過酷な環境である深海では

それほど豊富でない餌動物。


生涯に獲物に出会うチャンスは数えるほどしかないかもしれない。


貴重な獲物を捕らえようと

尋常でないほどの大きな顎を発達させた深海魚


フクロウナギ  学名(Eurypharynx pelecanoides
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見てのとおり、大きな口を持つことで知られるフクロウナギだが

上アゴと下アゴの発達があまりにも極端だ!


川崎悟司 オフィシャルブログ 古世界の住人 Powered by Ameba-フクロウナギの頭骨

それはフクロウナギの頭部の長さの95%がアゴの骨が占めるという!

しかし歯は小さく、アゴはそれほど丈夫ではないため

大きな獲物を食べるというわけでなく

小型な甲殻類やプランクトンなどを食べるようだ。
川崎悟司 オフィシャルブログ 古世界の住人 Powered by Ameba-フクロウナギの餌の食べ方

海水ごと獲物にパクつき濾すといった、ヒゲクジラのような食べ方だ。


しかし、フクロウナギほどではないが、

かなりの大きな口をもつ深海魚がいる。

フウセンウナギ  属名(Saccopharynx
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フクロウナギに似た深海魚だが、こいつは牙が発達し、

大型の獲物を捕らえるタイプ。

歯は細くカギ状になっており、後方へ倒れる構造になっているため

捕らえた獲物は逃さない



川崎悟司 オフィシャルブログ 古世界の住人 Powered by Ameba-フウセンウナギの満腹時

胃袋は巨大に拡張できるため、

自分の体と同じくらい大きな獲物さえ、ごっそりと丸呑みし

胃袋に無理矢理に押し込む凄まじさだ!

深海という餌を食べられることが少ない環境では

今後のことを考えると、一気に食い溜めしなければならないわけだ。


さらに

深海魚にはその上をいくものがいる!

オニボウズギス
川崎悟司 オフィシャルブログ 古世界の住人 Powered by Ameba-オニボウズギス

この図のように

オニボウズギスより明らかに大きいだろうという魚を
丸呑みしてしまうという逆転現象!

胃を巨大に拡張でき、それを取り囲む腹部の筋肉の柔軟さで

成せる技なのだが、

食べられた獲物も、

「まさか、俺よりも小さい奴に食べられてしまうとは・・・」

思いも寄らなかっただろう。


深海では

とにかくエサにありつける機会はごくまれで、

それに対応した大食漢とはいえど、ここまで常識はずれな生き物が存在し、

生涯において食事というのは

一大イベントなのだ。

深海魚 暗黒街のモンスターたち/尼岡 邦夫
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参考にした文献

深海魚の写真がとにかく豊富です。