スマートコントラクトは、ISOに技術情報であるISO/TR23455:2019 「ブロックチェーン及び分散型元帳技術ーブロックチェーン及び分散型元帳技術システムにおけるブロックチェーンの相互作用の概要」(Blockchain and distributed ledger technologies — Overview of and interactions between smart contracts in blockchain and distributed ledger technology systems)では、以下のように定義されています。

 

スマートコントラクト

分散型元帳に格納されているコンピューター・プログラムで、その実行結果が当該分散型元帳に記録されるもの

(computer program stored in a distributed ledger (3.2) system wherein the outcome of any execution of the program is recorded on the distributed ledger)

 

一方、電子エージェントは、米国の電子商取引法(Electronic Transactions (Guernsey) Law 2000)では、以下のように定義されています。

 

電子エージェント

人間個人のレヴューまたは行動なしで、電子的な形態にあるか又は電子的な手段により発信された情報又は行動に対して行動を起こすか又は全部又は一部に反応するために独立して使用されるコンピューター・プログラム又は電子的若しくはその他の自動化された手段」と定義されている。

("A computer program or electronic or other automated means used independently to initiate an action or to respond in whole or in part to information or actions in electronic form or communicated by electronic means, without review or action by a natural person.")

 

DLT技術の進化によって、スマートコントラクトと電子エージェントの法的な位置づけが焦点となり、上記に述べたように、米国では電子エージェントの1種がスマートコントラクトになっています。

 

さらには、スマートコントラクトは、言うまでもなく、人間が関与しない自動化された契約ですが、米国統一商事法典 第2-204条  契約の成立一般では、以下のように規定しており、電子エージェント相互作用により契約は成立することとなっています。

 

(1) 物品売買契約は、申込みと承諾、契約の存在を認める両当事者の行為、電子エージェントの相互作用、及び電子エージェントと個人の相互作用を含む、合意を証明するのに足りるあらゆる方法によって成立させることができる。

 

従って、スマートコントラクト相互作用による合意でも契約が成立することになります。

 

人間の存在そのものをどのようにスマートコントラクトに確保するのかが大きな課題になってきているように思います。