恐竜から鳥類が進化した・・・。


今やこの事実は広く受け入れられている恐竜学の常識だ!


今から150年前、
1859年、ダーウィンの「種の起源」が発刊された間もない頃に
恐竜、始祖鳥、鳥類に認められる骨格の類似点をもとに
鳥類が恐竜の子孫であることがすでに示されていた。


しかし
恐竜に鎖骨(鳥類は「叉骨」と呼ばれる左右の鎖骨がV字に融合した特有な形をしている)
が見当たらないことから
鎖骨が消失した恐竜から鳥類に進化することは考えられないという説が
長らく主流であったようだ


川崎悟司 オフィシャルブログ 古世界の住人 Powered by Ameba-叉骨(恐竜と鳥だけが持つ骨)

だが、1960年代から
ディノニクス をはじめ、ほとんどの獣脚類恐竜にも

鳥類特有の叉骨をもっていたことが
明らかとなり、鳥類が恐竜の子孫であることは今や定説となった。


さらにその定説を強固にしたものが
恐竜から羽毛の痕跡が確認されたことだ!


川崎悟司 オフィシャルブログ 古世界の住人 Powered by Ameba-シノサウロプテリクス

初めて羽毛が確認された恐竜は
1995年に中国の遼寧省で発見された
シノサウロプテリクス という小型の獣脚類である。


それ以来、
その遼寧省から相次いで羽毛恐竜が発見され続けた。


川崎悟司 オフィシャルブログ 古世界の住人 Powered by Ameba-羽毛が確認されたコエルロサウルス類たち


いずれも、この羽毛恐竜と呼ばれるものは
コエルロサウルス類と呼ばれる恐竜で鳥類に系統的に近いグループである!

コエルロサウルス類はティラノサウルス のような大型恐竜もいたが、
そのほとんどが体の小さな恐竜で、羽毛が確認されている種は
それに限られていた!


なぜ体の小さな恐竜は羽毛をまとっていたのか・・・。


これは
コップ程度の量の水はすぐに温まり、また冷めやすいが
お風呂の量の水となると温めも時間がかかり、冷めるのも遅くなる
という理屈と同じで
体が小さいと体温が逃げやすく、また熱しやすい性質になるため

一定の体温維持は難しくなる。

そこで
断熱効果のある羽毛を全身にまとうことによって
体温を一定に保つことに役立つというわけだ。


このように体の小さなコエルロサウルス類にのみに羽毛の発見が
それを裏付けているわけだが、
最近、そうとは言い切れない発見が発表された!


2012年4月。
中国の遼寧省の1億2000万年前の地層から
ティラノサウルスの仲間になる全長9m、体重にして1.4トンにもなる
新属新種の大型肉食恐竜が発見されたと発表された!


ユーティラヌス・フアリ (Yutyrannus huali)


川崎悟司 オフィシャルブログ 古世界の住人 Powered by Ameba-ユウティラヌス

発見されたのは成体と若い個体が2体。
実に成体には尾、若い個体には首や脚などに
長さ15~20cmにもなる羽毛があったという!


これだけの体の大きな恐竜に羽毛が発見されたのは初めてで、
必ずしも体の大きさには関係があるとは言い切れなくなったようだ!


寒い地域に生息したとされるユウティラヌスは羽毛は保温のために
役立てたといわれているが、
羽毛の断熱効果によって
寒い地域から暖かい地域まで体温を維持が容易
より活動の範囲が広がったのではないかといわれている。


さて、
羽毛恐竜について、また新たな発見があった!

2012年7月
ドイツのジュラ紀後期(1億5500万年前)の地層から尾や腹に
羽毛が確認された小型獣脚類が発見され、新属新種として発表された!

スキウルミムス (Sciurumimus albersdoerferi )


川崎悟司 オフィシャルブログ 古世界の住人 Powered by Ameba-スキウルミムス
こちらは全長70cmほどの小さな恐竜であるが、

原始的な獣脚類とされるメガロサウルス類に属する恐竜である。

いままでの羽毛恐竜はそのほとんどがコエルロサウルス類に限られていたが、
コエルロサウルスよりも鳥類に遠縁となるメガロサウルス類
羽毛が確認されたのは大きな発見である。


川崎悟司 オフィシャルブログ 古世界の住人 Powered by Ameba-獣脚類の系統図と羽毛

これによって羽毛の起源は原始的な獣脚類にまで遡ることになり、
羽毛で身をまとう恐竜というのは
体の大きさから系統にまで広がりを見せつつあり、

恐竜の常識となっているようだ!