「クジラは哺乳類である以上
その祖先は陸上動物であったにちがいない!」


1960年代からそのように言われてきたが、
クジラがどのように海に進出したのか
長年の謎だった・・・。


しかし今や
インドやパキスタンなど限定された地域で
次々とクジラの祖先の化石が次々と発見されているという!


今から5000万年前のその地域は
とても広く、そして恵み豊かな浅海があった・・・。


テチス海

当時、インドとアジアは陸続きではなく、その間に
今はなきテチス海(古地中海)があったという。


そこは「クジラの祖先」の生息の場、
そして進化の舞台となのだ!



■クジラの祖先は陸を歩いていた!■


そのクジラの祖先とはコイツらだ!


クジラの祖先は陸を歩いていた

マメジカのような姿の「インドヒウス Indohyus )」や
オオカミのような姿の「パキケタス Pakicetus )」
ワニのような生態の「アンブロケタスAmbulocetus )」、
そして吻部の長いカワウソのような姿の「クッチケタス Kutchicetus )」。


やはり、彼らクジラの祖先はしっかりとした四肢をもち、
地上を歩く陸上動物であった。



■クジラとその祖先を結ぶ耳の骨■

しかし
ここまで現在の海に生息するクジラと
かけ離れた姿をしていた動物たちが
その祖先といえるのはなぜか・・・。

それは「耳のしくみが同じ」なんだという!


クジラ特有の「分厚い耳骨」
彼らクジラの祖先も持っていたことが化石から明らかになっている。
この分厚い耳骨こそが彼ら陸上動物をクジラの祖先とする根拠だ



クジラの耳のしくみ

陸上で生活をする哺乳動物は音を空気の振動でとらえるため
耳の骨は薄く、空気の振動を受ける為の空洞がつくられている。
一方
クジラの場合は水中に伝わる音(振動)を下顎の骨でキャッチし、
骨そのものを振動させる「骨振動」によって音を聞くため
耳の骨は厚く緻密にできているという。


クッチケタスが医者だったら
もしも、クジラ祖先のクッチケタスが医者だったら、聴診器いらずってか


このことから
陸上で生活するクジラの祖先たちは
陸上では耳はよくなかったが、水中では耳は良かったようで
このことから、彼らを水生適応に有利に働いたのは言うまでもない。



■豊かなテチス海■
そして
クジラの祖先たちを海に進出を促せるのは、その生息地。
そう、「テチス海」だ!


インド亜大陸の北上移動によりテチス海の海底が押し上げられ
広大な浅瀬ができた。

日光の届きやすい浅瀬の水中ではプランクトンが増殖し
それをエサとする様々な生物が増えてくる。
いわば恵み豊かな海となり、
耳など水生適応が見られる
クジラの祖先たちの絶好の餌場になり、
海への進出に拍車をかけたのはまちがいないだろう!


テチス海消滅と地殻変動

インド亜大陸とアジアが衝突により大地はせり上がり
そこには世界の最高峰ヒマラヤ山脈が形成、
テチス海が消滅した。


そして海に進出したクジラの祖先たちは
大海原を回遊することになる



■そして大海原へ■

クジラは長く細い尾を持つ4本足の半水棲のクジラの祖先から、
前足は胸ビレとなり、後足は退化して、尾ビレがある
現在の完全な水生動物へと進化してきた


しかし、
クジラの系統樹のどの時期で尾ビレが最初に発生したのかは、
これまで分かっていなかった。
そして、ある古クジラの化石を調査してところ
その発生時期はある程度、特定できたという!


ナショナルジオグラフィックニュース 2008年9月11日
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=9742429


研究対象となった古代クジラとはコイツだ!

ジョージアケタス  学名(Georgiacetus vogtlensis 


プロトケタスとジョージアケタス

最初に尾ヒレを持ったといわれる古代クジラ「プロトケタス」

最近、その近縁種であるジョージアケタスは尾ビレがないといわれている。


約4200万年前、北米の海に生息した古代クジラ。
クジラは尾ビレをつかって推進力を得ているが
このジョージアケタスの化石を調べるところによると
尾に尾ビレがないことが判明したそうだ!


そのかわり、パドルのような大きな後足をもっており、
これをつかって泳いだのではないかと考えられている。


しかし、奇妙なことに
このジョージアケタスの骨盤と背骨がつながっていないという!
これは
パドルのような後足で水中を漕ぐことは不可能を意味する!


足で掻くことはできません

だが
現在のクジラの泳ぎ方、
体を上下にうねらして泳げば、この後足も泳ぎに役立つという!


ジョージアケタスの泳ぎ方

つまり、泳ぐ時に腰を上下に振れば、後足も必然と
上下に振るようになり、尾ビレの役割になるというわけだ。


2005年に
クジラは早い時期に尾ビレをもち、尾ビレを持つことによって
クジラ発祥地のテチス海から世界中の海に分散していったという仮説を発表されたが
北米で古代クジラ「ジョージアケタス」に尾ビレがないという発見で
その仮説を覆されることとなった。

今後また、クジラの進化については新たな化石の発見で
新たな解釈が生まれるかもしれない。



ザトウクジラ

ザトウクジラ。

現在のクジラ。クジラの祖先から今ではこんな姿になっている。



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