動物は種の保存のために、
繁殖の仕方にもいろいろ工夫したりするなど
子孫を残そうとする。
しかし動物の中には同種の子供を殺す
「子殺し」というそれとは相反する行動をとることも
あるという・・・。
三畳紀の終わり頃、この頃は地球に恐竜が現れはじめた頃、
ほっそりとした体つきの恐竜がいた。
コエロフィシス 学名(Coelophysis bauri)
鳥のクチバシのような口には、細かな鋭い歯が並んでいた。
その鋭い歯でトカゲや昆虫などを捕らえて食べたという。
発掘されたこのコエロフィシスの化石には
腹部に同種の小さな遺骸が発見されている。
それはなんと!
生まれて間もない子供を食べていたこと
になるのだ。
しかし恐竜の場合、共食いが
わりと頻繁にあったのではないかといわれ、
コエロフィシスが子供を食べたのも
子殺しというより共食いの1つだと思われる。
そして現代では
真の子殺しをする動物がいくつかいた!
ハヌマンラングール
学名(Semnopithecus entellus )
猿の仲間であるが、
インドの医術と魔術を司るというハヌマーンという
それはそらはとても偉い神様が仕える
聖なる猿だと人々から崇められているという。
そんな猿が平然と子殺しをやってのけるというから
驚きの聖なる猿だ!!
ハヌマンラングールは
オスのボス猿を中心にたくさんのメスを従え、
その子供たちで群れを形成している。
その群れの周りには若いオスの群れがいて、
いつも、ボス猿の座をねらっているという。
そしてボスの座を狙う若いオス猿が
ボス猿に戦いを挑んできた!!
ここでボス猿がやられると
若いオス猿はボスの座を奪うことになり、
メスの群れを乗っ取ることになる。
そしてメスたちに交尾をせがむことになるのだが、
子持ちのメスは発情していないので
交尾は拒否されるのである。
それならどうする?
そう、そこで「子供」を殺す選択をとるのである!!
子供の殺戮が容赦なく、繰り返され
すべての子供が殺された。
そして2、3日後、
子供を失ったメスは再び発情・・・。
そして子殺しをした新しいボス猿と
子孫を残すことになるという・・・・。
しかし、子殺しとはまったく逆の猿もいる。
学名(Callithrix jacchus )
同じ猿でも中南米に生息する
タマリンやマーモセットという猿は
血縁関係に関わらず、たくさんのオスが
協力し合って子育てをするという。
ハヌマンラングールの子殺しの話の後に
このような話を聞くとホッとする。
このようにオスが子殺しをし、群れを乗っ取るという動物には
あの百獣の王、ライオン に、鳥類ではツバメなどが見られる。
これは種全体の繁栄より、自分という個体の子孫を
残すための行為といえる。
しかし我々、ヒトは幼児虐待、赤ん坊を産み捨てる母親など
「子殺し」ならぬ「わが子殺し」をする。
最近マスコミで騒がれ、そういった行為が増えたと錯覚しがち
だが、昔からそんなことがあったのかもしれない。