エウクラドケロス 属名(Eucladoceros )


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新第三紀、鮮新世(500万年前~260万年前)の
ユーラシア大陸に広く生息していたシカの仲間だ。
見てのとおり、十数本にも複雑に枝分かれした巨大な枝角を

究極に成長させ、その長さは2m近くも及ぶという!


エウクラドケロスほどではないにしろ、

シカの仲間はオスによくこのような立派な角が見られるわけだが
同じ種のオスとメスとで外見が随分と異なることを
「性的二型」と呼ばれ、
哺乳類や鳥類に性的二型の傾向がよく見られる。


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視力が優れた鳥類ではとくに性的二型がよく見られ、
その究極はやはり「孔雀(インドクジャク)」だろう。


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孔雀のオスは発情期になると目玉模様のついた立派な飾り羽
優雅に披露する。これが立派であればあるほどメスにモテるのだ
しかし
こんな立派な羽飾りを体につけていては
目立ってしまって外敵に見つかりやすく、そして逃げづらい、
しかもこのような器官を維持するエネルギー消費もバカにならない
という生存に支障をきたすことはいうまでもない。


しかし逆にこういう見方もできる
「生存をかけたこの世界で、こんな邪魔なるものを
背負いながらも実際に俺はたくましく生きているじゃないか。」

つまり
生存に不利なハンディを背負いながらも、それを穴埋めすべく
体力面なのだろうか、精神面なのだろうか、
優れた何かをもっているという証でもあるのだ。


そういったオスにメスは魅力を感じ、そのオスは子孫を残していく
というわけだ。


このように生存に不利な動物の形態や行動を

説明する理論が1975年、
イスラエルの生物学者アモツ・ザハヴィによって提唱された

「ハンディキャップ理論」だ。


ハンディキャップ理論にはこれまで述べた

性的なディスプレイだけではない。

動物にはあえて生存の危険をさらすような行動をとるものもいるという。
その例が
草食動物であるガゼルの飛び跳ね行動(ストッティング)だ!
捕食者であるライオンやチーターから逃げるのではなく、
逆に飛び跳ねて挑発じみた行動をとるのだという!

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これは
「私はこれだけ元気で、あんたから逃げられる自信がある!」
というアピールで
逆にライオンやチーターにとっては調子のいいガゼルを
追いかけて捕食しようとすることはエネルギー消費も激しく
コストがかかってしまうと思わすわけだ。


実際にチーターはすぐに逃げ出すガゼルを狙うことが
観測されているという。


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