幸い誰もPCを使っていない。ドキドキしながら、番号を探す。前の方から順を追っていくと、連続して番号が並んでいた。小さい番号は前年度1次試験合格者で免除組。1年間みっちり口述試験の勉強に集中して合格されたんだなって思うとよかったなぁって嬉しくなる。

私の番号は後ろの方。ガイド試験も受験者が増えたなぁと思いながら、スクロールする。だんだんと自分の番号に近づくと、緊張と恐怖で一旦動かす手を止める。深呼吸して自分の番号を探すが、ない。私の番号。探し方が悪かったのかと思って、もう一度少し前に戻って探してもなかった。全身から力が抜け、地面がぐらりと揺れた。

エーッ、エーッ、なんでー!? あの面接の好感触は一体何だったの? 

何かの間違いかもしれない、某さんはいるだろうか? 話を聞いてもらいたい。Nara Visitor Centerへふらふらしながら向かった。

窓口で「某さんは?」と尋ねると、今日は非番だという。

何かの間違いかと、もう一度こちらでもPCで確認するが、やはり私の番号はなかった。

とにかく誰かに話を聞いてもらいたくて、スタッフの男性に話を聞いてもらう。声は震えているが、涙は出てこない。「そうだったんですか」と男性は何と答えたら良いのか、同情するような目で相づちをうった。

帰り道の電車で夫に「不合格でした」とショートメールを送ったが、返信はなかった。

家に帰り、呆然としながら夕食の支度をして、一人食べているとリーンと電話が鳴った。夫からだった。

「あかんかったわ………。支えてくれていたのにゴメンね」と絞り出すように言うと、「そうか~、残念やったなぁ」といつも通りの変わらない呑気な声が返ってきた。

その声を聞いて、安心したのか、張り詰めていたものが切れたのか。受話器を置いたとたん、壁に頭を寄せて拳を打ち、ワーッと号泣した。