私が多分中学生の頃。


母がポツリと言った。

「お父さん(夫)には愛人がいたんだって…(過去形)」


相手は旅館のおかみで、色白のふっくら美人。



くみん…「ふーん、それでお母さんは怒ったの?


母…「もう過ぎた事だから、怒ってもしょうがない…」


くみん…「そうかなあ‥‥?」


お母さんは大人だね。

やきもちの言葉も言わず、顔色ひとつ変えず話す母の顔を見ながら、そう思ったものである。


それから数十年後。


父が八十歳の頃。

父…「この前 昔の友達に会いに行ってきた。旅館のおかみでな…、年をとってたなあ…旦那さんと二人でな…」


くみん…「うん…お二人ともお元気で良かったね‥‥。」


父は、八十歳になっても、まだその人を想ってたのか…。





父が去年亡くなり、今も泣き暮らす母が夢でみた話しをした。


母…「お父さんが何人もの女性と歩いていて、その中の一人がお父さんの手をつなぎに来て、仲良く一緒に歩いて行った。
私はそれを背後から見ていた」
と悲しそうに泣いた。

くみん‥「そう?大丈夫。きっと天国に導いてくれる女性よ。お父さんも心強くていいんじゃない?それに夢だし‥‥。」

と、苦し紛れな返事をした。



今になって、やっと母は正直になれたのね。

父は、母に妬いて欲しかったから浮気をしたって生前言ってたよ。

そんなのは勝手な男の言葉だけど。

そんな父でも母はそんなにも愛してたとは…。



私なんか色々な意味でまだまだ未熟なのかな。


娘に抱っこされてるさくらちゃん。