政府の知的財産戦略本部の第6回国際標準戦略部会が令和7年2月21日(金)にオンラインで開催され、国際標準戦略に係る骨子案及び施策案について議論されました。面白い資料が議論されていましたので、ご参考までに共有させて頂きます。
(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/kokusai_hyoujun/gijisidai/dai6/index.html)
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提示された「国家戦略骨子(案)~国際社会の課題解決に向けた日本の標準戦略~」(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/kokusai_hyoujun/gijisidai/dai6/siryou2-1.pdf)では、以下のような興味深い記述がありました。。
【認識】
・モノ ・サービスの標準化に留まらず、標準化がシステムにまで拡大。システムの標準化に乗り遅れることで、広範な領域に悪影響を及ぼす恐れ。例えばSystem of Systems の領域では、その対象が幅広い産業でバリューチェーン全体にまで及ぶことが多いため、異なる領域のシステム同士の連接や新たにバリューチェーンを組み上げるための機能の連接等が必要となり、それらのインターフェイスを国際標準として的確に構築して管理する必要。
・このような状況を踏まえ、国際標準活動を通じて、市場創出、競争力強化、社会実装(相互運用性)の確保を図る必要性の高まり。
・ デジュール標準のみならず、フォーラム標準や独自標準、デファクト標準を効果的に使い分け。
・ 日本発の標準にこだわらず、相互運用性を確保した上で、他国の標準も柔軟に支援・活用。
【戦略方針】
・産金官学連携による司令塔機能や一元的窓口機能の強化を図る。
・官民連携の科学技術イノベーション施策において、早期の段階で標準化を組み込み、社会実装を加速。
・選定された「重要領域 ・戦略領域」において、領域ごとのより詳細な国際標準戦略の策定・実行、適時適切なモニタリング・フォローアップの実施。
・重要領域・戦略領域については、毎年度のフォローアップ(PDCAサイクル)を通じて、その進捗を確認。
【プレーヤー】
・事業者・業界団体 - - 国際標準活動のメインプレーヤー
・国 - - 横断的モニタリング・フォローアップ 民間の国際標準活動支援
・規格策定支援・認定・認証・試験機関
・金融機関 - - 事業会社の国際標準活動の適切な評価による投融資活動の推進
・国民・NPO - - 消費行動等を通じた国際標準活動を促進
【具体的な施策方針】
・経営・研究における国際標準との一体化・標準エコシステム整備
・標準・認証等に関する官民ガバナンス改革(例:公共調達における国際標準の活用}
・KPIを設定してフォローアップ(例:令和OO年度の公共調達における国際標準に適合した割合:◇◇%)
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また、同日に議論された「論点7:「重要領域・戦略領域の選定基準とその選定・基本的な方針の策定」について」と題する資料には、「④選定領域候補:重要分野の例示」(各省調整中)と言うスライドがあり、「関連する政策文書等に記載のある我が国にとっての重要領域及び重要分野を例示」として、建設分野に関する以下のような領域・分野が掲載されています。
- 気候変動・エネルギー・GX
- GHG(温室効果ガス)排出量推計または算定にかかる手法
- プロトコルサステナブルファイナンス
- カーボンプライシング・カーボンクレジット
- 自然共生・ネイチャーポジティブ
- 生態系・生物多様性に係るモニタリング・測定・可視化プロトコル(生態系・生物多様性の観測・評価(指標化含む。)・予測等)
- グリーンインフラ、NbS、Eco-DRR
- サステナブルファイナンス・生物多様性の価値取引
- 循環経済
- 循環性に係る測定手法・指標化・プロトコル
- インフラ
- BIM/CIM
- 建設機械
- インフラ基盤(道路、港湾、上下水道等)
- スマートシティ・都市開発(スーパーシティ)
- 位置情報・地理空間情報
これらがそのまま重点領域や分野に選定されるかどうかは分かりませんが、選定される可能性は高いのではないでしょうか。
国土交通省のBIM/CIMは国際標準に準拠しようと言う方針はあるようですが、この資料で仮想されているPKIは1年度にBIM/CIMの研修を受けた人数になっていますので、従来のBIM/CIM研修の受講生が国際標準に準拠して研修を受けたことになるのか大きな疑問です。(BIM/CIM推進委員会がISO19650 シリーズへの対応は今後の課題としています。)
日本の規格が国際標準から大きく乖離しているコンクリート構造物や地質調査が関係する道路や港湾などの公共工事は、国際標準に準拠して調達したとは言えないのではないでしょうか。(例えば、杭に関連して使用されているN値は、ISOに規格があるのですが、重りを2メートル以上から落とすことになっていますので、微妙に食い違っています。橋梁の高架下で2メートルを確保できない場合は国際標準には準拠しないことになります。)
この国際標準に関する国家戦略は3月末までに閣議決定されるようなのですが、実効性について危惧されるところです。