都立駄菓子菓子高校一年Z組日誌より抜粋
「団子!!」
金時はクレーターの中心に仁王立ちで佇むこの途方もないバカ騒ぎを起こした張本人につっかかっていった。
おでこでも切れたのか、右目に血が入ってよく見えないし、足も捻ったのか打撲なのかで歩を進めるたび激痛が走るが、
そんな事はとるにたりない。全くもって1mmたりとも問題ではない。
「団子!!お前怪我は大丈夫か!?てゆーかどの女子高生が校庭にクレーターなんてもの発生させられるんだよ!!」
彼女はギャアギャアカラスのようにまくし立てる彼に背を向けたまま、呟いた。
「せっかく肉体の筋組織の力を100パーセント解放する電子装置、その名も
「キンキンキンニクン」を試験的に使ってみたのに…
とれたデータはか弱い女子高生の脚力で一回どかんと地面を踏みしめただけで
半径150メートルの大穴があくという事だけだわ。
嘆かわしい。
なんて脆いのかしら、3次元って。」
どうやら団子自身は爆発源の中心にいたためケガはほとんど無い。
が。
その無神経な一言に、金時はキレそうになった。
「何だよキンニクンて!芸人かよ!物騒な代物に
ちょっぴり可愛い名前つけたって性能は変わらないんだよ!
ちょっ…お前ね、わかってる?そういう事は先に言っておきなさいお兄ちゃんに!!」
「私はあんたと兄弟じゃないわ。ただのお隣さんよ、私の大好きなね」
そう言うと、ようやくきびすを返し金時のほうに向き直る。
…大好きな、はとりあえず今は聞き流そう。金時はそう自分に言い聞かせ、
なおもくどくどと説教をブチかまそうとしていた。
が。団子の表情が一変した。
「ケガ…したんだ。どうりで至近距離から血の匂いがすると思った。
あんたならこれくらいの爆発片くらいよけられるだろうに」
上目遣いで聞いてくる。金時と団子の身長差はおよそ30センチ。
くりくりとした長い睫の大きな瞳でジッと見つめられると、
幼児の頃から団子と付き合いのある金時も流石に狼狽する。
そういえば、今更額の傷がジンジンと痛み出した。
ジャージを見てみれば、見事な血塗れのアートが完成している。
うん、なかなか良い出来だ。前衛的なデザインとして売り出し可能かもしれないな。
「ああ、しょうがないだろ、閉会式直前に校庭に単独で乗り込み
「私のクラスが優勝じゃないってどういうことよ!!」って叫んだやつが
腹いせに地面蹴ったら大爆発だぜ。ほかの生徒は校庭隅のクラス席にいたからまだよかったものの、
俺は実行委員でテントにいたからな。一瞬で長机をタテにして他の可愛い女子達を庇うのに必死だったわけだ。OK?」
続く!!