気にしてないんだから | ★ONSEN★の徒然!!サブカルチャー中毒!ブログ★

気にしてないんだから

「とあるOLの憂鬱な朝」



『ーーごめんなさい、今日の占いワーストワンはおとめ座のあなた!
何をやっても空回り、ケアレスミスが大惨事に繋がるかも!
ラッキーカラーは白。何かあったら拳をポケットに入れてギュッと握ってみてー…』
ブチッ。テレビの画面は一瞬で真っ暗闇。ふん、してやったり。
朝の貴重なこの時間。
なんとなしにザッピングしながら歯磨きをしていたら耳に飛び込んで来たのは、

8月27日生まれの私をピンポイントで狙ってきたかのような、この占い。
女子アナの高い声がいつになく耳障りで、おまけに恨めしく感じた。

が。
占いなんて気にしていたら世界中のおとめ座の人間はどうなるっつーの。
全員がケアレスミスをして大惨事を招き、大混乱に陥るとでも?
馬鹿らしいったらない。
私の心を一瞬でも不快にさせた罪は重いぜ。

なんて事を考えながら、仕事着に着替え、いつも通りに出社。

「おはようございます、先輩」
「ん、おはよー」

可愛いくて時々憎たらしい後輩が声をかけてくる。いつもと全く変わらない、朝の風景に安堵する。
「先輩、今日はプレゼンですよね。頑張って下さいね~ぇ」2つ下の後輩はニヤニヤしながら応援とも嫌みともとれる言葉を投げかける。
「言われなくても頑張るっつーの」

そう言った後、軽いため息一つ。あの脳みそが凝り固まった中年共をどう納得させるか。
それが問題だ。
シェイクスピアの戯曲のような思考に一人ごちる。

「それにしてもー」
後輩は言葉を続ける。
「珍しいですよね、先輩が白いスーツだなんて」

「…そうかしら。」
気づけば、私は手をパンツのポケットに入れて、軽く握りしめている。

嗚呼。
占いなんて、見るんじゃなかった。この私が何かに縋るなんて、末代までの恥だわ。
…あの女子アナ許すまじ。

その頃、某テレビ局の看板アナウンサーは、いいしれぬ不安と悪寒に一人恐怖を覚えていたとかいないとか。



★解説★
いわゆるキャリアウーマンの、憂鬱な1日。
何かに縋るなんて馬鹿らしいと思いつつ、ふと目にしてしまった占いに左右されるなんて、可愛らしいですね♪


なんかOLシリーズしか見つからない。懐かしいショートストーリーだぁ…。