ヘビはトカゲの仲間から進化した。
これに異論を唱える者はいない。
しかし、
ヘビはトカゲの仲間から足を失い、細長い体をくねらせて移動する
その独特のスタイルになったのか・・・。
そのヘビの進化の過程をめぐっては、
★地中での穴掘りに適応したとする説。
★水中を泳ぐことに適応したとする説。
があり、昔から議論され続けていた。
地中、水中のいずれも足は邪魔となることが多く、
細長い体は水中や地中といった抵抗のある場所では有利だ。
さて、
ヘビに近い、あるいは祖先とされる爬虫類はいくつか発見されている。
ヘビの一歩手前の進化段階を示すというドリコサウルス類。
手足は健在だが、退化傾向にあり、やはりヘビのような細長い体をしている。
白亜紀後期の9900万年前のヨーロッパ、かつて海だった地層から
アドリオサウルス
など6種が知られている。
また、
ヨーロッパの近く、中東にあるパレスチナの9500万年前には地層からは
最古のヘビといわれるパキラキス
の化石が発見されている。
後足は残るものの、ほぼヘビの体型であったようで、
浅い海をウミヘビのごとく泳いでいたという。
このようにヘビの起源は当時のヨーロッパの海が舞台であり、
水中起源説が有力視されていた。
しかし!
ヘビは水中でなく、陸上で進化したという論文が
2012年7月30日に発表された!
この結論に至った化石は
米モンタナ州で発見された7000万年前に生息していたコニオフィス(Coniophis)
というヘビ化石の標本。
コニオフィス
(Coniophis)
この化石が最初に発見されたのは1890年代と100年以上も昔であり、
ほとんど研究されずに博物館にお蔵入りなっていたものだ。
今回、この化石を引っ張り出し、顎や歯、脊椎を詳しく分析したところ、
もっとも原始的なヘビであることがわかり、
トカゲからヘビへの進化過程のカギを握る重要な化石であるという結論に
いたったという。
トカゲに似た頭部とヘビのように自分の頭の何倍もある獲物を呑み込む
ほど柔軟なアゴをもっていないものの、
ヘビのような反り返ったカギ状の牙がならび、見た目はヘビのような姿
であっただろうといわれている。
このコニオフィスは地面に穴を掘る習性があったと見られており、
陸生のトカゲから地中適応し進化したのではないかといわれている。
ちなみにコニオフィスは7000万年前に生息と
海に生息した最古のヘビであるパキラキス(9500万年前)よりも
新しい時代に生きていたが、
おそらく、コニオフィスのようなヘビはもっと古い時代に現れており、
ティラノサウルスやトリケラトプスなどの恐竜たちの足元で
当時の生きた化石として、ひっそり生き続けていたといわれている。