スズメ 学名(Passer montanus )
世界じゅう、いたるところの都市部に
スズメの姿がみられる。
スズメといえば、「人の住むところにしか生活しない」という割には
人に対する警戒心は強く、近づくとすぐ飛んで逃げる。
しかし
ヨーロッパのスズメはそうではないらしい。
スズメが人の手の平に乗ってエサを食べるといった光景も
見られるらしい。
それで、
ヨーロッパは動物愛護の精神が行き届いているから
スズメも人間の手の平に乗るほど人懐こくなったという話があった。
なんとも自分優位という欧米人らしい発想ではあるが、
この比較文化論は明らかに間違いである。
ヨーロッパの都市部で見られるスズメは
種類が違うのである。
イエスズメ 学名(Passer domesticus )
日本で見られるスズメとの違いは
頭が灰色で頬に黒い模様がないことで見分けがつく。
ヨーロッパの都市部で見られる「イエスズメ」は
もともと人に対する警戒心がない種なのである。
実はヨーロッパでも、日本で見られる「スズメ」が、生息している。
「スズメ」は日本では都市部に見られるのに対し
ヨーロッパでは人里離れた森林などに生息しているのである。
これは
エサが豊富で天敵のいない都市部という絶好の環境に
「スズメ」と「イエスズメ」が生活圏をめぐり争った結果
「スズメ」が敗退し、人里はなれた森林の生活を余儀なくされたという。
このようなヨーロッパでのスズメの人里生活圏獲得争いは
日本でもそれと同様なこと起きていた。
日本では都市部にヨーロッパで敗者だった「スズメ」がいるが、
「スズメ」に追いやられ、森林の生活を余儀なくされたスズメがいた!
ニュウナイスズメ 学名(Passer rutilans )
「ニュウナイスズメ」は頭が赤味を帯びていて、頬に黒い模様が
ないことで見分けがつく。
もともとは日本列島に生息していたスズメで
日本で稲作が始まった頃に大陸から「スズメ」がやってきて、
その生活の場を追いやられ、
いまでは森林でひっそりと暮しているという。
そして現在!!
ほぼヨーロッパをはじめ、世界中の都市部で猛威を振るう
「イエスズメ」が日本にもやってくるという!!
日本では見られない「イエスズメ」ではあるが、
1990年、利尻島で確認され、
その後、北海道の礼文島、天売島、積丹町などにも確認されたという。
いずれ、「イエスズメ」の日本での生息域拡大の可能性は大と思われ、
「スズメ」が「イエスズメ」に日本の都市部の生活圏を
奪われるものと容易に想像できる!!
そして森林へと追いやられた「スズメ」は
そこで「ニュウナイスズメ」の生活圏を奪い、
「ニュウナイスズメ」の生活圏をうしなってしまうかもしれない。
近い将来、ヨーロッパのように
日本でもスズメが手の平に乗ってエサを食べるといった光景が
見られるかもしれない。
でも
「日本もヨーロッパのように動物愛護精神が行き届くようになった」
というバカバカしい文化論はナシね。
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