大半を海で過ごす海生哺乳類で
陸上では体を引きずって移動するアザラシ。
間違いなのだが、その証拠たる化石の発見されていなかった。
しかし、
今回、その化石がついに発見されたというニュースが飛び込んできた!
ナショナルジオグラフィック 2009年4月23日
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=66897773&expand
海の哺乳類といえば、クジラや海牛類のジュゴン 。
これらの海獣の祖先が陸上でしっかりとした足をもち
陸上を歩いていたことを示す化石がすでに発見されている。
当然ながらアザラシもその祖先は陸上を軽快に歩いていた獣であることは
想像つくのだが、それを示す物的証拠である化石が今まで知られていなかった。
2007年、
カナダ北極圏のデボン島で2300万年前に隕石が落ちて
できたホートン・クレーターの調査している際に
偶然にも「歩くアザラシ」の化石が発見したという!
この新たな種はダーウィンの若い海洋哺乳類という意味の
「プイジラ・ダーウィニ」と名づけられた!
プイジラ 学名(Puijila darwini )
アザラシやアシカなどの仲間の鰭脚類。
現在のアザラシとは違い、しっかりとした四肢をもち
長い尾を持っており、歩きと泳ぎの両方を巧みにこなしていたという!
外見はカワウソそのものと考えられており、
今回の研究の主導者ナタリア・リプチンスキー氏は
「カワウソはアザラシやアシカの祖先の現代版だ」といっている。
プイジラ・ダーウィニは北極圏に生息していたわけだが
当時の北極圏は温暖であり、湖や川などの淡水域にゆったりと生息していたという
しかし
北極圏での気候の変化が激しくなり、
その適応が余儀なくされ、進化のスピードを後押し。
しだいに海に生息しただろうといわれている。
また、北極圏で発見されたことから
「アザラシは北米の北西部海岸で進化した」という定説があったが
それが覆される可能性が出てきた。
また
アザラシの大きな目は
光の届きにくい海中での適応ではなく、
冬、一日中が夜である暗い北極での適応という仮説も
新たに出てきている。
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