暑いとき、運動した後、
熱くなった体を冷やしてくれるのが
「発汗」。
体内から熱を生産できる哺乳動物が
が体温を一定に保つために
編み出した冷却システムだ!
つまり、
汗をかく動物は哺乳動物にしかいないのだ。
(中には汗をかかない哺乳動物もいます)
そしてこの発汗がもっとも効率のよい冷却システムなのだ!!
注射をするために
注射するところに消毒のついた綿を拭くが、
そのときひんやりとした感覚を覚える。
これは消毒に含まれるアルコールが蒸発したためだという。
(水の沸点は100℃。アルコールは78度と水より低く
常温でもかなり蒸発する。)
物質が蒸発すると熱を奪い去る性質がある。
つまり、汗を蒸発させて冷やすのだ。
ということは、
汗の量で冷却をコントロールすらできることになる!!
そして
その冷却システムをあまりにも必要する動物がいる
それはわれわれヒトだ!!
ヒトは汗を出す汗腺を全身に張り巡らせ
全身で汗をかく極めてまれな動物だ。
そのわけは他の動物と比べて
尋常ではないほどの巨大な脳。
この巨大な脳のエネルギー代謝は計り知れない・・・。
まさに高速増殖炉!
これを制御するには
全身に発汗システムという対応しか他はないのだ!!
人類はこの発汗のおかげで巨大な脳をもつことができ、
文明を築くほどにまで至ったのは言うまでもない。
ところで
生物史で最初に汗をかいた動物はどんな動物であろう。
現代では汗をかく動物は哺乳動物だけであるが、
すでに哺乳動物の祖先にあたる
哺乳類型爬虫類には汗をかく動物が出現していた。
エステンメノスクス 学名(Estemmenosuchus )
恐頭類という仲間に属するエステンメノスクス。
恐頭類(ディノケファルス)とは体の割りに恐ろしいほどの
巨大な頭部をもつ哺乳類型爬虫類のグループだ。
そしてエステンメノスクスの
口から伸びた巨大な2本の牙、
過剰なまでに装飾に走った巨大な角。
その形相はまるで「鬼」そのものだ。
このエステンメノスクスの化石には
珍しく皮膚の化石が残されていたという。
その断面を調べたところ、無数の腺が発見されたという。
つまり汗をかいていたのだ。
2億5000万年前ほどのペルム紀後期には
このような哺乳類型爬虫類がもっとも栄えていたという。
さらに哺乳類型爬虫類は
汗をかき、効率のよい体温調節ができたに
とどまらなかった・・・。
ディキノドン 属名(Dicynodon)
ディキノドンの仲間は
海の生物が90%が絶滅したという
史上最大といわれるペルム紀大絶滅を
乗り越え、次の時代、三畳紀まで生き残った
という哺乳類型爬虫類だ。
ディキノドンの腹から出る汗は
脂肪やたんぱく質を含んだ栄養のある汗。
それをペロペロと舐める子供の群れ・・・。
そう、これが、
哺乳類にだけあるという「授乳」のはじまりだ!!
哺乳動物の「哺乳」とはもちろん
子供にお乳を与えることだが、
これを哺乳類の定義とするなら、
このディキノドンこそが最初の哺乳類といえる。
最初の授乳は子供が母親の乳首をくわえて
母乳を飲むというものではなく。
母親の腹からにじみ出てくる栄養価のある汗を
ペロペロと舐めるもの。
この授乳スタイルは現代では
原始的な哺乳類カモノハシ にも見られる。
やがて汗を出す汗腺は
母乳を出す乳腺へと進化するのである。
そしてこの授乳こそが、弱い子供を守り、
確実な子育てができ、ペルム紀の大絶滅を
乗り越えられたのかもしれない。


