都立駄菓子菓子高校1年Z組日誌より抜粋 | ★ONSEN★の徒然!!サブカルチャー中毒!ブログ★

都立駄菓子菓子高校1年Z組日誌より抜粋

「お前、いい加減ウザい。マジでストーカーとか止めてくんない。ホントウザい」
とあるファミレス。窓際の席に1人で座っている黒髪の女子いる。年の頃は15、6。艶やかな黒髪が病的に白く、儚げな美しさを醸し出す白磁のような肌によく映える。
その美しい黒髪の毛先を左手の指で弄びながら、彼女は眼前にある窓に向かって、ごく小さな声で呟いた。
まるで、窓に写る自分と対話しているかのようだった。

「私を愚弄するな。この下衆が…そう、そこのお前だ。ふん、尾行はまるで駄目だが感だけは鋭いな…読唇術も心得ているなら話は早い。
よいか。我等三家はお前ら『杏』に屈服する気は毛頭無い。頭に伝えろ。もう鬼ごっこは三家とも飽いておる。これ以上の事はくれぐれもしてくれるなよ…」

ウザい、マジで、と現代風の口調とは一変し、威厳と貫禄を感じさせる呟きがこぼれる。

「有り難く思えよ。わざわざこんな窓際の席に座ってやったんだ…店の一番奥、出口からは最も遠い。逃げ場も隠れ場も無いこんな席。この意味が解るかえ?」

淡々と、つまらなそうに窓に写る自分に向かって話し続ける。髪の毛は相変わらず弄ったままだ。

「これが最後の警告じゃ。お前に逃げる機会を与える。
が、居座るのなら私は然るべき行動に移るぞ…黒斬家らしい行動にな。」

彼女の口元が緩む。妖しくじっとりとした美しい笑みを浮かべ

「私もな、元から逃げ回るのは嫌いだからの。逃げ場が無ければ攻撃するしかない…そうだろう?」
彼女の涼やかな目元が窓に写る自分ではなく、一瞬だけ、出口に一番近い席に座っていた男に注がれる。窓に、小さく写っている男。

彼女がそう言い終わるが早いが、その男はにわかに席を立ち、会計を済ませそそくさと店を出て行った。

「あの慌てよう…てんで話にならんな…下っ端か。嗚呼、黒斬も舐められたものじゃの。」

そう、嘆きの言葉を、窓に写る自分に向かって呟く。

いけない、そろそろ入学式が始まる。

「はー、かったる。だるー。先生とかマジウザい。」

口調はすっかり元に戻っている。
携帯で時間を確認する。時刻は八時半。
会計のために彼女は立ち上がった。

彼女は、今日、高校生になるのだ。



★解説★
番外編が先に出来てしまいました。
黒斬しま、入学式直前の出来事。
金時が原稿が無いことに気づき慌てふためいているころです。