小委員会「SC1スマート・コミュニティ・インフラストラクチャー」は日本が議長を担い、スマートシティに係る国際規格の制定に邁進しています。
このSC1で、2015 年 5 月に公示された国際規格ISO/TS 371516が2015年5月に公示されました。
この規格は、タイトルが“Smart community infrastructures – Principles and requirements for performance metrics”(スマート・コミュニティ・インフラ-性能指標のための原則と要件)で、スマート・シティのインフラストラクチャーが備えるべき要件を規定し,本規格に続いて制定される各種インフラごとのスマート性能に関する全般的な要件を規定しています。
日本が当初提案した素案とは大きな相違があり、規格の異なる視点からの要求対立の解決策としての性格が弱まり,異なる視点からの要求を直接的に要件に取り込む形となっています。換言すれば、参加国の多種多様な立場や利害対立を飲み込んだことになったと言えます。このような場合、日本の考えるスマート・シティの実例を多数積上げて、適用した規格をデ・ファクト・スタンダード化し、改めてISOの場で国際規格化を目指す必要があると言えます。
このTS371516は、エネルギー、交通、通信、上下水道、廃棄物処理なども対象に含めていますが、それぞれの土木構造物や建築物などの新設や維持管理などの資産管理については他のISO規格を前提としています。つまり、ISO19650シリーズやその関連ISO規格の適用が前提なのです。
そもそも、スマート・シティでその物理的なインフラの新設や維持管理をアナログで行うと言うことは有り得ないことです。
海外で日本式のスマート・シティが数多く建設されることを期待するものですが、その物理的なインフラ新設や維持管理が外国のデジタル方式と言うことにならないことを願うばかりです。