都立駄菓子菓子高校一年Z組日誌より抜粋
「OK?じゃないわよこの鈍感野郎!!
どうせならテントにバリアでもはってみなさいよ!
この顔だけ土下座野郎が!!」
うーん、俺はこの身を挺してありがたい人助けをしたはず何だが、
何故にドS発言を受けねばならないのだろう。
バリアははれないだろ、俺は人間だぜ。両親も間違いなく人間だ。うん。
とにかく理不尽な言いがかりだと思ってため息をもらし、
所在無げな手をなんとなしにポケットに手を突っ込んでみる。
と、何やらカプセル状のものが引っかかった。
あ、そういえば朝ー。
テントの準備をしている俺の所に、団子が珍しく息をきらして
「金時!!これをあげるわ、いざとゆう時どばーっと役に立つから!」
そう、かなりアバウトな説明をすると、一方的にそのブツを手に握らされ、
団子はまた嵐のごとくクラス席に走って行った。まあ、嵐と言っても、彼女の足は亀並み、
いや、亀より遅いのぽてぽてと可愛らしく前進するだけだったが。
その5センチほどのカプセルをポケットから掴み取り、手にとりよくよく見てみると、
小さく「カプカプ君ver.3。防御フィールド展開・120%」と書いてあった。
「これ…何?使い方とか全然わかんないんだけどコレ。なに、カプセルコーポレーション的な何か?」
朝もらったカプセルをしげしげと見つめながら俺は小首をかしげる。
「あっ、あんたバカぁ?そんなもんの使い方くらい覚えなさいよ!!」
90年代流行ったアニメのヒロインの名ゼリフをはきながら、
彼女は俺の手からカプセルをひったくった。
「コレはカプカプ君よ!!うえのボタンを押して地面に叩きつければ
その地点から半径20メートルは物質の通り抜けは遮断されるわ。
俗に言うバリアが展開されるわけ。フィールドの硬度は120%だから爆発片なんてアリみたいなもんよ。」
彼女はそう、勝ち誇り、がなり立てるように一気にまくし立てた。
俺は、確かにカプカプ君を見たことはあったし使ったこともあった気がする。
だが、今のサイズより三倍は大きく使い方も異なった気がする。
初期の頃、確か小学生の頃だったかーー。それはバナナ位のサイズはあった。
使い方も、そのバナナ型カプセルの皮をむくとか、そんなファンシーな感じだったような。
まぁ回想はこれくらいにして、団子が開発研究を重ねてニューバージョンが完成していたのだろう。
「団子…せめて使い方と用途だけ言っておいてくれ。
それに何より、これを使わなきゃいけないような事態は起こさないでくれよ…土下座するのは俺なんだぜ」
僕は至極真っ当なことを、弱々しく呟いた。
ほんとうはもっと怒りのニュアンスを伝えたいのだが、
傷口が熱くて痛い。血はまだ止まる気配はない。
傷みに神経が奪われ始め、怒る気力がうせていた。
「…わかったわよ。今回は私が悪かったわ。
しょうがないから今度からニューバージョンが出来たら開発過程から
使用方法までこと細かく細部まで延々と説明してあげるわ、この私がよ!!。
・・・・・・・あんたに怪我されたり、もし、死なれたら、私にとっても大きな危機だものね」
謝っている割に、言い方は相変わらずきついし傍若無人で不遜な態度はこれっぽちも変わらないが。
どうやら少しは反省しているようだった。
カプセルを俺に渡してくれたのも、団子のなりの気遣いだったのだろう。
「だって・・・だってあんたに怪我でもされて学校休まれたら、私の皆勤賞にも傷がつくんだから!!!
ホログラム装置を持っているのはあんただけなんだからね!!」
前言撤回。俺への気遣いではなく、彼女はやはり自分の事しか考えていなかった。
そうじゃなきゃ、そもそも校庭にクレーターなんてあけやしないだろう。
この天上天下唯我独尊女が。
「それより、来て。止血するわ。私、血の匂いが有機物の中で一番嫌いなのよ。」
団子は金時の手を引いた。
足は医務室に向かっている。
「おい、お前血は触れないんじゃ」
「馬鹿ね。
あんたの血なら、
喜んで舐めてもいいわ」
そういって、団子はまるで女豹のように扇情的で妖艶で
それでいてくりくりとした少女のような大きな瞳で
金時をみつめ、背伸びをしてゆっくりと金時の額の血を舐めあげた。
★解説★
体育祭の話。
まだまだホログラムや金時と団子のプロフィールはでてきませんね~。
おいおい出てくる予定です。