国土交通省は、令和3年4月1日に「建設現場の更なる生産性向上に向けて

~令和3年度i-Construction の主な取り組みについて~」と題する記者発表しました。

(参照:https://www.mlit.go.jp/report/press/kanbo08_hh_000797.html)

 

その参考資料の「3.i-Constructionの海外展開」の中で、「①先進諸国の制度設計やISO等を踏まえた国内基準類の国際標準化を推進」として具体的に以下の3点を掲げています。

  1. ISO19650をはじめとした3次元データの国際標準の制度構築が進む中、国内基準類への反映は急務。 

  2. 令和3年度は、BIM/CIM先進国における制度設計、データ管理手法等について調査し、国際標準を踏まえた、設 計業務・工事におけるデータ管理手法に関する試行案を作成。 

  3. 令和4年度は、試行案に基づく現場実証を踏まえ、設計業務・工事におけるデータ管理手法を整理の上、 BIM/CIMガイドライン等の国内基準類へ反映することで、国際標準への対応を図る。 

極めて野心的なメニューが掲げられていますが、BIM/CIMに関連するISO規格の例として、以下のような規格が紹介されています。

  1.  ISO 19650-1 (建設資産のライフサイクルにわたる情報管理-概念と原則)

  2.  ISO 19650-2 (建設資産のライフサイクルにわたる情報管理-建設段階)

  3.  ISO 29481-1:2016 (情報伝達マニュアル-手法と書式)

  4.  ISO 29481-2:2012 (情報伝達マニュアル - 相互作用の枠組み )

  5.  ISO 22263:2008 (プロセス管理-プロジェクト情報管理の枠組み)

  6.  ISO16739-1:2018 (建物データ関連規格の開発-データスキーマ)

  7.  ISO/TS 12911:2012 (BIMガイダンス-BIMガイダンスの枠組み)

ISO19650-1と-2を初めいずれも日本国内で殆ど知られていない規格ではないでしょうか。このリストは、ISO19650の適用に関係する規格とそれらに関連するISO規格以外の規格に精通する必要があるということを意味しています。

 

また、令和4年度には「発注者におけるBIM/CIM実施要領」、「BIM/CIM活用ガイドライン」「土木工事等の情報共有システム活用ガイドライン」などの「国内基準類への反映」を実施することとしています。

 

英国がISO19650シリーズの採択後、ISO19650のベースとなったBS PAS 1192シリーズを廃止し、ISO19650に規定されなかった事項を新たに国内基準のNational Annex やNational Forwardとして制定した例を踏まえて、こうした国内基準類は、以前に述べたようにISO規格に規定されていないことを我が国の実情に合せて規定することが重要で、ISO規格との重複内容は削除するべきではないでしょうか?