今とっても幸せな気分ですニコニコ

ステキなシリーズ本に出会えたから。

ジョシュ・ラニヨン氏の本を日本に紹介してくれて本当にありがとう Toモノクローム・ロマンス文庫さん!!

以前読んだ「フェア・ゲーム」、感想は書いてないけど「ドント・ルック・バック」に続く同作家さんの第3弾は『アドリアン・イングリッシュ シリーズ』として原書では5作既刊で完結している作品(しかも彼の最高傑作と言われている)。日本では現時点で以下の三冊が和訳出版済み、残りの二冊も来年には出る予定のようです。

「天使の影」
「死者の囁き」
「悪魔の聖餐」

電子化されていたので一気に三冊読破、あまりに先が気になって4,5作目はKindleで洋書を買ってしまいました(;´▽`A``

それも読み終わってもう感無量な状態です。

アドリアンとジェイクの物語をこんなに濃厚に読んでしまって・・・しばらくどっぷりこの世界に浸ってしまいそう。

ゲイ・ロマンスというカテゴリーなので、主軸は男性同士のリレーションシップとなりますが、ミステリ要素が絡んでくるので一粒で二度おいしい読書となります。

特に今回はラニヨンさんのミステリ愛が行間からにじみ出ていてミステリ・ファンならにんまりとしてしまうはず。主人公のアドリアンはラニヨンさん自身なんだろうなって感じます。

おおざっぱにシリーズの紹介をしますと・・・



ラニヨン氏の作品ではカップルとなる二人の出会いが最悪ってパターンが多いのかな?このシリーズも二人の出会いは「容疑者と捜査員」としてです。

 主人公のアドリアンはミステリ好きの書店店主。ミステリ作家としての肩書きも持つ。細身で黒髪・ブルーアイの美形でオープンリーゲイ。思春期のリウマチ熱が原因で心疾患を持っている。普段は穏やかで優しい性格だけどひとたび事件に巻き込まれると真相を究明せずにはいられなくなり時に暴走するのが玉に瑕。32歳。

 お相手のジェイク・リオーダン(ラニヨン氏のネーミング・センスがいつも絶妙すぎて大好き!)はLA市警の殺人課刑事。金髪・トビ色の瞳でマッチョなハンサム。まじめで冷静、良くも悪くも典型的な警察官ながらどこか危険な匂いのする男。驚きの秘密も持っている。40歳。

アドリアンの書店の元店員が死体となって発見されたことからジェイクが聞き込みに訪れることで、二人が出会います。容疑者扱いされむっとするも、元従業員で友人が殺された事件ということで独自に犯人を追及しようとするアドリアン。疑いの目は持つもののアドリアンの鋭い勘と度胸に魅了されるジェイク。お互い魅かれつつもジェイクが持つある秘密によって二人の行く末は困難をまぬかれないのが目に見えていて・・・

こんな感じで、シリーズ一巻目の「天使の影」では二人の出会いをアドリアンの身近で起きた殺人事件を通して読むことになります。

それぞれの巻で違った事件が起こり当然のごとく二人は巻き込まれますが、事件自体はそれぞれの巻できちんと解決・完結しすっきりします。が、二人の関係はシリーズを通して発展していくのでかなり長いお話となり、山あり谷ありで面白いです。巻によっては「うっ、ここで終わるかーーー!!」ってなことも・・・。

脇を固める人物も一貫して出てくるので本当に愛着が湧いてきます。

ちょっとネタバレかもしれないけど、ここはこの作品のアピール・ポイントだと思うのであえて紹介しておきますと、

ジェイクはクローゼットなんです。つまり、自身がゲイであるにもかかわらず(実際に遊びでは男性を相手にもする)極端なホモフォビアで職場や家族に知られるのを恐れているんですね。

この設定はなかなか読み応えがありました。

なんていうか、こういうリアルなゲイの問題って当事者であるゲイ作家さんが書くとすごいなーと思って。ジェイクの苦しみ、そしてそんな彼を好きになってしまったアドリアンの苦しみ、繊細な心理描写がすごく胸に突き刺さり泣きそうになったところも。

お互いこんなにも思いあってるのにこれほどの先の見えなさ・・・男女だったら何の問題も無かっただろうにって思ってしまうとつらい・・・。

男女でも叶わない恋はもちろんある。だからこそ、ゲイでもない自分が読んでもすごく共感するし、どうにもならなさに悶々とする。けど、そこをどう二人で道を切り開いていくか、じっくり読める幸せ。はまる人にははまると思います。

もう一つ、主人公のアドリアンが病気持ちっていうのも個人的にはキュン要素大でして。不整脈起こしたり、死の不安に襲われてたり、だからかどうか、弱者や困難に陥ってる人を放っておけない性格なのね。繊細かつ気丈。こんなんで美しい男だったらそばにいるジェイクは甲斐甲斐しくならないはずも無かろうってもんで。実際ジェイクの男としての(?)甲斐性は絶大なのだ!うらやましいぞ~アドリアン。

そんな二人の萌え萌えなシチュエーションもたーっぷりお楽しみいただけます。

嗚呼、長くなってきたわ!語り切れない!!
電子版で買ったけど、これは紙の本で手元において何回も読み返したくなります。それくらい気に入りました。

あ、表紙はまた草間さかえさんです!!表紙がそれぞれの巻の二人の関係をよーく表しています。作中のイラストもあり。

三巻目の巻末にこれまた三浦しをんさんの解説が含まれています。「フェア・ゲーム」ほどのインパクトは無かったけど、しをんさん、朝日新聞の書評委員をやってらして2013年のベスト3にこの作品を入れてらっしゃいました!色んな意味でス・ゴ・イ(;´▽`A`` いやだからしをんさん好きよ。



「天使の影」アドリアンとジェイクの出会い編。反発しながらも魅かれあう二人。


「死者の囁き」恋人同士となった二人のつかの間のランデブー。しかし未来が無いと分かっていて・・・。アドリアンの祖母が残した牧場で起きる事件。


「悪魔の聖餐」オカルト事件に巻き込まれるアドリアン。ジェイクとの関係に下す決断は。


読了日 2014年12月