イルカの出産。


川崎悟司 オフィシャルブログ 古世界の住人 Powered by Ameba-イルカの出産

一生涯を海の中で過ごし、水中出産するイルカの胎児は

逆子で産まれる。


逆子・・・。


それは爬虫類や哺乳類など肺呼吸でありながら

海で一生涯を過ごすことを選んだ動物たちの分娩である。


なぜなら

頭から出る頭位分娩だと

母体から頭が出た時点で胎児は肺呼吸を迫られるからである。

体全体が出るまでに時間がかかり、

水中で溺れてしまうからだ。


川崎悟司 オフィシャルブログ 古世界の住人 Powered by Ameba-ステノプテリギウス

恐竜時代にも海で一生涯を過ごしたとされる

完全な海生爬虫類、「魚竜」も水中で出産していたと見られ

ステノプテリギウス という魚竜は

逆子で出産したと思われる化石で知られている。



川崎悟司 オフィシャルブログ 古世界の住人 Powered by Ameba-テチス海でのクジラの進化

逆子で出産するクジラの仲間。

しかし、陸上で4本足で歩いたクジラの祖先は

どうなのだろう?


ミシガン大学の古生物学者フィリップ・ギンゲリッチ氏が

2000年に発見した初期のクジラの化石には

胎児の化石も含まれており、

現在のクジラの逆子で水中出産したのではなく

陸上で頭位分娩していたことがわかったという!


ナショナルジオグラフィック 2009年2月3日

「初期のクジラは陸上で出産していた」

http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=59034892&expand


マイアケタス 学名(Maiacetus inuus)


川崎悟司 オフィシャルブログ 古世界の住人 Powered by Ameba-マイアケタスの出産


パキスタンで胎児といっしょに発見された初期クジラの出産の想像図。

4700万年前に生息していたと見られる。


かつてテチス海だったパキスタンやエジプトの砂漠を

30年間も掘り続け、数々のクジラの化石を発見し、研究された

古生物学者フィリップ・ギンゲリッチ氏は

マイアケタスについて、このように語る!


川崎悟司 オフィシャルブログ 古世界の住人 Powered by Ameba-フィリップ・キンゲリッチ教授  ミシガン大学のフィリップ・キンゲリッチ教授

「最初は小さな歯を見つけたんだけどね。

だけど次に見つけた肋骨との位置関係がおかしかったんだよ。

それと、その歯の大きさに対し肋骨はあまりにも大きかったんで

とてもじゃないけど誰が見ても同じ個体のものとは思えなかったね。

その後、それが母親と胎児であることを気付いた時は

いやぁ、ほんとビックリしたよ!

なんたって、クジラの胎児の化石ははじめてのことなんだから。

特に

胎児の姿勢は頭を下に向けた頭位だったことが印象的だったよ。

これはまぁ、このクジラが陸上で出産したことを

物語っているんだけど

何もクジラの祖先が陸上で出産することは

それほど驚くことではないんだよ。

海中での出産は溺れたり、親とはぐれたり、サメなんかに襲われたりして

とにかくリスクが多いしね。

それを考えたら、陸上での出産がベターじゃないかなぁ。

まぁ、

何はともあれ、これは初期のクジラの暮らし方を教えてくれる

大きな発見であることは間違いないね。」



これからもテチス海沿岸で暮らした初期クジラの

新たな謎が解明することが楽しみであります!

ところで

クジラに近縁なカバ は水中分娩するらしいですが

逆子で産まれるのでしょうか?



ジュゴン などの海牛も一生涯水中で過ごし、出産も水中でおこなわれると

思うのですが、逆子で産まれるのでしょうか?


(追記)

この問いに問い合わせた先の鳥羽水族館から回答をいただきました。

その続きはこちらで↓

「ジュゴンも逆子で出産」

http://ameblo.jp/oldworld/entry-10208415197.html


イルカ・クジラ学―イルカとクジラの謎に挑む/村山 司
¥2,940
Amazon.co.jp