過酷な環境である深海では
それほど豊富でない餌動物。
生涯に獲物に出会うチャンスは数えるほどしかないかもしれない。
貴重な獲物を捕らえようと
尋常でないほどの大きな顎を発達させた深海魚
フクロウナギ
学名(Eurypharynx pelecanoides )
見てのとおり、大きな口を持つことで知られるフクロウナギだが
上アゴと下アゴの発達があまりにも極端だ!
それはフクロウナギの頭部の長さの95%がアゴの骨が占めるという!
しかし歯は小さく、アゴはそれほど丈夫ではないため
大きな獲物を食べるというわけでなく
海水ごと獲物にパクつき濾すといった、ヒゲクジラのような食べ方だ。
しかし、フクロウナギほどではないが、
かなりの大きな口をもつ深海魚がいる。
フウセンウナギ
属名(Saccopharynx )
フクロウナギに似た深海魚だが、こいつは牙が発達し、
大型の獲物を捕らえるタイプ。
歯は細くカギ状になっており、後方へ倒れる構造になっているため
捕らえた獲物は逃さない
胃袋は巨大に拡張できるため、
自分の体と同じくらい大きな獲物さえ、ごっそりと丸呑みし
胃袋に無理矢理に押し込む凄まじさだ!
深海という餌を食べられることが少ない環境では
今後のことを考えると、一気に食い溜めしなければならないわけだ。
さらに
深海魚にはその上をいくものがいる!
この図のように
オニボウズギスより明らかに大きいだろうという魚を
丸呑みしてしまうという逆転現象!
胃を巨大に拡張でき、それを取り囲む腹部の筋肉の柔軟さで
成せる技なのだが、
食べられた獲物も、
「まさか、俺よりも小さい奴に食べられてしまうとは・・・」
思いも寄らなかっただろう。
深海では
とにかくエサにありつける機会はごくまれで、
それに対応した大食漢とはいえど、ここまで常識はずれな生き物が存在し、
生涯において食事というのは
一大イベントなのだ。
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参考にした文献
深海魚の写真がとにかく豊富です。