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僕は。

生きている。

前科二犯。


一つ目は高校生の時、万引きをして捕まった。初めて入る、警察の中。僕はぼんやりしていて、他人ごとのように簡単な取り調べをうけ、流れ作業のように指紋を取られた。
その時、目に入ったのは「簡易留置場」の文字と扉、そして蒼白な顔でこちらを見やる母親の顔だった。
僕は、この光景は一生忘れないだろう。多分だけど。


２つ目。キセルをした。無賃乗車ってやつ。ちょっと誤魔化すとかのレベルじゃない。
全ての額を合わせれば、20万円近い金額になるだろう。
この件に関しては、警察のお世話にはなっていない。
駅員のおばちゃんに見つかって、そこで終わった。
おばちゃんの鋭い眼光と、人を疑ってかかる表情。
怖かった。
僕は、このおばちゃんの事を一生忘れないだろう。多分だけど。

僕は、犯罪者体質なのだ。

性格も普通。
一般的な人間。
容姿だって悪くないし、取り立てて家が貧しいというわけでもない。

なのに。１度悪巧みが成功すると、その快感が忘れられなくなり、繰り返し繰り返し、罪を犯す。
病気に近いものがある。
もしくは
麻薬。

他人は5000円出して買っている洋服を万引きしたとき。当時の僕は学生で5000円なんて大金だった。
みんな、こんなのに5000円出しているのか。馬鹿正直に金を出すなんて愚かな事か。この万引きという行為で、タダで物が手には入る快感を街中に叫び回りたいほどだった。

キセルもそう。１度成功すれば、何にも怖いものなんて無かった。