光と闇・・・。

生命は
偉大なる太陽の恩恵を受けている。
太陽の光から植物は光合成をし、
養分と酸素を生産。

酸素を呼吸し、その植物を食べる植物食動物。

さらにその動物を獲物とする肉食動物。
光こそがすべての生命の活動の源になっている。
そう、すべては太陽の光から
生命は光に依存するとおもわれていた。

しかし

この世界には
光に依存しない
「闇の民」が存在するという・・・。

彼らの息づく場所は
一寸の光も届かぬほどの深海。
この星の内部より温められた
熱水と黒煙が吹き上がる
暗闇の世界。

そこには数多くの生命が満ち溢れており、

闇の生物ならではの生態系をもっていた!!

熱水噴出孔の生態系

闇の生命が満ち溢れるこのような風景は

海溝」や「海嶺」とよばれる地球の割れ目に

あるという。

地球内部から熱水と硫化水素が噴出し

海水の成分と反応して

黒い煙「ブラックスモーカー」が噴き出ている

生物にとって有毒である硫化水素を含む熱水を

活動の源にしているバクテリアが存在する。

そして

そのバクテリアを体内に取り込み、共生し、

活動エネルギーを得る生き物がいるのだ!

さらに

それらの生物を獲物とする

カニや魚などが集まっているという。


このように太陽の光に依存しない独自の生態系が

できあがっているのだ!

このような生物を

「化学合成生物群集」または「熱水噴出孔生物群集」

呼ばれている。

チューブワーム  属名(Lamellibrachia

ハオリムシ

化学合成生物群集の代表すべき1種。

赤い頭の巨大モヤシのような生き物だが

闇の住人なので、もちろん光に依存する植物ではない。

なんでも、こいつは口も消化器官もないのだという。

しかし硫化水素の硫黄分を体内に取り込み、

体内にいるバクテリアが硫黄分を有機物に変えて

それをエネルギーにして生きている。



シロウリガイ 属名(Calyptogena

シロウリガイ

見てのとおり二枚貝の1種。

鰓の表面には硫黄分を有機物に変える

バクテリアが生息しており、

その有機物をエサにしている。

このため普通の貝に見られる

消化器官が退化しているのだ!

こいつも太陽エネルギーに頼らない生活をしている

闇の住人だ!


そして

最近、この闇の生態系で

とてつもない生物が発見された!


スケーリーフット (ウロコフネタマガイ)
 学名(Crysomallon squamiferum

スケーリーフット

サザエやアワビといった腹足類の1種。

驚くことに腹足の軟体部分に硫化鉄、

つまり「鉄の鱗」をまとっているのだ!

硬い殻と鉄の鱗でまさにフルアーマー。

完全防備で防御力はメタル並だ。


こいつも化学合成生物群集の一員だ。

この闇の世界にも

このスケーリーフットと同じくアルビン貝という

巻貝がおり、鰓にバクテリアを共生させているいるが、

彼らは消化器官にバクテリアを共生させている点が

特徴である。


この鉄の巻貝スケーリーフットは

海洋研究開発機構を中心とした調査団が今年2月、

インド洋の海底2420メートルから20匹を採取、

船上で1週間ほど飼育、観察したという。


前々から何かと

鉄の鱗をもつ巻貝として話題だった

スケーリーフットだが、

ついになんと!

3月31日より

新江ノ島水族館 で世界初の標本展示が

やっているのだとか!

http://www.enosui.com/news/detail/2006tenji_06.html



深海の「化学合成生態系」については

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