私の職場には宗教をやっている人がいる。
冬のボーナス全額をその宗教に奉納する強者だ。
その人いわく、
「俺が入っているのは宗教じゃない!崇教(すうきょう)だ。
いっしょにするな!!」
最近、仕事の都合でその人がいる所によく行くことがあり、
話(9割は仕事に関係のない雑談)をする機会がめっぽう増えた。
なんでも昭和38年から「火の洗礼」という
それは人類が今だかつて体験のしたことのない
大規模な天変地異が起こる準備が始まっているという。
そして世界と人類を浄め、新しい文明へ再出発するときが
近づいてきているという・・・。
このような話は生物史でも大規模な火山活動で多くの種が絶滅とか
巨大隕石の衝突によって恐竜が絶滅して
その後、哺乳類繁栄といった新しい時代への移行といった
ものに似てなくもない。
その人は続けて語る・・・。
「来年あたりが危ないんじゃないかな~。」
そのセリフは確かにその人から数年前に聞いた
記憶があるのだが、悩んだ末、突っ込まないことにした。
私は試しにその人に
人類はサルから進化したみたいな
「動物の進化」について語ってみた。
その人はいきなり
ギャハハハハハ~と
ズッコケアクションつきの甲高い声で
私を激しく嘲笑した。
その人いわく、
「人もサルもみんな神様から生まれたもの。
それぞれ違ったDNAをもつ別物で、DNAが変化するはずがない。
そうやって君みたいにたくさんの人が誤解しているから
進化論を語ったダーウィンは罪人だ。」
昔、進化論を発表したダーウィンや
太陽のまわりを地球が回っていると
「地動説」を語ったコペルニクスも
宗教団体から罪人扱いされていた。
今そのとき、私はその伝説を垣間見ることができた。
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ダーウィンの自然淘汰説
それは進化論を語るうえで主流となる概念・・・。
これなくして太古の伝説は語れない。
ギラッフォケリクス 属名(Giraffokeryx )
キリンの祖先。昔のキリンは首が短い。
シカやレイヨウといったごくありふれた草食動物に
似ていた。
そんなキリンの仲間にも
突然変異(遺伝物質の塩基配列の変化)によって、
首の長いものが生まれることもしばしばあったという。
あまりにも逸脱した個性派だ!
首の短いキリンの祖先たちは
エサとなる草を他の草食動物たちに
奪われつつあった。
しかし突然変異によって首が長くなったキリンの祖先は
誰も口の届かない高いところにある木の葉を
独り占め。食べるものに困らなかった。
やがて、首の短いキリンの祖先は
他の草食動物たちとの食べ物の奪い合いに
敗れ、姿を見せなくなった。
そう、これこそが自然淘汰。
キリン 学名(Giraffa camelopardalis )
現在。アフリカサバンナでは
首の長いこのキリンだけが結果、生き残った。
今もキリンは高いところにある木の葉を
独占して食べることができるのである。
アフリカサバンナでは
草1つでも違う種類の草食動物が
それぞれ、食べ分けている。
そういった動物はこれからも淘汰されることなく
生き残るという。
アフリカサバンナの草食動物たちも草の食べわけで
うまくやっているわけだが、
ダーウィンを罪人と呼ぶ宗教家(違う、崇教家だった。)
が語る「火の洗礼」のような大規模な環境変化が起これば、
淘汰される動物、後の時代に適応して生き残る動物も
また大きく変わるのだろう・・・。
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