今回の記事は長いです・・・。
この記事は古世界の住人の議論用掲示板 を
ギャラリーしてつくりました。
白熱した議論を読んで、大変勉強になりました。
ありがとうございます!!
**************************************************
1億4000万年前、ジュラ紀のヨーロッパ、
ゾルンホーフェン。
当時のヨーロッパは、
浅い海に干潟(ラグーン)、湿地帯などが広がる
開けた土地が地平線まで広がる世界だった・・・。
そこにはカブトガニやカニのエビような甲殻類が
這い回り、
開けた場所なので、いつも強い風が吹き、
風吹く空には翼竜の姿が目立つ。
しかし風が止む時もある・・・。
潟を這い回るカブトガニなどを食べ、お腹いっぱいの
翼竜たちが空を飛び立とうとしても
風は吹かず、空を飛ぶことができない。
とりあえず、翼を広げ、風を待つことに・・・。
しかしそれは翼竜にとって危険な状態だった!
しかしあれだ。こいつらはほとんど皮とスカスカの骨だけで
旨くねぇな。」
アイツも空飛びそうなヤツですけど・・・。」
始祖鳥 属名(Archaeopteryx )
「ああ・・・。我らと同じ地上支配者の竜族(恐竜のこと)でありながら、
変な毛なんぞ生やし、空を飛ぼうなんて中途半端なヤツだ」
普通に見つかっちゃうよ!父ちゃん!」
全然大丈夫じゃないじゃないか~っ!!」
息子よ、翼を広げ走れ!!そして飛べ!!」
翼竜たちを見てみろよ!」
こ、これは風なのか!?」
われらの祖先である竜族の脚力を生かし
風をつくり、そして翼にその風を宿すことのできる。
これこそが我らの持ち味。
そして、我らはいずれ大空を支配するだろう。
新たな飛翔伝説の始まりだ・・・グフッ!」
*************************************************************
■鳥類の翼■
風がなければ翼は「無用の長物」・・・
始祖鳥は鳥類の祖ともいうべき動物であるが、
鳥類の翼というものは他の飛行動物には見られない
機能性に富んだ翼だ。じつに風をよく知っている。
そして現在の大空を支配しているわけだ。
そんな翼の機能性について紹介。
■次列風切~それは揚力。■
空を飛ぶにはまず、揚力(下から押し上げられる力)が必要だ。
その揚力を生み出すのが次列風切だ!!
次列風切羽は湾曲して重なり合い
翼上面が盛り上がる
「円弧翼」を形成している。
揚力を生み出すにはこの円弧翼が有効なのだ!
その理由はこれだ!
翼で風を切るとき翼上面を通る空気は曲がった分
流れる距離が長くなり、流れる速度も早くなるという。
「水や空気などの流体が、速く流れると圧力が低くなる」
というベルヌーイの定理から
翼上面の気圧は低くなり、
翼上面と翼下面の気圧差が生じる。
圧力というものは高い方から低い方へ流れるので
下から上へ向かう力が働くわけだ
これが「揚力」だ!!
とにかく翼で空を飛ぶには前方から来る空気の流れ
が必要不可欠なのだ!!
先ほど記述で始祖鳥が飛べたという設定は
走ることのできる始祖鳥が走りながら翼を広げ
揚力を得たということである。
■初列風切~それは推進力。■
やはり空を飛び、前に進むには推進力が必要だ。
鳥は羽ばたくことによって推進力を得るわけだが
この推進力を生み出すのが初列風切だ!
鳥は大空を羽ばたくわけだが、
それは水面をバタフライ泳法で泳ぐのと同じことらしい。
というわけで
翼を振り下ろすときにこの初列風切で
上斜めから下斜めへと空気を掻くわけだが、
翼を振り上げる時はどうするのだろう。
それは初列風切の左右非対称の風切羽が
役に立つのである。
この左右非対称の風切羽によって、
空気の抵抗を利用して
ブラインダーのように閉じたり開いたりできるのだ!
翼を振り上げる時の空気抵抗は皆無に等しい。
これでいつでも一定方向に空気を蹴ることが
できるわけだ!
■揚力アップ■
鳥の飛行だけに限らないが
揚力アップ方法がある。
それは飛行中、翼を立てる
つまり迎え角を上げることによって
容易に揚力が上げられるという!
というわけだ!
もっと翼を立てればさらなる揚力アップが・・・。
しかし迎え角の限度があるらしい
それを越えると・・・。空を飛ぶものにとって
最も恐ろしい事態が起こる。
失速(ストール)だ!
失速とは速度が落ちることではない
いわゆる風を失った翼。
翼が無用の長物に変わる瞬間である
こうなると墜落である。
なんでも失速して墜落し
地面に叩きつけられた鳥もいるのだという。
■小翼羽~それは制御■
しかし鳥は着地するとき
飛ぶ速度を急激に落とす必要がある。
速度が落ちると揚力も落ちることになり、
翼を立てて、揚力を上げる必要がある。
しかし上げすぎると失速だ!
その失速を防ぐ羽が鳥にはあるという。
「小翼羽」がそれだ。
この羽を立てることによって
高い迎え角でも翼上面の空気の流れを
スムーズにしているのだ。
鳥も着地するときは
大きく翼を立てているが、
よく見ると小翼羽も立てているのだ。
このように、鳥の翼はいろんな機能をもち、
大空を自由に飛ぶ。
これほど、大空での自由度の高い翼をもつ
飛行動物は他にはいない。