およそ5億年前のカンブリア大爆発で
生物相の多様性が本格化してから現在まで
5度の大量絶滅が繰り返された。
まず、最初に訪れたのが
オルドビス紀末の大量絶滅だ。
生物種の85%が絶滅したと見積もられており
5度の大量絶滅では2番目に規模が大きいものだったという!
なぜ、大量絶滅が起こったのか・・・。
まずはこの時代の世界を語る必要がある。
オルドビス紀(4億8800万年前~4億4400万年前)の世界は
北半球はほとんど海であり、
南半球には
現在のアフリカ、南アメリカ、南極、オーストラリアが含まれる
巨大なゴンドワナ大陸があった。
化石記録では陸上にはまだ植物も動物も進出しておらず、
荒涼とした大地が広がるだけだったようで、
海域のみの生息だった。
この時代は筆石時代と呼ばれるほど
半索動物類の筆石(フデイシ)が大繁栄しており、
サンゴの仲間やヒトデやウミユリなどの棘皮動物も繁栄している。
殻長が数メートルにも及ぶ軟体動物のオウムガイの仲間も現れ
獰猛な肉食動物として君臨していた。
そして三葉虫はこの時代にもっとも繁栄している。
それらの動物たちは主に沿岸域の浅海で生息していた。
当時は現在のマグロやクジラのように
遠洋まで出られるような遊泳能力をもった生物は
おらず、
この時代の生物相は浅海域にほぼ限られていたようだ。
ほとんどの生物種が浅海域に生息していたのなら
この浅海域になんらかの大きな環境変化が起きれば、
大規模な大量絶滅が起こる可能性は高い。
浅海の世界をガラリと変えるもの・・・。
海退だ!
世界規模で海の水位が下がれば、
世界中の浅海が干上がり、オルドビス紀の生物相は
かなりのダメージを受けることはいうまでもない。
オルドビス紀は温暖湿潤な時代で
海面の水位が高かったようだが、
この時代の末期には
南半球にあった巨大大陸ゴンドワナが大陸移動で南下し、
南極点に落ち着くようになると
ゴンドワナ大陸の中央部に位置するアフリカで
巨大な氷河が形成され、氷河期が訪れたという。
水蒸気となった海水はこのゴンドワナ大陸の氷河となり保存され
海水が減りはじめて、生命あふれる浅い海が失ったというわけだ。
これはエクソン・カーブ(エクソン・グローバル・サイクル・チャート)
のもとに作成した過去5億年の海の水位を表したグラフだ。
オルドビス紀はやはり海退が進んだ時代として表れている。
そして、意外にも
現在は過去5億年において、もっとも海退が進んだ時代だ。
氷床に覆われた南極や北極地方のグリーンランドの
氷がすべて溶け、海に流れれば
海水面は80mも上昇すると予測されている。