「君の名は。」をレイトショーで観てきました。
号泣覚悟でハンカチタオルを握りしめて鑑賞したのですが、私には、没入感がイマイチだったなぁ。
20代位の男性が「何度か泣きそうになったわ。っていうか、泣いた」と語っていたので、ピュアさが失われてしまったのかと不安になりました。
でも、風景画の美しさは、目を見張るものがあり、「巫女の口噛み酒(くちかみさけ)」には、興味深々でした。
発酵マニアとして、気になったので、「口噛み酒」について調べてみました。
巫女家系の主人公三葉は、映画の中の祭事で「口噛み酒」を造ります。
口噛み酒は、米などの穀物を口に含み、消化酵素のアミラーゼと口腔内の常在菌で醸す古代酒。
「噛む」転じて、「醸す」になったとも。
日本には、縄文後期に伝わったと言われています。
日本の口噛み酒は、巫女/処女が醸します。
処女である理由は、微生物の観点から言うと、「健康状態がよく育てられ、他者とキスや性行為を行っておらず、生まれながらの正常な常在菌が口腔内にいる女性」であることが望ましいとされているから。
女性が、歌、踊り、食、祭事を司っていた時代に、巫女が醸すお酒であることが重要であったようです。
祭事とお酒には、日本以外でも密接に関係しています。
1999年に発見された古代インカ帝国時代の処女の生贄のミイラ「ラ・ドンチェラ」(スペイン語で“乙女”の意)」を分析したところ、生贄になる1年前から当時の高栄養食である「トウモロコシ」や「リャマ肉」を摂取し、
コカの葉とトウモロコシの口噛み酒である「チチャ」を定期的に摂取していたという事実が浮かび上がってきました。
ミイラの口の中から「コカの葉」が採取されているので、儀式の当日には、コカの葉とチチャでトランス状態であったろうと予測されます。
このように、日本のみならず、世界各地で口噛み酒が祭事に使われていたんですね。
寺田本家さんには、「むすひ」という伊勢神宮の古代酒「火無浄酒(ほなしのきよさけ」からヒントを得て作られた発芽玄米酒があります。
商品名の「むすひ」には、「産霊(うぶすな)」の意味もあり、「神様と自然と人間を結ぶ」という願いが込められているそうです。
堂園さんの玄米酵母液の会「結」もこの「むすひ」からとったそう。
「むすひ」「口噛み酒」など、発酵や神様事に興味のある私にとっては、好奇心を刺激されました。
三葉の同級生の愛読書が「月刊ムー」というのも、オカルト好きの私には、グッときた。
と、いうわけで、童貞臭する甘酸っぱいラブストーリーに涙出来ない大人でも、好奇心をくすぐられる映画でした!