~決戦は火曜日~


そう。遂にその日はやって来ました。ひまりちゃんとのデートの日です。凄十を飲み干した僕は北千住の丸井の前にいました。


入社して二週目の僕には有給や半休の権利を持っていません。もし、仮にまひるちゃんをお持ち帰り出来たとして、翌朝7時には起きてバイバイしないといけないわけです。そんなのはあまりに勿体ない。万にひとつゴールを決めることが出来たならその余韻は出来るだけ長く楽しみたい。乾季のアマゾンに降り落ちた雨は一粒残らず無駄にしたくない。至極当然な考えだと思います。
そこで私は考えました。"そうだ!直行にしよう!“若干上司からは直行する意味があるのかと問われましたが、あくまでスマートに他に同行営業の予定があればそちらを優先します、という一言は忘れずに直行届けを出しました。これで10:30までは家にいれる。朝、まどろみに身を任せまひるちゃんといちゃつくには十分な猶予の許しを得ます。そして19:00に退勤し、北千住ラムタラに吸い寄せられました。


まひるちゃんとの出会いは一月前に遡ります。チャットアプリで可愛い子にオナミセをしようと企んでいた私は、好みでなおかつちょっと押しに弱そうな子を選び、トークボタンを押しました。常套手段としては初め3分で世間話をし、そこから実は下心があることを打ちあけフランクなムードを作りあげた上でオナニーを見せる。その日もその手段を取る算段でした。その頃、たまに押せばおっぱいを見せてくれる子がいることを知り始めた私はまひるちゃんにおっぱいを見せてと言いました。まひるちゃんの答えはもっと仲好くなってから、というものでした。その日はオナミセはせずに世間話を10分ほどして終了したと思います。

2週間ほどしたある日、なにとなくチャットアプリを起動するとみはるちゃんがログインしていました。“もっと仲良くなってから“という言葉を覚えていた私はすぐさままひるちゃんにビデオチャットを申し込みました。言葉巧みに以前の会話をなぞっていくことで、まひるちゃんの乳首を見せてもらうことに成功した私はさらに調子に乗り、オナニー見せてとお願いしました。
するとまひるちゃんはこう言いました。“飲みに行ったりして、もっと仲良くなってら考える“
ここで僕はオナニーを見せてもらうことよりもっと価値のある切符を差し出されていることに気付きました。“じゃあ、火曜日の20時に北千住にしよう“
“わかった。ホラー映画とか借りて一緒に見れたら楽しいね“

丸井の前での待ちぼうけもはや20分を過ぎました。お店の予約は既に5分を過ぎています。電話番号を教えてはいるもののまひるちゃんからの連絡は無し。私からはアプリを通して課金メッセージを送るしか連絡手段はありません。ここで課金するか、否か。


さらに20分が過ぎました。ここで、辛抱たまらず断腸の思いで課金メッセージを送ることを決意しました。
“厳しかったら今日は無理しなくてもよいからね。とりあえずもう少し北千住で待ってます“

既読がないまま時は過ぎました。既に約束の20時からは1時間が経とうとしています。

淡い期待が焦りと共にゆんわりと絶望に変わる。自分だけが街から浮き上がり行くべき場所が分からなくなる気分。その感覚を私は知っていました。というよりもどこか懐かしくもありました。


今日は、来ないな。


密集した喫煙所でしたが隣でタバコを吸っている人にも聞こえないであろう声で私は呟きました。誰に聞こえるでもなく放たれた独り言はやがて街頭ビジョンでラムタラの宣伝をしている佐倉絆の声にかき消されていったのでした…。


その後、丸井の前をぐるっと一周し可愛いなと思った子に声かけて一緒に予約してた店に行った。